【植物生命科学科で扱う実験生物】No.13 ナス

   植物生命科学では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。


ナスは日本の代表的な夏野菜です。

龍谷大学の牧農場でも、今年もたくさん収穫されていました。

私たちが食べているナスは、もちろん実の部分です。

その実をつけるために、ナスの花にはいろんな工夫がされています。



◎ナスの花について◎

このようにナスの花は下を向いて咲く様子がよく見られます。

中心にある細長く先端が緑の器官がめしべで、めしべを取り囲むように6本のおしべが配置されています。

花粉はおしべの黄色い葯の中で作られます。

葯の先端がフタのように開いて(裂開といいます)、花粉が出ていく仕組みになっています(→の部分)。

花が下を向いていることで、めしべの先端(柱頭)に花粉が付き、受粉できる、というわけです。

 



上の花は1枚目の写真の花と比べて決定的な違いがありますが、わかりますか?

正解は、中央の薄い緑の組織(めしべの柱頭)の位置です。

栄養不足や気温・日照が生育に合わないと、めしべの長さが短くなることがあります。

めしべが短いと葯が開いても上手に受粉できず、花は落ちてしまいます。

今は実を育てられそうにない、とナスが判断しているのですね。



◎雄性不稔◎


私は、ナスの雄性不稔について研究しています。

雄性不稔とは花粉が上手く作られない性質のことです。

 

正常なナスでは葯が丸々と太っているのに対し、雄性不稔性のナスでは、葯が扁平になっています。

顕微鏡で花粉を観察してみると、両者の差は明らかです。

雄性不稔のナスの花粉では、受精して種をつくることができません。

つまりその系統は途絶えてしまいます。

そこで雄性不稔ナスを育てる時には、正常ナスを一緒に育てて、花がついたタイミングで人工交配する必要があります。

できたナスから種をとり、系統を維持していきます。


この雄性不稔ナスを使って、不稔を引き起こす遺伝子を突き止める研究を行っています。



                                  (辻村真衣)