2025年8月9日付でPhysiologia Plantarum誌に投稿していた論文が公開されました。
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/ppl.70446
テーマは「花粉ができないナス」に関するものです。
このナスは、細胞質雄性不稔(Cytoplasmic Male Sterility:CMS)と呼ばれる現象によって花粉が作られません。
自ら種を作れないため、一見すると植物にとって不利に思えますが、実は他の個体と効率的に交配できるため、より強い雑種を作ることができます。
この特性は、種子生産の現場で広く利用されています。
本研究で扱ったナスでは、CMSの原因として、ミトコンドリアに存在する orf218 という遺伝子が疑われていました。
そこで私たちは、この遺伝子をゲノム編集技術で壊してみたところ、花粉が再び作られるようになったのです。
つまり、「この遺伝子が原因だった!」と初めて直接証明できた、というわけです。
シンプルな内容ですが、CMS研究にとって重要な一歩となりました。
ここまで辿り着くのに、何度泣いたことか…。行き詰まりもたくさんありましたが、こうして一つの成果として形にでき、本当に嬉しいです。
論文には、研究に直接関わってくださった方々への感謝を記す「謝辞」の欄がありますが、そこに書ききれない多くの方々に助けて頂きました。
同じ実習を担当する同僚の皆さま、励ましやアイデアをくださった先生方、そして何より家族の支えのおかげで今回論文として発表することができました。
心より感謝申し上げます。
(辻村)