梅雨の合間に、温室部分の掃除を行いました。
普段使う場所ですので、多くの学生が出て、一斉に行います。
廃土、産業廃棄物を分別し捨てて、温室の床部分を磨きました。
これからの本格的な夏のシーズンに向けて、気持ちよくなりました。
(古本)
植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。
線虫は目に見えないため、普段の生活で意識することはないでしょう。ですが、実は身の回りに多く生息しています。土壌中で自分でエサを取る自活性線虫や、動物や植物の体内に寄生する寄生性線虫がいます。植物線虫学研究室(浅水)では、ネコブセンチュウやシストセンチュウといった、農業の重要害虫を扱っています。
サツマイモネコブセンチュウの2期幼虫 (0.5mm)
ダイズシストセンチュウのシストとよばれる殻の中の卵と2期幼虫
植物寄生性線虫は「絶対寄生性」生物です。つまり、宿主となる植物がないと生きていけません。研究では、 宿主植物と線虫という、2つの生物種を扱っています。
人工気象室でトマトにサツマイモネコブセンチュウを感染させています。トマトが枯れているのは、感染の影響です。
圃場での緑肥植物(デントコーン)の栽培風景
実験室での研究を農場で活かしたいと思い、今年から牧圃場で緑肥植物の栽培を始めました。緑肥によって増える土壌微生物が植物寄生線虫の生息に与える影響を調べています。(浅水)
食料農業システム学科山口ゼミでは、これまで高島市今津町の南深清水地域と連携して、柿とオリーブを通した地域ブランディングのお手伝いをしてきました(2018年の活動その1、2018年の活動その2、2019年の活動その1、2019年の活動その2、2020年の活動(リンク先は滋賀県ホームページです))。2019年度には、「しがのふるさと支え合いプロジェクト」に採択され、地域と食料農業システム学科との間で連携協定を締結しています。
深清水は「今津の柿」として知られる滋賀県随一の柿産地ですが、高齢化にともなって、作業強度が高く危険な高所作業も伴う柿の栽培を断念されるケースが発生しています。そうした耕作放棄園の活用策として、現地では4年前から比較的労働強度の低いオリーブの植樹にも取り組みはじめています。
![]() |
ゼミ生がオリーブの植樹をお手伝い。添え木を打ち込んでいるところです(2019年) |
植樹を始めてから4年が経ちましたが、良質な実が多く獲れるようになるまでにはまだまだ試行錯誤が必要です。そこで副産物として剪定枝からとれるオリーブの葉をお茶に加工して、先行して商品化を進めることになり、ゼミ生がそのパッケージデザインを任されました。
そしてこのたび、2021年6月28日よりオリーブ茶が販売されることとなりました!(ニュースリリース)
![]() |
学生にも、スッキリして飲みやすいと好評でした |
数量限定で、次回販売は秋以降になる予定だそうです。お近くにお立ち寄りの際は、ぜひお試しください。(山口)
今週の3回生の植物生命科学実験です。
さて、先週の「植物の形質転換のためのアグロバクテリウム感染実験」の結果を見てみましょう。
アグロバクテリウムを感染させた葉はどうなったでしょうか??
少しシリンジの跡がついていますが、無事枯れずに成長していました。
今回の感染では、YFPとRFPという2種類の蛍光タンパク質を葉で作らせています。LED型トランスイルミネーター(光源装置)を使って、蛍光を観察しました。
実習では、この葉をすりつぶしてタンパク質の抽出を行いました。
今回用いた蛍光タンパク質には、エピトープタグと呼ばれる8個のアミノ酸が付加されています。このアミノ酸をフックのように使って、抽出液から蛍光タンパク質だけを取り出すことができます。(タンパク質の精製)
(辻村)
植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。
環境生理学研究室(古本ラボ)では、植物が環境変動に応答する様子を研究しています。
雲の影響で光量は大きく変動します。この光量変動に素早く応答する植物の光合成、トウモロコシやサトウキビ、キビ、ヒエ、アワなど、多くの作物種で行われている「C4光合成」の研究を進めています。
温室だより
ドクダミは厄介者か?
道端などでよく見かけるドクダミ(Houttuynia cordata)はドクダミ科ドクダミ属の多年草で、「十薬」の生薬名で薬用植物として利用されるほか、最近はドクダミ茶としての利用も見られます。ところが、地下茎で繁殖するため根絶が難しいうえ、独特の匂いが嫌がられ、どちらかというと厄介者の植物として認識されています。
葉がカラフルな斑入りのドクダミ
植物資源の利用というのは、ところ変われば利用方法も変わります。中国の雲南省では、ドクダミの地下茎がよく売られています。この地下茎をお酢や香辛料で味付けしたものが時々食べられています。匂いがなくならないので、私は苦手な食材ですが、葉を天ぷらなどにすると匂いが消えるようです。私の研究室では、ドクダミを新しい食材に利用できないかという研究を始めました。左:雲南省の市場で売られていたドクダミの地下茎、右:ドクダミの地下茎の料理、匂いはそのままなので、人による好き嫌いが激しい。
(資源生物科学科 植物資源学研究室 神戸敏成)
植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。
多くの方は田んぼで育っているイネを見たことがあるかと思います。見たことがない!という方も、ごはんはよく食べておられるのではないでしょうか。古くから日本人の主食として親しまれてきただけでなく、植物の研究の世界でもイネ(Oryza sativa)は中心的な種の一つです。
田んぼでの農学的な研究の長い歴史があるだけでなく、実験室での最近の分子レベルの研究においても、よく用いられています。他の主要な穀物であるトウモロコシやコムギと比べて、実験室での分子生物学的な研究を行いやすい性質があるためです。
情報生物学研究室では、田んぼにおけるイネの振る舞いを、最先端の遺伝子解析技術とデータ解析技術を使って研究しています。田んぼのような野外環境では、温度や光、害虫など様々な要因が複雑に変化しています。そこでの振る舞いを知るためには、様々な天候の日の様々な時刻におけるサンプルが必要です。そのために、実際の田んぼで、2時間おきに丸一日(昼も夜も)つづけて葉のサンプリングを行ったりします。なかなか大変で、他の研究者はあまりやらない研究ですが、それだけに新しい発見ができます。
(永野)
今週の3回生の植物生命科学実験(担当:別役先生)では、「植物の形質転換のためのアグロバクテリウム感染実験」を行いました。
今回の実習では、ベンサミアナタバコ(植物)に、アグロバクテリウム(細菌)を感染させることによって遺伝子組換えを行い、蛍光タンパク質を発現させます。
※使用する細菌懸濁液は遺伝子組換え生物のため、適切な拡散防止措置をとった上で行いました。
まず、アグロバクテリウム懸濁液の濃度を分光光度計(菌液の濁度などを分析する装置)で測定して、濃度を調整します。
次に、葉の裏側の気孔からシリンジ(注射筒)を用いて、適切な濃度に調整したアグロバクテリウム懸濁液を注入しました。
葉を挟む時の力の加減やシリンジの角度などが難しいですが、本番前に練習した甲斐もあり、スムーズにできました。
来週まで、植物培養室で育成します。葉が光っていれば成功です。
次回の結果が楽しみです。
(中田)
龍谷大学農学部では新入生向けに入門ゼミという授業があります。植物生命科学科では、6月4日、11日の2週にわたって所属教員の研究紹介を行いました。「農学部の植物生命」と聞いて思い浮かぶような「農作物」、つまり「植物」にまつわる研究のみならず、「酵母」や「昆虫」、「馬」、「藻類」、「岩石」、さらには「仏教」まで、植物生物科学科教員の幅広い研究内容が紹介されました。新入生の皆さんもびっくりしたのではないでしょうか。
現在、コロナ禍対策で、オンライン・対面併用の授業形態が続いています。特に新入生にとってはなかなか「大学」というものを感じる機会も少ないかもしれません。今回は一教員あたりおよそ15分と短い時間でしたが、それぞれの教員の個性あふれる語り口を通して、高校までの学習とは異なる、大学での学問の幅広さ・面白さの片鱗を感じてもらえたらと思います。改めまして、ようこそ、大学へ!3回生になったら研究室で会いましょう!
植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。
資源生物科学科では,3年生前期の木曜日と金曜日の午後から「資源生物科学実習A,B」という必修科目を履修します.この度,ヤンマーアグリジャパン様のご協力によって,ロボットトラクター(無人トラクター),直進アシスト機能付き田植え機,上空からの生育診断のための小型ドローン飛行について,それぞれ見学する機会を得ました.スマート農業の実証試験は,滋賀県をはじめいくつかの生産農家で行われていますが,実際に作動している無人の耕耘機やドローンによる空撮などを見る機会は少ないでしょう.履修生達は熱心にメモをとりながらオペレータの方々の話に聞き入っていました.
当日は,ふぁーむ牧さんのご厚意で,オオムギ収穫後の圃場に各種機械類を搬入させて頂き,3班に分かれて見学しました.農業機械を用いた作業では労力そのものに加えて,正確さを要求されるストレスも多いですが,これらの機械の導入でストレス少なく作業できることや,各圃場の収量ポテンシャルを数値として評価できるなどの点に興味をもったとの感想を述べていました.一方で,価格的にはまだ高価である点や中山間地など小規模圃場への導入が課題であるなども意見も寄せられました.積極的に質問する学生も多く,ICT農業への興味の深さが感じられました.
収穫ロボットや環境予測に基づくハウスの側窓や天窓の自動開閉,水耕液のpHや栄養分の調整など,AIやICTを駆使した新たな農業のスタイルは,イネ,ムギ,ダイズといった土地利用型作物だけでなく,野菜,果樹,観賞作物などの園芸作物においても導入されています.「百聞は一見にしかず」ですので,チャンスがあれば,是非いろいろ視察してみて下さい.
(資源生物科学実習B担当 大門)
2021年6月4日
総合演習Ⅰ(香川ゼミ)で、京都府茶生産協議会の加藤英幸様をお招きし、京都府の茶農業・茶産業の現状と問題点について特別講義をしていただきました。
かつて、茶は収益性の高い農産物であり、農家も比較的豊かでしたが状況は一変しています。農業構造は脆弱化し、後継者のいない農家も少なくありません。
学生は普段の勉強内容や事前に自分が調べたことと関連付けながら積極的に質問していました。大変良い特別講義だったと思います。
今後は、現地で調査を行い、お聞きした話を現場の実態の中で確かめ、これからの茶農業・茶産業について議論したいと考えています。
早くコロナが収束してくれることを願います。
(食料農業システム学科:香川)
今回の3回生の植物生命科学実験(担当:塩尻先生)では、
アブラナ科蔬菜につく昆虫の調査をしました。
1か月前に鉢に植えたダイコン、コマツナ、キャベツ。
生育過程での、植食性昆虫の変遷を観察してきました。
班のメンバーで協力して、水やりや観察を続けてきたので、愛着をもって観察できました。
(中田)
植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。
植物遺伝学研究室(竹中)では主にコムギを用いた研究を行っています。
昨年の冬から栽培していたコムギも,いよいよ収穫の時期が近づいてきました。麦秋です。
美しいコムギの穂を紹介できたらいいのですが,残念ながらほとんどの穂は白い袋の中です。
展示用に栽培した系統には袋をかぶせていません。
今年はクラブコムギと呼ばれる穂が密になる系統も栽培しました!
実験のために人工交配も行っています。
コムギの交配は,自家受粉しないように葯を全てピンセットで取り除いた(除雄と言います)穂に,目的の系統の花粉を振りかけます。花粉がかけやすいように穎の先端は切り取っているため,成熟してくると種子がはみ出してきます。
交配が成功しているか袋を外してみました。十分な数の種子がついているようです!
(竹中)
セイタカアワダチソウは匂いで「血縁」関係を認識するのか?また、もし「血縁」を識別するとしたら、何のために識別するのか?という研究を論文として発表しました。
仮説として、『他人の敵は自分の敵じゃない。』つまり、他人がやられているからといって、自分にはその敵が来ないから、匂い情報が来ても防衛をあまりしないのだ、と考えました。
実験の結果、セイタカアワダチソウが被害をうけたときに出す匂いは、セイタカアワダチソウの遺伝子型で異なる(つまり「血縁」により差がある)ことが示されました。また、「血縁」が近い匂いを受容したときほど、誘導防衛が強くなり被害に遭わなくなることがわかりました。そしてセイタカアワダチソウの遺伝子型(つまり「血縁」)によってセイタカアワダチソウ周辺の昆虫群集が異なること、さらに血縁が近いほど周りの昆虫群集が似ていることが明らかになりました。
これらの結果から、セイタカアワダチソウは、匂いで「血縁」関係を認識できること、そして、より必要なときに防衛を強くすることが示唆されました。植物にはまだまだわかっていないことがいっぱいありますね。
【塩尻(別役編集)】
龍谷大学農学部では【食の循環実習】という実習があります。農学部全学科の学生が、農作物を育てるところから調理・提供するまでを包括的に体験する実習です。その中でも特に目玉となるのが、毎年新入生が行う田植えです。今年も5月22日(土)の梅雨のわずかな合間に、教職員や学生スタッフ達による最大限のコロナ感染対策のもと、植物生命科学科の新入生たちが他学科の学生とともに田植えに挑戦しました。
実際の農業では機械で田植えすることがほとんどですが、教職員や学生スタッフ達の手慣れた誘導で、新入生のみなさんも手作業でもきれいに田植えができました。さぁ、秋の収穫時には無事に実っているでしょうか?新入生のみなさんも、秋の収穫を楽しみに過ごしてくださいね。(その裏で、収穫までこっそり田んぼの管理をしてくれている農場スタッフさん達への感謝の気持ちも忘れないようにしましょう!)