入門ゼミ学生の挑戦 学会参加

 入門ゼミという科目は、一年生の前期の科目で、大学生活に慣れるように、レポートの作成の仕方やら、ワード、パワーポイントを使ったプレゼンの方法やらを演習します。

その中で、受講生の一年生たちと自然に話あう機会があり、「もっと研究に触れたい」という意欲を示してきた学生がおりました。

「学会に参加したらどうでしょうか、学生なら無料なこともあるし、研究の最前線を知るいい機会になるかもよ」とけしかけてみたら、実際に学会に参加してみたようです。

ちょうど最近に実施された学会のようなので、日本細胞生物学会でしょうか。参加にあたって、指導教員として押印したので覚えていないのは失礼ですが、本日、この授業の後で、学会参加したことを報告してくれました。

「驚いたことに、日本語なのに、何もわからないのです!」と嬉しそうに話してくれました。キーワードを知らなければ、短時間の発表でコンパクトに話したい演者の話の内容にはついてはいけないでしょう。「そりゃそうだろうね。でもこれからの学びの中で、それらの言葉がわかるようになり、そうなるとちょっと離れた分野のデータでも見えるようになることがあるのですよ」と話をしました。

「そういうものですか!」となんだか嬉しそうな様子にたくましさを感じました。

わからない、ということを実感するのはいいことだなと思います。

伸び代だけやん!と彼のこれからに期待しています。

(古本)

大津税務署の方から酒税について学びました。

 

 微生物学Ⅱの授業の一環として、大津税務署の方をお呼びして酒税や酒類醸造・販売の現状をお話し頂きました。海外では、日本の酒類の評価が極めて高いことや酒税の仕組みなど、
とても興味深く聞かせて頂きました。
 サマーセッションで実施する発酵醸造学Ⅱでも、大津税務署の方に講演をしてもらう予定です。興味のある方はお知らせ下さい。(島)


京都翔英高校の学生さんと採蜜

 ミツバチの群から蜂蜜を搾るのは、いつでもできるというわけではありません。春先に蜂蜜を採ってしまうと蜂の群が大きくなる勢いを失います。群を大きくするのと、花の時期とを勘案し、採る量が決まります。また、梅雨が明けると花が咲かない時期になりますので蜂蜜は採れなくなります。

一方で、大きく育ってきた群では、適切に採蜜しないと、産卵する場所を失い、蜂群には良いことではありません。ということで、いつ、どれほど採るか、を判断するのがちょっとしたギャンブルの要素もあり、養蜂の面白さの一つです。そして、今は、春の採蜜の最後の時期です。

実験用に育てている群が大きくなってきましたので、先週は、木曜日に瀬田キャンパス内のGLKキッチンスペースでキャンパス内の皆さんを対象に、引き続いて土曜日には京都翔英高校の学生さんたちを対象に、採蜜体験イベントを行いました。

個人的にお世話になっている高校の先生に声をかけ、興味がある学生さんを集めてもらいました。15名程度の方が集まってくれて、搾り、味わい、そして巣の様子を見てもらいました。

農学部での学びの面白いところは実際に体験できるところです。

採蜜の様子はテレビ番組やネットでも観れますが、実際に直に触れると感じ方も変わりますし、リアルな感触と、何よりとれたてのハチミツの味わいが五感を刺激するので、心の中からワクワクする気持ちが生じます。

六角形のハニカム構造も、その一部屋の底にチョンと置かれた産みたての卵も、新しい女王蜂の部屋(王台)も、見てみるとよくわかります。

刺されないのですか、なぜ煙をかけるのですか、怖くないのですか、何の花から蜜を集めているのでしょうか、など色々な質問をいただきました。








私の研究室での養蜂は、研究をベースにしたものですが、なかなか研究の方は進展しません。ですが、養蜂や植物栽培を通じて、不思議だなと思ったことを中心に深掘りしていくスタイルが、大学での研究活動の面白さの一つです。
その一面をちょっとでも実感してもらえたのではないかと思います。高校でのこれからの学びや、進路など、それぞれのこれからに活かしてもらえたらと思います。

(古本)


入門ゼミで奈良県・西本氏によるイチゴの講演会

 2023616日、1年生を対象とした入門ゼミで、奈良県大和野菜研究センターの西本登志所長から「わが国におけるイチゴ栽培・品種の歩みと奈良県における品種開発」と題してご講演いただきました。西本氏は奈良県育成品種「古都華(ことか)」のほか、これまで多くのイチゴ品種の育成に携わってこられました。イチゴの栽培や品種の歴史から始まり、現在栽培されているイチゴ品種の特徴、奈良県のイチゴ新品種の紹介、品種登録制度など盛りだくさんの内容でした。また、育種での苦労話や新品種の誕生の秘話など、他では聞けない貴重なお話も聞かせていただきました。学生からは「イチゴは果物の中で一番好きだが、栽培方法を知らなかったので勉強になった」、「イチゴの品種がこれほど多いとは知らなかった」、「味の嗜好性は人によって異なるので、品種を選抜するのは大変な作業ということが分かった」などの感想があり、学生はもちろん私にとっても勉強になる講演でした。

(植物病理学研究室 平山)



小学校3年生に出前授業

 応用昆虫学研究室樋口は、2023615日、生駒市立俵口小学校3年生を対象とした出前授業に行ってきました。小学校3年生は、理科で昆虫の特徴や成長について学んでいるところで、「昆虫の面白さ」についてお話をしました。昆虫は脚が6本、翅が4枚から始め、後半は擬態(隠れて生きるか?目立って生きるか?)の話をしました。小学校3年生ですので、使える漢字や言葉にかなりの制約があり、スライドづくりにも苦慮しました。質問も沢山ありましたが、分かりやすく説明できたかどうか、不安も残りました。40分程度ではありましたが、小学生の発するエネルギーには圧倒されました。いつもとは異なるとても楽しい時間を過ごすことができました。俵口小学校の児童の皆さん、先生方、ありがとうございました。

(応用昆虫学研究室 樋口)



研究成果が論文として公表されました(生命・別役研)

 Frontiers in Plant Scienceという雑誌に、以下の研究成果論文を発表しました。

Targeted single-cell gene induction by optimizing the dually regulated CRE/loxP system by a newly defined heat-shock promoter and the steroid hormone in Arabidopsis thaliana. Front Plant Sci. 14, 1171531, 2023

Tomoi T#, Tameshige T#, Betsuyaku E, Hamada S, Sakamoto J, Uchida N, Torii UK, Shimizu KK, Tamada Y, Urawa H, Okada K, Fukuda H, Tatematsu K, Kamei Y and Betsuyaku S*. 



狙った細胞の機能を思い通りに操作する...多細胞生物のからだを構成している任意の一細胞で、興味ある遺伝子の発現を思った通りに制御することは生命科学研究者の一つの大きな夢だと思います。植物において、そんな夢を可能にする技術を確立しました。

プレスリリース(解説)

最近、光を使って生物をコントロールする「光遺伝学」という技術が急激に進歩しています。光を使うと、波長の違いによる制御はもちろん、微細加工にも使われるような細やかな制御が可能です。この研究では、一細胞を狙って赤外光を当てることでその細胞のみで目的の遺伝子を発現させることを可能にしました(ヒートショックと呼ばれる現象を利用。温度生物学もノーベル賞受賞など、盛んになってきています)。


この研究成果を発表するまでには大きな苦労がありました。2010年にこの成果の元になるアイデアに出会ってその利用を考えたのですが、実際にやってみると自分のアイデアが典型的な「机上の空論」であったことに気づいて全くうまく行きませんでした。その後、何度も諦めかけましたが、その都度、偶然の成果やいろんな人との出会いがあって、13年経って、ようやく思い通りに操作できるところまで辿り着きました。「偶然の成果」と書きましたが、諦めないで、正しく、たくさんの失敗をした結果、得られた「偶然」だと感じます。


ちょうど今週の生命科学実習で、3回生に「(特に若い学生さんの実習などでは)綺麗なデータを得ることよりも、間違えた・失敗した時にその原因をよく考えることの方が大事ですよ」という話をしました。研究のみならず、トライ&エラーはとても大切です。研究室に所属する前に、この実習でそんな体験を数多くしてほしいと学科教員は考えています。


今回の研究成果の元となったのは、10年前に僕が初めて担当した学生さんの修士研究でやってもらった実験です。当時、注目していた目的のものではなく、その対照区(偶然に一般的ではないものを用いた)として用意したものが実は一番良かった、という発見に基づいています。期待通りにならなかったことでその学生さんはがっかりしたかと思いますが、きっちり丁寧な実験をしてくれたおかげで、ただの対照区でしかなかったものが、実はとても優れていたことを見出せました。うまくいかなかった時に、なぜ?としっかり考えたおかげです。


それでも失敗続きだと気持ちも続きません。そんな時に助けてくれるのは仲間の存在です。10年に渡って研究を続けていく間、たくさんの優れた共同研究者に恵まれましたし(この論文の共著者の数を見てください)、折れそうな心も支えてもらえました(途中、折れていたかも、、)。また、サポートしてくれたいろんな研究費プログラムのおかげでもあります。


論文として発表できましたが、実はこれは13年前の当初の目的の技術が確立出来ただけです。この技術を使ってようやく当初の目的に取り組むことができます(既に研究室の学生さんが取り組んでくれています)。技術そのものもまだまだ磨く余地があります。引き続き頑張っていこうと思います。


(失敗談の紆余曲折は載っていませんが)興味のある方は是非読んでみてください。


(別役)

応用昆虫学研究室修士2年の阿南君が学会発表

 202362日、大津市の「コラボしが21」で開催された関西病虫害研究会第105回大会で、応用昆虫学研究室修士課程2年生の阿南創君が、「クモヘリカメムシに寄生するヤドリバエの種と寄生率」と題して口頭発表しました。水稲に斑点米被害を引き起こすクモヘリカメムシについて、成虫に寄生するヤドリバエの種と寄生率の推移、幼虫に対する寄生の有無、越冬成虫に対する寄生状況などについて紹介しました。会場からは、クモヘリカメムシを採集した場所、寄生されたクモヘリカメムシの繁殖能力の有無、ヤドリバエのクモヘリカメムシ成虫への産卵箇所などについて質問がありました。今後の研究の参考になりました。

(応用昆虫学研究室 樋口)