研究成果が論文として公表されました(植物生命・塩尻研)

 セイタカアワダチソウは匂いで「血縁」関係を認識するのか?また、もし「血縁」を識別するとしたら、何のために識別するのか?という研究を論文として発表しました。

匂いを介したセイタカアワダチソウのコミュニケーションの話

仮説として、『他人の敵は自分の敵じゃない。』つまり、他人がやられているからといって、自分にはその敵が来ないから、匂い情報が来ても防衛をあまりしないのだ、と考えました。

実験の結果、セイタカアワダチソウが被害をうけたときに出す匂いは、セイタカアワダチソウの遺伝子型で異なる(つまり「血縁」により差がある)ことが示されました。また、「血縁」が近い匂いを受容したときほど、誘導防衛が強くなり被害に遭わなくなることがわかりました。そしてセイタカアワダチソウの遺伝子型(つまり「血縁」)によってセイタカアワダチソウ周辺の昆虫群集が異なること、さらに血縁が近いほど周りの昆虫群集が似ていることが明らかになりました。

これらの結果から、セイタカアワダチソウは、匂いで「血縁」関係を認識できること、そして、より必要なときに防衛を強くすることが示唆されました。植物にはまだまだわかっていないことがいっぱいありますね。

Plant–plant communication and community of herbivores on tall goldenrod 
Kaori Shiojiri, Satomi Ishizaki, Yoshino Ando
Ecology and Evolution
First published: 02 May 2021 https://doi.org/10.1002/ece3.7575




【塩尻(別役編集)】