ラオスの展覧会で講演をおこないました

2017年8月12日、ラオス、ルアンパバーン市の博物館TAECで、現在開催中の
企画展「Seeds of culture: From Living Plants to Handicrafts」の関連行事で
講演「Travel to Naga New Year Festival in northern Myanmar」をおこないました。

ジュズダマ属植物と人びととのかかわりをテーマにしたこの展覧会では、
学術企画と資料提供を落合が担当しています。
開催期間中、展示内容を解説する講演4回を予定していますが、
今回がその3回目、ミャンマー北西部のナガの人びとの衣装についてお話ししました。




また一部の展示資料については、スタッフにご協力いただきつつ、入れ替えをしました。
この展覧会はTAEC Traditional Arts and Ethnology Centre, Luang Phabang, Laosにて
2018年8月まで開催しています。機会があれば、ぜひご参加下さい。(落合)










香港フードエキスポ体験実習

2017年8月13日から22日までの10日間、食料農業システム学科3回生7名が香港で研修を行いました。メインイベントは、8月17日から開催された香港フードエキスポでの体験実習で、その前後に、在香港日本国総領事館、ジェトロ香港事務所や但馬屋さん(和牛輸入販売業者)などを訪問してお話しを伺ったほか、スーパーマーケットやローカル市場の見学なども行いました。

香港フードエキスポはアジア最大の農産物・食料品展示会で、日本からも農林水産大臣が来訪してテープカットを行ったほか、日本の農産物・食品をアジア諸国に販売しようと多数の企業団体が出展します。参加した学生たちは3日間、こうした企業のブースでお手伝いをし、海外向け食品マーケティングの現場を体験しました。(竹歳)






スーパーマーケットにあった日本産ジャンボスイカ
ロ-カル市場の肉屋さん


梨の収穫体験と梨まつり

8月19日、東近江市愛東で梨の収穫体験をしました。1カ月程前に袋かけ作業をしたときには、まだ小さかった梨が大きくなって食べ頃になっていました。学生からは、梨の成長をみたことで愛着を感じるという声が聞かれました。
水分補給と勉強を兼ねて、4つの品種(愛甘水、幸水、なつみず、秋水)を試食。味や食感の違いがよくわかりました。どれも美味しく、感動ものでした。
「いろいろな農家の梨と混ぜられても、自分の梨はすぐわかる」という園主の言葉に、梨をしっかりと観察しながら手間をかけて栽培するプロ意識を感じました。
翌20日は、午前中、梨の選果場で選果や出荷のお手伝いをしました。午後からは「あいとう梨まつり」に補助スタッフとして参加しました。ステージの設営を手伝ったり、イベントのアシスタントをして祭りを盛り上げました。また、会場で自分たちがつくった紫蘇ジュースと梅ジュースの販売も行いました。日差しが強く暑い日だったので、完売しました。学生たちは炎天下の中、大活躍でした。
愛東での農業体験とイベント参加は、今後も続けて行く予定です。(淡路)

   収穫作業:どれを収穫すべきか慎重に選びます。

梨の試食:味と食感の違いを実感。糖度も計測。
梨の袋詰め:重量をそろえるのが難しい。
イベント:ステージで祭を盛り上げます。 
 ジュース販売:学生たちが作ったジュースを販売。




日本遺伝学会第89回大会の市民公開講座「変わりものを探そうー多様性は生物の基本ー」(9月16日、岡山大学津島キャンパス、創立50周年記念館)


 日本遺伝学会第89回大会の市民公開講座「変わりものを探そうー多様性は生物の基本ー」(9月16日、岡山大学津島キャンパス、創立50周年記念館)で、中村千春教授が「遺伝の法則に導いた変わりもの」と題した講演をします。


 メンデルの論文「植物雑種の実験」が発表されてから151年が経ちました。オーストリア帝国モラビアの農村ハイツェンドルフに小作農の子として生まれ育ったメンデルは、苦学の青年期を経て、ブルノの聖トーマス大修道院の修道士・司祭となりました。ナップ院長をはじめ、メンデルの才能を愛でた多くの人々の理解と支援を得て、ひそやかに、しかし確固とした目標と信念をもって始めた10年に及ぶエンドウマメの交配実験が遺伝学の扉を開きました。メンデル遺伝学は「子孫に伝わるのは形質ではなく形質を支配する遺伝子である」ことを私たちに教えてくれますが、この大発見に導いたのはエンドウマメの「かわりものたち」でした。幾多の論争を経て、メンデルの名は遺伝法則とともに不
滅の栄光をもって科学史に刻まれました。講演では、メンデルの成し遂げた仕事と、人間・自然・生き物を愛したその人なりを、メンデルが生きた時代背景とともに振り返って見ます。


中国東北部のダイズ生産と豆腐料理

昨年度の日本のダイズの生産量は23.5万トン,作付面積は15haで,平均収量は10a当たり157kgでした.水田転換畑での生産が主であり,畑の排水不良などから安定生産が難しく,ここ数年数値は少し上がったものの自給率は7%と低くなっています.そんな状況から,私たちはダイズの研究も進めていますが,8月初旬,中国東北部黒竜江省のダイズ畑を視察してきました.ハルビンにある東北農業大学農学部の先生と旧知の仲であり,彼が莢伸長期のダイズ畑を案内してくれました.中国はダイズの大消費国で,国内生産量は年間約1300万トンにのぼりますが,一方で8600万トンを輸入している世界ダントツ一位のダイズ輸入国です.10a当たり収量は180kg程度と,アメリカやブラジルの300-350kgより低いですが,国全体で720haのダイズ作付面積があり,これは日本の全農耕地面積の1.6倍にあたります.まぁ,とにもかくにも,その広大な圃場の連続には驚かされました.ダイズを見たら豆腐が食べたくなり,「ロバの豆腐屋さん」というこの地域で有名なお店に行き,美味しい豆腐料理も楽しみました.昔はロバを引いて豆腐を売っていたそうですが,現在ではとても立派な工場になっています.木綿豆腐の冷や奴(醤油と青唐辛子で味付け)はボリューム満点で美味しく,黒竜江省で有名な「水餃子」も豆腐入りのものを頂きました.ダイズを視察して,お豆腐を頂き,ダイズ研究のモチベーションが高まりました.
総面積5万haの「趙光農場」に栽培されるダイズ(飼料用トウモロコシ,コムギ,ジャガイモとの4年輪作).ちなみに滋賀県の全耕地面積は4万haです)

莢伸長期のダイズ.今年は7月の干ばつで収量はやや低い予想とのこと

豆腐入りの水餃子(東北地方は粉文化の地として知られています.客人が来た時に「麺」で歓迎し,送る時には「餃子」をふるまうとのことです)
photo & text: Hiroyuki Daimon

えだまめの選果場視察

2017年8月7日、台風の迫るなか岐阜県にあるJAぎふのえだまめ選果場を視察しました。えだまめの生産は大雑把に言うと東高西低で、関東、東北、北海道の生産量が多いのですが、京阪神市場には岐阜県や徳島県から多くのえだまめが出荷されています。

えだまめの収穫適期は3日ほどしかないそうで、収穫後も鮮度を維持するために選別・調整作業は時間との戦いです。そんななかでも、この産地は収穫後3回にわたって厳しい選別・等級分けをおこない、その品質は市場で高く評価されています。

熟練した人の目による選別

商品のパッケージには鮮度維持用のフィルムが使われていて、計量・パッキングはすべて機械化されています。


枝付きのまま出荷したほうが新鮮で農家の方も楽なのでは?などと思っていたのですが、実は普通に育てたえだまめは背が高すぎて流通で扱いづらく、ちょうどいい大きさで鈴なりにするには途中で摘心するなど栽培に手がかかるため、大きな産地では枝付き出荷は逆に難しいそうです。

パックされたえだまめの背後にこれだけのこだわりがあることを初めて知り、えだまめ(とビール)が一層美味しく食べられそうに感じた視察でした。(山口、淡路)

マツタケ山での学び

 資源生物科学科入門ゼミにおける体験学習の一環として、京都市左京区にある香川山で、マツタケ生息地の復活を目指しているグループの活動に参加してきました。マツタケ発生に関する生理生態や里山の現状、また共同作業を通じたコミュニケーションの重要性を学びました。
 活動日(722日)は曇りがちで気温・湿度ともに高く、山中での作業には厳しい状況でしたが、学生達は里山の手入れをはじめ、ほとんどが未体験であったであろう様々な作業をてきぱきとこなしていました。
 午前中には、グループ代表の吉村さんから、里山やマツタケ研究の歴史、マツタケ山復活に向けた活動などについてお話を伺いました。昼食には、グループの方々による自家栽培の無農薬野菜を使った夏野菜カレーとサラダをご馳走になり、午後の山中での作業はその方々の指導の下で行われました。里山林落葉腐食の堆肥化施設の見学、吉村さんによるマツタケ山手入れの解説、マツタケ発生地の位置や環境の観察、林下の落枝を収集・運搬して山積みする作業などを体験し、大変有意義な一日を過ごしました。
 今回は昨年度の入門ゼミ生も2名参加し、学年間のつながりの強化にも一役買ってくれました。今後もこの体験学習を継続していきたいと考えています。



photo: Hideaki Iwahori
text: Hideaki Iwahori (& Ikuko Sasaki)

講義「分子育種の現場から」

「植物ゲノム情報学II」で白澤健太さん(かずさDNA研)をお招きし、ゲノム育種に関する講義をしていただきました。系統間で多型の出にくい作物では、NGS (次世代シークエンサー) を用いたゲノムワイドな比較が有効です。講義では、ゲノム情報を活用したラッカセイの高オレイン酸含有系統の育種について伺いました。講義を聞いた学生さんからは、「ゲノム情報が育種に生かされていることに驚いた」「品種改良のスピードアップが期待できる」といった感想が寄せられました。