資源生物科学科(2023年から農学科)を志望する皆さんへ⑲ ~農耕地で炭素蓄積~

 我が国では,堆肥や厩肥を用いる習慣が古くからあり,現在も「土壌改良資材」として用いられています.しかし,堆肥は土壌中の微生物によっていずれ分解されてしまいます.近年,持続可能な農業の観点から土壌に炭素を固定する研究が進んでいます.私たちの研究室でも水質浄化剤資材(PAC)を使い,土壌改良効果を長持ちさせ,かつ,炭素固定を目指した「難分解性の堆肥」を作成する研究に取り組んでいます.作成した「難分解性堆肥」は,牧農場に埋設して,どのくらい効果があるのかを調査中です.埋設試験では,数百個のサンプルを作るため,準備は大変でしたが,現在,毎月,結果が出るのを楽しみにサンプリングしています.温暖化対策に貢献できると良いですね.

(土壌学研究室:森泉)

 普通の堆肥と難分解性堆肥をそれぞれ封入したサンプルを圃場に埋めて行きます(4月).

 

 

 


夏のオープンキャンパス第2弾

 2022年8月20日・21日に、夏のオープンキャンパス第2弾が瀬田・深草・大宮の3キャンパス同時に開催されました(第1弾の様子はこちら)。農学部は瀬田キャンパスで各種イベントを開催していますが、実は食料農業システム学科は深草キャンパスでも出張オープンキャンパスを実施しています。ここではその様子を少しご紹介します。


8月20日土曜日、いまにも雨が降り出しそうな蒸し暑い天候のもと、深草キャンパス22号館の1階一番奥のスペースで、農学部食料農業システム学科の展示・個別相談を行いました。

教員紹介と活動紹介

訪れてくれた方々のなかでは、高校1年生の割合が多かったように思います。学生アルバイトは、「自分が高校1年生の頃はオープンキャンパスを見にいくなんて考えていなかった」とのことで、来場者の意欲的な様子に感心しながらさまざまな情報を提供していました。来年度はぜひ瀬田キャンパスも見に来てくださいね!

学生アルバイトが、高校1年生の来場者と対話中

深草には文系学部が揃っていますが、食料農業システム学科はそれらの学部との併願も可能です。食と農にターゲットを絞って、経済学や社会学、経営学、民俗学、政策科学など幅広く専門的な知識を習得できることが当学科の大きな特徴ということで、例年深草でも情報提供を行なっているところです。

当日は学科紹介も実施しましたが、時間の関係で模擬講義はほんのさわりの部分しか紹介できませんでした。オープンキャンパスのホームページで続きが紹介されていますが、それをここにも掲載しておきます(オープンキャンパスのオンラインコンテンツやアプリでは、この他にも模擬講義が多数紹介されています。ぜひご参照ください!)。


今年度の展示はこれで終了しますが、今後9月と3月には入試対策などに絞ったオープンキャンパスを深草キャンパスで開催予定です。大学ホームページ(リンクはこちら)やアプリでの情報発信にご注目ください。

暑い中ご来場くださった皆さん、ありがとうございました!(山口)


芦生研究林 ゼミ実習&合宿(2日目)

 ゼミ実習&合宿 2日目は、芦生研究林散策です。

9時には部屋を掃除器までかけて整理整頓して、昼食もつくって出発しました。

マイクロバスで約40分かけて、山に登りました。その後、熊剥ぎにあった樹木や、芦生にいるの植物・生物を探したり、説明をうけながら歩きました。また、谷一面をシカ柵で囲った地区の植生の違いを見ました。シカがいる場所ではシダ植物などシカが食べない植物の数種で覆われているのですが、シカ柵内の下層植物は、とても多様でした。




今回のもう一つの実習は、シカ除去区と放置区(コントロール)区の昆虫相の違いを調べることです。各区で虫をとったあと、龍谷大学に持ち帰り、分類します。



最後は、昼食後に大カツラの木の前で記念撮影です。



毎度のことながら、とても楽しく充実した実習&合宿でした。

(文責:塩尻)


「植物ー微生物相互作用学」での外部講師講演(農研機構_藤川氏)

   7月4日(月)に「植物–微生物相互作用学」の授業で、外部講師として藤川貴史氏(農研機構植物防疫研究部門 基盤防除技術研究領域越境性・高リスク病害虫対策グループ 上級研究員)をお招きして、講演会を行いました。

農学部ニュースへのリンク

普段は植物の耐病性や病原体の病原性に関わる遺伝子やタンパク質の話が多い授業ですが、こういった「植物と微生物の相互作用の基本原理の解明」は、「実際の農業現場での病害防除や拮抗菌や有用菌といった微生物有効利用」と対になっていて、どちらが欠けても、将来的に持続可能なより良い農業生産には繋がりません。そこで普段の授業と相補するような形で、実際に農業現場での病害防除に取り組んでおられる藤川氏に話題提供をお願いしました。藤川氏からは、農研機構という組織の紹介から始まって、国内の特に果樹細菌病害防除に関わる取り組みを様々な観点からご紹介いただきました。藤川氏の学生目線に立った軽妙な語り口と、長年にわたる現場での経験に基づく豊富な話題で、受講者も普段の授業以上に興味深く聞き入っており、教員の立場からも勉強になる時間でした。





この授業では特に3回生の受講者が多く、まさにこれから自分の将来を明確化させていく時期です。今回の藤川氏のお話が、受講者の皆さんの将来設計に役立つことを祈っています。最後に、藤川さん、遠路はるばるどうもありがとうございました!

(別役)







芦生研究林 ゼミ合宿(1日目)

 今年も中間発表を兼ねて芦生研究林のゼミ実習&合宿にいきました。(7/25-26)

最初に、研究林長による芦生研究林の紹介とここでされている研究の話をききます。つぎに、恒例の中間発表会です。いつものことですが、思った以上に時間がかかり、いつのまにか、時間がすぎていました。



その後は、川遊びをしたり夕食準備をしたりします。




夕食後には、今年は虫好き学生が多いので、ライトトラップをして昆虫採集をしました。(もちろん、虫好きな学生だけ)

 
さすが、山奥だけあって都会では取れないものが採集できたようです。
(2日目に続く)

(文責:塩尻)




植物生命科学実習(7/5, 12, 19, 26)

 7月に入り、植物生命科学実習もいよいよ終盤になりました。

土岐先生の実習では、4回にわたってDNAマーカーのジェノタイピングとそれを使った連鎖解析を行いました。


材料にはシロイヌナズナのColumbia株(以下Col株と略します)とLandsberg erecta(以下Ler株)を両親に使ったF2集団を使いました。

 

Col株とLer株には以下に示す特徴があります。

トライコームというのは、葉の表面にできるトゲのような毛のことです。

Col株はありますが、Ler株はありません。

また花のつき方も違います。

Col株は総状花序といって、主軸に対して柄が長く伸びた花が間隔を空けて付いています。

一方、Ler株は先端に花芽が密集しています。

 

これらは、それぞれ独立の1つの遺伝子によって形態が変わります。

Col株とLer株を掛け合わせることで、メンデルの遺伝様式に従った分離を示すことが予想されます。

 

今回の実習では、トライコームのあり・なしを支配する遺伝子に連鎖するマーカーを使い、F2の個体がホモなのかヘテロなのか調べました。

まず、親系統とF2集団の個体からDNAを得ます。

今回はPCRをかけることが目的なので、簡易法で回収しました。

F2集団の個体は、トライコームのあり/なしを判別してから材料としました。

 

これらのDNAを鋳型に、3つのマーカーでPCRを行いました。

PCR産物を電気泳動します。

実習では何度も電気泳動を行いました。

繰り返すことで手順を覚えて、スムーズに実験できるようになりました。

 

泳動結果を元に、考察します。

F2Col型なのかLer型なのか、あるいはヘテロなのか、皆さん判別できたでしょうか?

 

最後に、実態顕微鏡を使ってトライコームの観察と花序の観察を行いました。



前期の実習はこれで終わりです。

実習で得た技術や知識を、卒業研究にしっかり活かしてくださいね。

 

                                  (辻村)

資源生物科学科(2023年度から農学科)を志望する皆さんへ ~総合型選抜入試を新設~


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食料や農業に関心がある人、生き物が好きな人、環境問題に関心がある人の受験を歓迎!

詳しくはこちら → 総合型選抜入試 新設 


 

夏のオープンキャンパス

 2022年8月6日と7日、瀬田キャンパスで夏のオープンキャンパスが開催されました。食料農業システム学科では9号館2階大会議室にコーナーを設け、教員と学生スタッフが高校生やその保護者のみなさんをお出迎えしました。

         教員紹介

         活動紹介パネルと著書やサンプルの展示

         活動紹介パネル
         
         高校生や保護者の質問に応える教員や学生スタッフ


            学部学科紹介


         模擬講義
 
暑さの厳しい時期にもかかわらず、多くのみなさんにご来場いただきました。ありがとうございます。とくに、食料農業システム学科をぜひ受験したい、文系だけれど農学部に入りたい、という高校生のみなさんに会うことができて、心強く感じました。

つぎのオープンキャンパスは、8月20日(土)21日(日)です。まだこれからという方も、もう一度確認をという方も、どうぞご参加ください。(落合)






金子ゼミ AGRI SUMMER FES.(農産物・加工品の販売会)を開催

2022年7月21日(木)に金子ゼミは龍谷大学瀬田キャンパスのGlobal Lounge & Kitchen(GLK)にてAGRI SUMMER FES.を開催しました。当日の様子などを中山くん、加納くん、木下さんに聞いてみたいと思います。

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 私たち金子ゼミの3年生17名は、今年4月から食や農の問題の解決方法を考える5つのプロジェクトチームを作り、目標の設定、企画書の作成、フィールドワークを行い学びを深めてきました。そこで得た学び等を発信する方法として、フィールドワーク受入先の生産者・製造業者の方々と共に7月21日にAGRI SUMMER FES.を開催し、農産物・加工品の販売、ワークショップの実施、抽選会の開催をしました。

PJ・フェアトレ班は、フェアトレードを知ってもらうことを目的に、Demeterさんのカンボジアの自然の恵みのハーブティーを販売しました。

 4K班は、有機農業の魅力を多くの人に知ってもらうことを目的に、86farm &まころパンさんと共に有機野菜セット、蜂蜜、京小麦のパン12種類の販売と、蜂蜜ワークショップを開催しました。可愛い動物パンは特に人気を集めていました。

 チャチャチャ班は、滋賀県産の朝宮茶の魅力を伝えるために、山本園さんと共に滋賀県産朝宮茶とお茶スイーツの販売、お茶入れ体験を開催しました。水出し茶は暑い夏にぴったりと評判でした。

えだまめ班は、食品ロス削減に貢献することを目的に、浅小井農園さんの朝恋トマトとしんやさい京都さんの九条ネギ、万願寺とうがらし、加茂ナスなど形が変わっているけれど美味しい規格外の野菜を販売しました。

SNS&お助け班は、龍谷大学、農学部やゼミの魅力を発信することを目的に、ゼミ活動のSNS(Instagram、YouTube)の発信に加えてガラガラ抽選会を開催しました。

想像していた以上の方々にご来場いただき、とても嬉しかったです。

AGRI SUMMER FES.の成功点は多くの来場者様に楽しんでいただけたこと、協力企業様の商品をほぼ完売できたことの2点です。一方でイベントの告知が上手くできなかった点など反省点も多くありました。準備段階から広報の工夫をもう少し模索するべきでした。今回得られた反省点を改善できるよう今後の活動に活かしていきたいです。

また、フィールドワークでお世話になった企業様のご協力がなければイベントは実現しませんでした。本当にありがとうございました。(中山・加納・木下)

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ゼミ生達はモノを販売することの難しさや楽しさを学べる良い機会となったようです。

ご来場いただいた皆様、ご協力いただいた企業の皆様、GLKの使用や販売業務でお世話になった皆様、改めまして感謝申し上げます。(金子)

土壌DNAで線虫診断(植物線虫学研究室、応用線虫学研究室、長野県)

 三年間の共同研究で、土壌から直接DNAを抽出して、テンサイシストセンチュウの生息量を大まかに定量することに成功しました。この成果は、Nematological Researchという学術雑誌に論文掲載が決まりました。

 


 この方法を更に改良して、土壌の健康状態を調べる方法を開発していきます。作物の生育に適した土壌にはどのような線虫種が多いまたは少ないのか、連作などによって植物が吸収できる養分が枯渇した土壌では、線虫種のバランスはどのように変化するのか(線虫叢とよんでいます)を調べています。(浅水)

植物生命科学実習(5/16, 5/23, 7/11, 7/25)

 今回の3回生の植物生命科学実習は「プログラミング言語Rを用いた実験結果の解析」でした(担当教員:小野木先生)。普段の実習室と違い、情報教室での実習です。

Rは統計解析を得意とするプログラミング言語で、特に生物学で人気があります。また、高校では今年度からプログラミング授業が必修化したこともあり、データ分析の知識やスキルはこれからの時代に必須と言えます。今期は4回に渡って、Rの代表的なデータ構造から記述統計、仮説検定、データの可視化(箱ひげ図、散布図etc)、分散分析、多重比較、回帰分析(ロジスティク回帰、ポアソン回帰も)、機械学習(リッジ回帰、ランダムフォレスト、異常検出、次数削減)などを学びました。

習では、座学と実践を交えて、各自でRのソースコードを記述し、実行していきます。ただ単に機械的にタイピングしても意味がありませんので……コマンドの内容を理解する必要があり、中には苦戦している方もいましたが、エラーが起きてもひとつひとつ対処することで実践力が身に付き、Rが身近なものになったのではないでしょうか。3回生の方はこれから卒業研究に向けて実験データの分析を行うと思いますので、今回の実習で学んだ解析のテクニックを是非、活かしてください。
(中田)

食料農業システム実習:発表会


 2022年7月31日、食料農業システム実習A(2組・高島)の総仕上げとして、レポートの発表会を開催しました。折からの第7波で滋賀県も過去最高の感染者数を記録するなか、実習先のご協力も得て発表会は完全オンラインで実施することとなりました。

発表会はzoomで実施しました

6月末に実施した現地実習の模様は、こちらのブログ記事をご参照ください。受講生は2グループに分かれてそれぞれ現地でヒアリングした内容や参加した作業についてレポートをまとめ、その内容を発表しました。

現地実習でお世話になった高島市マキノ町森西の方々からは、よく調べられているというコメントとともに、事実認識の誤りについてもいくつかご指摘いただき、また、もっと踏み込んで提案を具体化してほしいという厳しくも温かい激励もいただきました。

このクラスの実習はこれで全てのプログラムを無事終了しましたが、これでおしまいではなく、受講生にはぜひ今後もこの縁を大事にして地域と関わっていってほしいと思います。末尾になりましたが、事前学習・現地実習・発表会と長期にわたり、お忙しいなか細やかにご対応いただいた現地の方々に改めて厚くお礼申し上げます。(山口)

ありがとうございました!