大学院講義「食の嗜好性と生理機能開発の科学特論」において、「50円ランチプロジェクト・2025」を実施しました。
このプロジェクトは、2017年に伏木亨先生が実施された「30円ランチプロジェクト」((https://www.agr.ryukoku.ac.jp/department/training_food.html))をもとに、現在の物価水準に合わせて価格を50円に見直し、“復活版”として実施したものです。
主な目的は、企業の現場で行われている0.1円単位でのコスト削減の感覚を、実践的に体得すること。学生たちは1食50円という限られたコストの中で、原材料の選定、調理工程、献立設計に創意工夫を凝らしながら、食の経済性と機能性、そして「おいしさ」を両立させることに挑みました。
今回は特に、講義で学んだ感覚科学や味覚生理学の知見を活かし、「いかにおいしく、満足感の高い食品を創造するか」という視点を重視。食品学、栄養学、農学、生命科学、農業システムなど多様な分野から集まった大学院生たちが5チームに分かれ、多角的なアプローチで渾身の1品(または2品)を完成させました。
当日は、食品栄養学科の先生方に審査員としてご協力いただき、学生同士による相互評価も実施。全ての審査点を集計のうえ、最優秀作品を決定しました。
各チームの工夫が光る!珠玉の献立ラインナップ
「彩りピラフとガスパチョ風」(49.20円) ★最優秀作品
赤くて冷たいトマトスープに、小さく刻んだきゅうりと玉ねぎで香りと食感の変化が加えられており、少量でも満足感が高まる工夫が光りました。ピラフにはツナと野菜がバランスよく入っており、コストの高い動物性たんぱく質もうまく組み込まれた一品です。
「夏にサッパリ!ピリ辛ビビン麺」(48.31円)
そうめんをビビン麺風にアレンジすることで量感を出し、軽いランチという枠を超えた満足感ある一皿に仕上がりました。食感の妙が効いており、夏の暑さを吹き飛ばすさっぱりした味付けが印象的でした。
「油揚げの包み焼き」(48.39円)
安価ながら動物性・植物性両方のたんぱく質を摂取できる点が高評価。同じ味が続かないよう、包み揚げの中身に変化をもたせるアイデアが実践され、飽きさせない工夫がありました。
「夏に負けるな!お手軽チゲ鍋 with 焼きおにぎり」(49.51円)
スープ単体でも、焼きおにぎりと合わせても楽しめる構成で、食べ方の選択肢によって食感と味わいに変化が生まれる工夫が凝らされていました。ボリューム感もあり、満足度の高い一品です。
「七夕ミニ定食」(48.71円)
野菜をたっぷり使用した生春巻きは、「野菜を食べている!」という満足感をしっかりと感じさせる仕上がり。ジュレと液体を組み合わせたトマトそうめんも涼やかな食感で、見た目にも味にも工夫が見られる美しい献立でした。
今回のプロジェクトを通じて、学生たちはコスト感覚だけでなく、「おいしさ」と「満足感」の正体を、理論と実践の両面から深く学ぶ機会となりました。
お忙しい中、試食・審査にご参加くださった先生方に、改めて心より御礼申し上げます。
(山崎英恵)