卒業生の研究成果が論文として公開されました(生命・小野木研)

 一昨年度卒業した研究室4期生・大屋佑貴さんの研究成果が、論文としてGenetics Selection Evolution誌に掲載されました。

 

Heritability of behavioral traits and their genetic correlations with carcass traits in beef cattle

(肉牛における行動形質の遺伝率と枝肉形質との遺伝相関)

小野木章雄・大屋佑貴他

https://link.springer.com/article/10.1186/s12711-026-01082-5

(リンクからどなたでも論文を見ることができます)

この研究は、ウェアラブルセンサーによりウシ(黒毛和種の肥育牛)の行動をリアルタイムで記録し、その記録から定義した行動形質、例えば1日の平均採食時間や、反芻の回数、動き回った時間など、に対して、遺伝学的な解析を行ったものです。

 

首にセンサーを装着したウシ                                      共同研究をしている(一社)家畜改良事業団の広島産肉検定場にて撮影

ウシの行動には個体差がありますが、その差がどの程度遺伝子によって決まっているのか、またよく動くウシや食べるウシといった行動の差が、どの程度産肉性(肉量や肉質)に関わるのか、という点について、これまでほとんど知見はありませんでした。

 

本研究はこのような観点から行動を解析し、今後の品種改良や飼養方法の改善に役立てることを目的としました。その結果、様々な行動形質について、その多様性がある程度遺伝的であることと、産肉性の多様性との間に弱いながらも有意な関連があることを見出しました。例えば、頻繁かつ長時間反芻をし、動き回らないウシほど、肉量が多い傾向があることがわかりました。

 

今後はさらに研究をすすめ、例えば暑熱ストレスと行動との関連など、行動が関わる様々な側面を明らかにしていきたいと考えています。

小野木


海外農業体験実習 ハワイ 4日目

 本日のアクティビティーは、これまでこのプログラムに欠けていた「大学生との交流」という部分を埋める、今年初めて挑戦する活動です。

旅行を取り仕切ってくださるナオミ社長の繋がりで、ハワイ大学コミュニティーカレッジ(HCC)のSusanne Kazama学長(当時)とLew Nakamura先生に昨年お会いすることができました。Lew Nakamura先生は、Farm-to-Tableを基本にした農業活動を実践・教育されています。水耕栽培でレタスやキュウリを育て、学内のカフェテリアに提供し、食事として食べてもらうという活動です。我々の「食の循環」という概念に共通する部分があります。昨年のうちに、Nakamura先生の活動を見学させていただき、本年、初めてLew Nakamura先生を中心としたHCCの学生さんたちと交流することになりました。

ハワイ流のWelcome Ceremonyを準備しています、と事前に聞いていましたが、その詳細は当日、知りました。「Kīpaepae(キーパエパエ)」という儀式をしてくださいました。

ハワイ島という新しい領域に訪問者である我々が領域に入り込む際の、受け入れ・訪問のそれぞれの側のやりとりを儀式化したもの(と理解しました)のようです。

https://hilo.hawaii.edu/hawaii-papa-o-ke-ao/kipaepae/?utm_source=chatgpt.com

ハワイ語での祝詞(Chant)を通して、「訪問してもいいですか」という我々の問いかけと、「どうぞお入りください」という受け入れ側のやりとりがあり、法螺貝、椰子の木で作った太鼓、でのリズムの中で入場し、首飾りのLeiをいただきました。

この法螺貝は、深い海の底のもの(海によって繋がっている他の場所とハワイを象徴しているとのこと)、太鼓は母の心音(生まれる時に聞く初源のリズム)をそれぞれ表しているとか。

その後、フラにより、心の中のPere(火の神、情熱の象徴)を保っているかという問いかけを受け、さらにハワイ島の中で訪問すべき場所を提示されて、儀式は終わりました。

以下のリンクはその一部ですが、Hawai`i Community CollegeのInstaに上がっていましたので、リンクを示します。https://www.instagram.com/p/DcmqFNPGYcY/?img_index=3

以上は、HCCで学ぶ日本人の学生が翻訳・説明してくれたものをメモしたものを元に記事にしましたが、全部正しく記載できたか自信はありません。不正確でしょうが、自然への敬意、そこに生きる人を含めた生き物・文化への敬意、その領域に入り込んで学ぶことの意識を持っているか、ということを教えていただいたと感じました。儀式を受けている側ですので、写真などを撮ることができませんでした。これはNetで得る情報ではなく、ハワイ島に行き、実際に受けるべきものなのだと思いました。



引き続いて、先方の学生によるFarm-to-Tableの活動の説明のあと、我々の調査した「ポケ」と「マカダミアナッツ」についての結果を説明し、さらに「食の循環実習」について紹介しました。午前中はホテルで練習したのですが、その時よりも格段にいいプレゼンができました。Nakamura先生のプログラム構成などで緊張がほぐれたのが良かったのかと思います。

最後に、USDAのDr, Meyersさんに線虫について講演いただきました。

その後は、カフェテリアで提供されている「カルア・ポーク・アンド・キャベッジ(豚肉の蒸したものとキャベツの炒め物)」を中心に食事をいただきました。


その後、Nakamura先生のフィールドを訪ね、水耕栽培の様子や圃場を見学させていただきました。

ここ何年かハワイ島にはこの実習の引率で来ていますが、今回、初めての大学訪問で、発表時の「火事場のくそ力」のような学生たちの逞しさも垣間見ることができました。ただ、その後、2人が発熱し、この夜から体調を崩しました。知恵熱という言葉が頭をよぎりましたが、原因不明です。帰国までには復帰してくれたのが何よりでした。

Nakamura先生、Kazama先生、この2人を繋いでくださったNaomiさん、Anneさんには本当に感謝してもしきれません。ありがとうございました。この繋がりを広げていくように活動したいと思います。

(古本)

海外農業体験実習 ハワイ 3日目

 3日目からはヒロでの活動です。

午前中に、アンスリアムの栽培・販売・海外輸出を行う、Green Point Nurceriesのエリックさんを訪ねました。


100万株といったか、メモを忘れて正確な数を忘れましたが、広大な面積に火山岩を敷き詰め、遮光しアンスリウムを栽培しています。会社が立ち上がったころは近隣の農家から買い付けもしていたとか。ところが、高齢化などを理由に品質が保てなくなってきて、自社での生産に切り替えたそうです。もちろんそれまで買い取っていたところとは衝突が起こり、少し頭が痛い問題なのだとか。ここでも品質を守り、地域と折り合いをつけるというコナでも説明された問題でした。

他にもショウガ科の植物やランをうえはじめています。




ランは10年までに始めたとか。私たちがお世話になり始めたころに始めていたのですね。キラウエア火山の噴火で買い取っていた農園が焼け、自社生産を強めたとのことでした。

また、見学途中、イオ(ハワイ島の固有種の猛禽類ノスリの一種)が2羽、悠々と飛んできるところを目撃できました。KonaのGreenwell Farmでも見かけることができたのですが、これらはとてもレアなことのようです。解説をいただいている長谷川さんが、イオのchantをあげていました。写真は撮れませんでした。

次には、一丸さんのパパイヤ農園に行きました。





ここでも、いかに品質を保つのか、が課題でした。少しでも傷や歪みがあれば廃棄です。ついた実のうち、4割ぐらいが商品となるとのことでした。
GMOパパイヤであるレインボーの栽培や実食を経験させるのが私の意図ですが、パパイヤは4年で植え替えます。もうウイルス病が落ち着いたので、レインボーと非組み換えの品種を植えていました。

パパイヤもアンスリウムもコーヒーも、ブランドを守るために多くの努力を払っていることを感じることができました。
彼らに共通するのは「情熱」でした。
(古本)


海外農業体験実習 ハワイ 2日目

コナに泊まり、翌朝からはコナコヒーの見学です。

コナのコーヒーが栽培されている地域は、標高が高く、午後からは雲が出て雨が降ります。この毎日の雨が、コナでコーヒー栽培を可能にしている一つの条件です。

本日まず訪れたのは、村松小農園。ごく最近に入植され、コーヒー栽培を始められました。昨年、さび病が出て、大量に木を切ったため、コーヒーの摘み取り体験はできないとのこと。代わりにカカオの収穫体験をさせていただきました。

カカオ畑の中を進み、カカオを収穫します。

カカオは幹に直接実がつくタイプの植物です。花は温暖化の影響か、ここ数年で一年中咲くようになったとか。

収穫し、一部を割り、中の種を取り出します。周りは柔らかいクリーム状のものに覆われていて、それは口に含むと少し甘い。これを発酵させ、乾燥させ、種を割り、中にあるものを取り出せば、チョコレートの元になるニブができます。あとは、佐藤との配分を考えて練れば、チョコレートの出来上がり。
コーヒーと共にチョコをいただき、ひと時、素敵な風景を味わいました。

この村松小農園には、海外で農業体験をするプログラムを進める日本の組織の取り組みでやってきている玉川大学の学生さんと会いました。一年かけてここで学ぶいい体験です。

次には、Greenwell Farmに行きました。
コナのコーヒーベルトあたりで最も大きい農園の一つで、また、周囲の小さな農園からコーヒー豆を買い、焙煎・袋詰めなどをする中核となるところです。


世界中からオンラインで注文が来るのを捌いています。ここではマットさんから施設について、設備について、害虫管理のための農園の運営の仕方、そして、地域をどう教育し指導しコナコーヒーの品質を保とうとしているのかについて説明を受けました。

大量に作ればいいのではなく、ブランドを下げないようにどうするか、冗談を交えながらの楽しい会話の中に、時折、真剣に取り組んでいる様子が垣間見えました。

このあとは海岸まで出て、少し北側に遠回りしながら、ヒロに向かいました。
(古本)





海外農業体験実習 ハワイ 初日

 ハワイでの実習の参加者は、今年は6人。うち2人はハワイ島に来たことがあるもので、ハワイに魅入られている学生でした。もちろん初めての海外旅行というものもいます。

関空ーホノルル、ホノルルーコナ、とホノルルで一回乗り換えて、目的地のハワイ島コナにつきました。

日本ではうだるような暑さの中、コナは暑いけれども風が乾燥していて気持ちいい、そんな気候です。現地の人たちには、とても暑いところだそうですが、私たちはそうは感じません。

本日は、コナに到着後、内田農園を訪ねます。

日系1世の生活の様子を現代に残したLiving Farmです。Jimさんの案内で、昔のコーヒー栽培の様子を伺います。朝は4時から夜は12時まで、収穫時期は大変だったとのこと。

機械を作って、種を絞り出すことを機械化したり、あちらこちらに工夫の跡が見られます。苦難に耐えた一世のおかげで、コナコーヒーの栽培ができたのですね。日本人の艱難への耐性の高さを思い知りました。

(古本)