食料農業システム実習(高島)2025

 2025年6月21~22日、食料農業システム実習(高島)を受講する学生14名と教員1名が今年も実習先の高島市マキノ町森西地区を訪問しました(昨年度までの実習の様子はこちら→2024年度2022年度その12022年度その22021年度その12021年度その2 )。


初日は恒例のみなくちファームさんへの訪問からスタートしました。経営主の水口淳さんは、就農されたきっかけから有機農業に取り組むことになった経緯、循環型農業の取り組みなどについてお話しくださいました。

事務所向かいの森にて

みなくちファームさんには、食料農業システム学科の卒業生(農学部4期生・21年度卒)の大橋さんも社員として就農されています。受講生は、大橋さんの案内で圃場を視察しながら森西の集会所まで移動しました。

大橋さんから説明を受けます

集会所では、みなくちファームさん併設のカフェのお弁当をいただきました。みなくちファームさんでとれた野菜もたくさん使われていて、とても美味しかったです。

大和ルージュを散らした松風が絶品でした!

昼食後は、森西の歴史的遺産を視察する山登りに挑戦しました。里山の様子を見せていただきながら、室町期の山城(田屋城趾)を皮切りに明治期に掘られた農業用水トンネル(稲山隧道)などを視察しました。

いざ出発!

田屋城趾からびわ湖・竹生島を望む

稲山隧道取水口にある石碑

2日目は、いよいよ地域資源管理活動の体験です。水路の泥揚げや、電気柵周りの草刈りなど、受講生は現地の方々の指導を受けながら各々の分担箇所で作業に取り組みました。

水路周りの草刈り・泥揚げ

電気柵周りの草刈り

森西の棚田の風景

耕作放棄地を出すことなく棚田が維持されている背景には、こうした共同での資源管理活動の存在も指摘できます。農家・非農家を問わず、コミュニケーションの場として共同作業が果たす役割も大きいとのことでした。

作業後に一風呂浴びてサッパリした後は、地域の農家レストラン・ミネモリサンチのおにぎりと味噌汁をいただきながら獣害柵の管理など現地の特徴的な取り組みについてお話を伺いました。

貴重なお米!

現地実習に参加した受講生による事後レポートから、学生の文章をいくつか紹介します:

「地域の方から「労力と成果が見合わないこともあるが、それでもやりがいの方が大きい」という話を聞きました。農業や地域活動には目に見える成果だけでなく、その活動を続けることで得られるものがあるという点が、非常に興味深く、心に残っています」

「今回の森西の方々との交流を通じて、人と人との繋がりの重要性を再確認した。森西地区の方々は、年齢差に関係なく、誰もが対等に、協力し合って生きていた。こうした風景は現代では失われた光景であると感じていたため、そこに一時でも混ざることが出来たのは、とても嬉しかった。」

「実習で印象に残ったことは、普請での川の清掃です。正直、大変で汗だくでした。しかし、担当の方が声掛けてくださったり応援してくださったりして、とても楽しかったのを覚えています。地域のために何かをすることは、小学生以来してこなかったのですがこれからは参加していきたいと感じました。」

今年度も現地の方々のご協力のもと、事故なく安全に現地実習を終えることができました。区長の小川様、実習の窓口となっていただいた水口様をはじめ役員、区民の皆様、そしてみなくちファームの皆様にこの場を借りて厚くお礼申し上げます。(山口)

深清水でオリーブ茶づくりを体験

 2025年7月6日、食料農業システム学科の3回生12名と1回生2名が、滋賀県高島市今津町深清水を訪問して現地でのオリーブ茶づくりの一部を体験しました。


深清水は滋賀県随一の柿の産地として知られていますが、高齢化にともなって耕作放棄園も出始めている状況で、そうした圃場で8年前からオリーブの栽培にも取り組んでおられます。われわれ龍谷大学農学部食料農業システム学科では、2019年度から「しがのふるさと支え合い事業」で現地と協定を結んで(協定締結の様子 その1 その2)活動を続けています。過去にはオリーブの植樹のお手伝いや、剪定枝から採れた葉っぱを使ったオリーブ茶のラベル作成・販売のお手伝いなどを手掛けてきました(その様子は過去のブログ記事でも紹介しています→ その1 その2)。


今回は、山口ゼミ3回生と1回生入門ゼミの有志が、オリーブ茶の原料となる葉っぱを剪定枝から採取する作業に参加しました。


慣れない手つきで葉っぱを摘んでいます

地道な作業でした(笑)

暑い1日でしたが、現地は風もあって日陰はしのぎやすく、また、深清水という名の通り山から勢いのよい水が流れていて、それが各家庭に引き込まれている様子なども観察させてもらいました。

たくさん採れました!

作業場では、楽しくおしゃべりしながら葉っぱを摘む学生もいれば、黙々と作業に取り組む学生もいて、それぞれの性格がよく出ていて面白かったです。こうして採れた葉っぱは、天日干しされた後さらに乾燥・焙煎・粉砕などの工程を経て、オリーブ茶に加工されます。

今年はこのオリーブ茶を使って新しいことをしてみたいと計画しています。またその様子は改めてこちらでお知らせできればと考えています。乞うご期待!

暑いなか、作業の準備のみならずオリーブの圃場をはじめ現地をご案内くださった南深清水FF倶楽部の皆様、どうもありがとうございました!(山口)

柿畑の案内を受けています

こちらはオリーブの圃場

扇状地の棚田と水路:とても綺麗な水でした!




Food Evolution 上映会 (海外農業体験実習 ハワイの事前学習)

 8月26日から9月2日まで、ハワイでの農業体験実習が始まります。

事前学習では、ハワイの植物のアンスリウムなどをそれぞれの班ごとに調査し、英語での発表内容に仕立てる発表準備を行なっています。大学が提供する英会話なども学生たちは受講し、英語力のアップにも余念はありません。

ハワイでの学びの一つに、遺伝子組み換えパパイヤの圃場見学があります。今年は例年訪問していた会社の社長が高齢のために引退し、別の方の圃場を訪ねることになりました。

また、開発過程を教えてもらうために、現地の研究所USDAを訪ねます。

ハワイ島は火山島で、今でもキラウェア火山が時折噴火しています。とても若い土壌なので、痩せており、その土壌でも育つ農産物はパパイヤなどの限られています。

ところが、リングスポットウイルス病というパパイヤの実も茎もダメにしてしまうウイルス病が蔓延し、パパイヤ産業が壊滅的な被害を受けました。これを回避する手段として、ウイルス病に抵抗性を持たせる遺伝子組み換え技術が用いられ、見事に回避できた経緯があります。現状ではこの病気は治り始め、現地では農家は遺伝子組み換えパパイヤ(GMO)と組み換えていない(non-GMO)パパイヤを併用して栽培し始めています。

ハワイでGMOパパイヤ栽培が認められる過程では、賛成派と反対派が熱く議論した経緯があります。この様子をまとめたのがFood Evolutionという映画です。事前学習としてこの映画を視聴しました。その様子がこの映画の上映団体のファンサイトに掲載されました。

https://foodevolution-fan.jp/screening/

意外なことに、ハワイは今の日本より涼しく(30℃くらい)、過ごしやすいです。関係の皆さまと再会できる嬉しさがあります。今年の参加者は8名と多く、彼らにハワイの農業、パパイヤやコーヒー、アンスリウムなどの農業とそれにまつわる移民などの社会構造、ハワイの外来種ではないNativeな自然を体験させてあげたいと思っています。

(古本)

復活!「50円ランチプロジェクト・2025」を実施しました

 大学院講義「食の嗜好性と生理機能開発の科学特論」において、「50円ランチプロジェクト・2025」を実施しました。

このプロジェクトは、2017年に伏木亨先生が実施された「30円ランチプロジェクト」(https://www.agr.ryukoku.ac.jp/department/training_food.html)をもとに、現在の物価水準に合わせて価格を50円に見直し、“復活版”として実施たものです。

主な目的は、企業の現場で行われている0.1円単位でのコスト削減の感覚を、実践的に体得すること。学生たちは1食50円という限られたコストの中で、原材料の選定、調理工程、献立設計に創意工夫を凝らしながら、食の経済性と機能性、そして「おいしさ」を両立させることに挑みました。

今回は特に、講義で学んだ感覚科学や味覚生理学の知見を活かし、「いかにおいしく、満足感の高い食品を創造するか」という視点を重視。食品学、栄養学、農学、生命科学、農業システムなど多様な分野から集まった大学院生たちが5チームに分かれ、多角的なアプローチで渾身の1品(または2品)を完成させました。

当日は、食品栄養学科の先生方に審査員としてご協力いただき、学生同士による相互評価も実施。全ての審査点を集計のうえ、最優秀作品を決定しました。





 

各チームの工夫が光る!珠玉の献立ラインナップ


「彩りピラフとガスパチョ風」(49.20円) ★最優秀作品

 赤くて冷たいトマトスープに、小さく刻んだきゅうりと玉ねぎで香りと食感の変化が加えられており、少量でも満足感が高まる工夫が光りました。ピラフにはツナと野菜がバランスよく入っており、コストの高い動物性たんぱく質もうまく組み込まれた一品です。




「夏にサッパリ!ピリ辛ビビン麺」(48.31円)

 そうめんをビビン麺風にアレンジすることで量感を出し、軽いランチという枠を超えた満足感ある一皿に仕上がりました。食感の妙が効いており、夏の暑さを吹き飛ばすさっぱりした味付けが印象的でした。





「油揚げの包み焼き」(48.39円)

 安価ながら動物性・植物性両方のたんぱく質を摂取できる点が高評価。同じ味が続かないよう、包み揚げの中身に変化をもたせるアイデアが実践され、飽きさせない工夫がありました。



「夏に負けるな!お手軽チゲ鍋 with 焼きおにぎり」(49.51円)

 スープ単体でも、焼きおにぎりと合わせても楽しめる構成で、食べ方の選択肢によって食感と味わいに変化が生まれる工夫が凝らされていました。ボリューム感もあり、満足度の高い一品です。



「七夕ミニ定食」(48.71円)

 野菜をたっぷり使用した生春巻きは、「野菜を食べている!」という満足感をしっかりと感じさせる仕上がり。ジュレと液体を組み合わせたトマトそうめんも涼やかな食感で、見た目にも味にも工夫が見られる美しい献立でした。




 

今回のプロジェクトを通じて、学生たちはコスト感覚だけでなく、「おいしさ」と「満足感」の正体を、理論と実践の両面から深く学ぶ機会となりました。

お忙しい中、試食・審査にご参加くださった先生方に、改めて心より御礼申し上げます。

(山崎英恵)

 

有馬高校 人と自然科の皆さんが農学部見学に来られました!

 有馬高校 人と自然科1年生40名が龍谷大学農学部の見学に来られました。農学部の紹介・模擬講義の後に、在学生の先輩との座談会、施設・農場見学を行いました。生徒たちは、農学部での学びや研究施設に興味津々で、常にメモをとり、積極的に質問をしてくれました。

 実は、有馬高校には農学部1期生が教員として勤務しています。今回の見学も彼女の取次によって実現しました。農学部が送り出した有望な人材が、新たに農学部に有望な人材を送り出す…農学部を中心とした人の循環が生じ始めていることを嬉しく思います。

(農学科 植物栄養学研究室 玉井)

農学部紹介・模擬講義

9号館(農学部棟)の見学

機器分析室の見学


農場の見学

あなたの人生を変えた本(5冊)ーリケラボー

リケラボというWebサイトの、「博士の本棚」というコーナーで、”人生を変えた私の5冊”を紹介しました。



これまで読んできた本を振り返って、「ああ、そういえば、この本は心にのこっているなあ。」とか、「このとき、こういうことを考えてたなあ。」とかと、自分を振り返ることもできました。

子供のころは、自ら本を読むということはなかったのですが(それこそ、夏休みの宿題とか)、今は私にとっては、ゆっくりするときに読んだり、移動時間に読んだりと、常に手元にあります。読み終わってよかった本は、友達や子供に紹介して、ここはこう思ったとか、この人物はどういう人やとかと、話していると、人との見方が違って、そういう風にもとらえることができるのか。とか、とても面白いです。

もうすぐ夏休みが始まります。時間のあるときに、本を読んでみてはいかがですか?

https://www.rikelab.jp/post/11796.html





トマトの収量調査を行いました! ~Pat-k遺伝子と接ぎ木の効果の検証~

 農学科の3回生実習の中で4月から取り組んできたトマトの栽培実習。DNAマーカーを用いた遺伝子型の解析に始まり、接ぎ木と苗の移植、5月の本圃への定植を経て、711日にようやく収穫の時を迎えました。昨年は授業のコマ数の関係から全員での収穫が叶いませんでしたが、今年は全員で協力して収量調査を実施することができました。

収穫前のトマトの様子

実習の内容について説明中

収量調査の様子

今年の実習では、湛水対策としてトマトをナスに接ぎ木しました。本来は時間を取って接ぎ木した植物を観察したかったのですが、収量調査だけで時間がいっぱいになってしまいました。写真は収量調査の最中に学生さんが撮影してくれた接ぎ木苗基部の様子です。台木と穂木の接合部を境に明確な違いが見られ、やはり種が異なる植物間では接ぎ木が可能でも茎の発達に大きな影響が出ることが確認できました。

接ぎ木した植物体の基部
(台木がナス、穂木がトマト)

本実習の核となるテーマは、単為結果性遺伝子Pat-kの遺伝子型(変異型ホモ、ヘテロ、野生型ホモ)が果実の特性や収量にどのような影響を及ぼすかを明らかにすることです。レポート課題では、収量データを使って学生たちがそれぞれ考察していく予定です。どのような視点からの分析が出てくるのか、そしてPat-k遺伝子の働きをどのように捉えるか、とても楽しみにしています。

野菜園芸学研究室 滝澤

入門ゼミプレゼン大会

 毎年、入門ゼミの最後を飾るイベントとして、学生によるプレゼン大会を行っています。

今年も、各クラスから選ばれた2組に、生命科学科1年生全員の前で発表してもらいました。

各クラスの担当教員によって、学生さんに与えられたテーマは様々で、かつ、その中で何を発表するか、また、どのように発表するかのスタイルなど、それぞれの個性が出ていて、どの発表もとても面白いものでした。


            (皆さん、真剣に聞いています)

             (発表してくれた学生さん)


毎年、プレゼン能力があがってきている気がします。皆さん、緊張していたのかもしれないけど、堂々と発表していて、また、内容もとても良かったです。お疲れ様でした。

                             

                               (塩尻)


「比較地域文化論」で近江上布について学びました

2025年6月16日農学部講義「比較地域文化論」では、近江上布伝統産業会館(滋賀県愛荘町)より田中由美子先生を特別講師としてお招きし、滋賀県の特産物「近江上布」について講演いただきました。


まず田中先生は、近江上布の素材や製作過程について、チョマ(苧麻)のサンプル、工房で記録した動画や実際に使われている道具類、完成品の反物などを示しながら、ていねいに説明してくださいました。

つづいて、現代の麻織物産業の動向、その中で伝統的工芸品として近江上布の生産を続けることの意義などについて解説してくださいました。

受講者にとっては、特産物「近江上布」について基本的な知識を得るとともに、生産者組合の活動、現場での取り組みや課題について、その当事者からお聞きする貴重な機会になりました。ご協力いただいた田中由美子先生に心より御礼申し上げます。(落合雪野)




他大学との合同研究セミナー

 植物遺伝学研究室(竹中研)は、昨年から他大学との合同研究セミナーに参加しています。

このセミナーは、福井県立大学・京都産業大学・関西福祉科学大学との合同で行われていて、実は20年以上続いているものです。

今年は、福井県立大学の村井先生が現役最後ということで、ちょっと特別なアニバーサリーイヤーでした。

今年の開催日は76日・7日の2日間で、会場は琵琶湖の対岸にある松の浦でした。
昨年は、竹中先生によるラボ全体の方針紹介のみの参加でしたが、今年はM13名が12分間の持ち時間を使って研究発表を行ってくれました。




3名とも今回が初めての口頭発表で、正直ちょっと心配していたのですが、無事に発表をやり遂げました。
持ち前の愛嬌(?)もあって、先生方からは「面白い研究やん!」とたくさんのコメントや質問を頂いていました。
答えられなかったところは、今後の勉強のきっかけにしてくれたらいいなと思います。

他大学の発表にも積極的に質問していて、頼もしく見えました(笑)

発表のあとは、バーベキューと花火大会で盛り上がりました!


最初は緊張している様子でしたが、だんだん学生同士の交流も深まっていきました。
学会などで数か月に一度会える、同じ分野の研究仲間ができると、大学の中だけでは得られない刺激を受けられますし、次の学会参加もより楽しみになります。

また、今回のようなラフなセミナーだからこそ、高名な先生に気軽に質問でき、論文や学会発表では聞けない研究の背景や本質を聞くことができます。

最後に、今回のセミナーを取り仕切ってくださった風間先生をはじめ、ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!


                                    (辻村)



システム学科入門ゼミで花陽みくさんの特別講演をおこないました

2025年7月4日の入門ゼミでは、舞台俳優の花陽みくさん(元宝塚歌劇団娘役)をお招きし、特別講演をおこなっていただきました。


花陽さんは俳優として舞台に立ちつつ、オンラインショップなどでご自分でブレンドしたコーヒーを販売されており、その取り組みについてお話しいただきました。



ミュージカルの一場面を再現するパフォーマンスの時間もあり、うつくしく力強い歌声を聴くことができました。

参加した学生たちからは、お客さんの立場に立って商品やサービスを考えることの大切さを感じた、夢が一つ叶っても、新しい夢を持って次の目標に進めば良いという言葉が印象に残ったなどのコメントが寄せられていました。(落合雪野)


外部講師(植物-微生物相互作用学)と第12回生命科学セミナー

 「植物-微生物相互作用学」の外部講師として、玉木秀幸さん(産業技術総合研究所)をお招きしました。

授業の様子1

 この授業では、植物とその周りの微生物との関係(相互作用)のメカニズムを分子レベルで理解することが主題となっています。植物の周りには良い微生物も居ますが悪い微生物もいて、普段の授業ではおもに植物に病気を引き起こす病原微生物を中心に話題提供しています。しかし、そもそも植物の周りには数多の「何をしているかよくわからない」微生物が存在しています。この「良い」、「悪い」というのも、あくまで人間にとって農作物に良い影響を及ぼすか、悪い影響を及ぼすかを基準にしたもので、何をしているかよくわからない微生物たちも、彼らの人(微生物?)生を、いきものとして過ごしているわけです。

 玉木さんは植物に限らず、そういった環境中に存在している多数の無名の微生物たちを見つけ出し、その生きざまを調べ、我々人類の生活に役立たせるところまで幅広く研究されている方で、植物中心の普段の授業とは異なる切り口で、そのほとんどは人間にとっては未知とも言える「微生物ワールド」の一端をご紹介いただきました。

 分類学的な観点から見た微生物グループの多様性の紹介から始まり、培養という手段の重要性やその手法に頼るからこその限界、そしてその限界を広げるための研究の数々を、わかりやすい例示などとともに紹介いただきました。その上で、玉木さんらが見つけてこられた微生物を、ヒトや植物そのものの健康や成長、さらにはヒトの生活を支える社会インフラにどのように有効利用しようとされているかをご紹介いただき、最後には、生物の進化の歴史に関する定説を根本から覆すような新たな微生物の発見に関してもご紹介いただき、受講生一同、そのスケールの大きさに圧倒されて聞き入っていました。

授業の様子2

学生の感想(抜粋)

「今回の話を聞いて、微生物の可能性はまだまだ広がるのだなと感じた。人の近くで生きている腸内細菌や農作物の微生物に目が行きがちだけど環境全体を見たり探すことで、新たな発見が生まれるのかなと思った。微生物についてもっと研究が進むことで私たちの生活が変わっていくと面白いなと思った。」

「未だ多くの微生物が培養されていないことに、これからの技術発展だけでなく、生命の起源の研究の新たな発見が多くありそうで、非常に現実的なロマンがあるなと、興味深かったです。また、有用な植物形質をもたらす微生物叢の開拓にも興味を持ちました。毒を以て毒を制すではないですが、非常に似てるなと感じ、興味深かったです。」


    また、せっかくつくばから来ていたいたので、第12回生命科学セミナー「未知の微生物を”培養”して新たな生命機能を探る~Cultivation Renaissance in the post-metagenomics era: combining the new and old~」と題して、農学部教員や院生ら向けにも話題提供していただきました。授業とほぼ同じスライドながらも、こちらは研究のプロ向けに、サイエンスとしての面白さを凝縮した話題提供をしていただき、質疑も盛り上がりました。

生命科学セミナーの様子

    さらに、セミナー終了後には、今回お呼びした別役研に来ていただいて、研究室の院生8名と学部生1名からの研究紹介をそれぞれ聞いていただいて、その内容に対してたくさんの有意義なコメントもいただきました。


玉木さん、講演x2と長時間にわたる学生との研究談義、本当にどうもありがとうございました!

(別役)