京都大学付属農場を見学しました


715日(土)に入門ゼミの一環として、117名の資源生物科学科1年生が8名の教員とともに、京都府木津川市にある京都大学付属農場を訪れました。はじめに、開設以来初めて満席になったという第1講義室で北島先生の講義を受け、エネルギーの地産地消をコンセプトにした新しい農場が移転2年目にして本格的に稼働し始めたことを実感しました。その後、3グループに分かれ徒歩で先端的な農場内を見学しました。とくに、光透過型有機材料(OPV)を用いた太陽光発電を温室に設置し、すでに興味深い実証実験が行われつつあるところが印象に残りました。施設から出ると外の空気が涼しく感じるほどの酷暑の中で1時間以上も歩き回りましたが、さすが農学部の1年生、落伍者もなく全員無事に見学を満喫しました。



photo & text: Shingo Hata

梨の袋かけと紫蘇ジュースつくり

7月15日、食料農業システム学科の学生6名が東近江市愛東で、梨の袋かけを体験しました。昨年からお世話になっている梨園にお邪魔し、猛暑の中、汗だくになりながら、作業を進めました。来月の今頃は出荷のピークとなります。大きくなった梨を収穫するのが楽しみです。

園主から説明を受ける

初参加の1回生もすぐに慣れました


梨の袋かけの後、紫蘇を収穫してジュースづくりに挑戦。葉を取り、洗浄して熱湯のなかに入れて煮出します。葉を取り出し、砂糖とクエン酸を加えて出来上がり。紫蘇の香りが漂い、鮮やかな赤紫の色が広がります。出来たてのジュースを早速試飲。農作業で疲れた体に染み渡ります。

紫蘇のいい香りが広がります

みんなで乾杯! 美味しい!

今回から1回生も加わりました。学年を超えたつながりを築きながら、愛東での農業体験を続けて行きたいと思います。(淡路)

コムギ畑の地力を緑肥で増強する


滋賀県の農耕地面積は5万ヘクタール程度ありますが,その90%以上を水田が占めています.近江のお米は美味しいと評判で,最近では早生品種の「みずかがみ」のように高温登熟に抵抗性を持たせた品種の育成も進み,昨年は特A米となったことは周知のとおりです.減農薬,減肥料によって環境こだわり米として生産する取り組みもなされています.一方,日本のコメの一人あたりの需要は年間55kgと年々減少し,食の欧米化が言われて久しくなっています.飼料として年間1000万トンのトウモロコシを輸入する一方で,コメの生産量は年間750万トンまで減少しています.コムギの自給率は14%と低く,パン用コムギに至ってはほとんどが輸入です.ここ滋賀県では,美味しいお米の生産に加えて,麦や大豆を輪作する体系に積極的ですが,中にはパン用コムギに専念している生産者さんもいます.先日,その方の圃場にお邪魔して出穂期の畑でコムギ栽培談義をしてきました.水田転換畑で畑作物を作るには,地力を維持する方策を考えないと長続きしませんが,この生産者さんは,夏作の緑肥を導入してその維持をはかろうと考えています.私は緑肥の研究に取り組んで長いので少しでも助言できればと畑に行ってきました(黄色い花の写真は,クロタラリアという緑肥作物です).パン用のコムギの収穫がこの地域の他のコムギよりも少し遅れるので,緑肥作物の生育がどの程度確保できるかが課題かもしれません.今後,この試行を支援できればと思っています.


text & photos: Hiroyuki Daimon

調査実習報告会

2017年7月11日と7月18日の2週にわたって、食料農業システム調査実習でお世話になった2ヶ所の調査先を訪れて現地報告会および意見交換会を実施しました。

報告会の様子1(東近江市)

報告会の様子2(東近江市)

意見交流会の様子(東近江市)

調査結果は学生が1から取りまとめを行い、自分達で報告内容を練り上げました。報告の最初は緊張気味でしたが、その後の交流会ではリラックスしたムードで活発な意見交換を行うことができました。

報告会の様子3(守山市)

報告会の様子4(守山市)
意見交流会の様子(守山市)

報告は拙い点も多々ありましたが、現地の皆様からは厳しくも温かいコメントをいただき、学生一同学びの意欲を新たにした1日でした。

報告を終えて:ジェラートタイム

2017年度の食料農業システム調査実習はこれで全日程を無事終了しました。お世話になった全ての方々に、改めて厚く御礼申し上げます。(山口)

「食 と農の総合研究 岡田班」と「湖南市連携事業 古本班」とで、タキイの研究農場を訪問しました

   研究農場では、研究農場応用研究グループ チーフの田中さんから、教育プログラムに展開するための作物種子の提供の可能性についてと、湖 南市で栽培すると良い作物について、情報を交換しました。その後、研究農場を見学させてもらいました。
  ちょうど研究農場は、一般公開の見学会が行われた直後で綺麗に整備されており、メロンやスイカ、オクラ、トマトなどの夏野菜や果物の栽培 を見学しました。
  農場見学の後、湖南市の産直市場「ココピア」を訪問し、市場見学も行いました。会議で話しているだけでなく、現場を訪問することで、色々 と実感することができます。湖南市との連携に向けて、手応えを感じた1日でした。
 (古 本)


1回生交流会


7月14日入門ゼミの時間を利用して、食料農業システム学科の交流会が開催されました。先生方の研究内容が中心に紹介されましたが。フィールドワークの姿や意外な趣味などもスライドで見せていただくことができました。終了後は全員で食事をし、楽しいひとときとなりました。(中田)
先生の研究紹介1

先生の研究紹介2

拍手

軽食

これからもよろしく!

鳥獣害講義

2017年6月27日と7月4日に、「食の循環実習」で京丹後市の猟師、市の職員、流通に関わったNPO理事の3人を講師として招き、鳥獣害の講義を行いました。被害状況の話を聞いたり、模擬銃やくくり罠を実際に目にしたりすることで、鳥獣害対策の難しさ、農業を行うための環境の重要さなどを学びました。(坂梨)


びわこ大津館のイングリッシュガーデン見学

資源生物科学科の入門ゼミ7組を中心にした、13年生がびわこ大津館(大津市柳が崎湖畔公園内)のイングリッシュガーデンを見学しました(71日)。びわこ大津館は、1934年(昭和9年)に建築された歴史的な建物(旧琵琶湖ホテル本館)をリニューアルして、大津市が設置している文化施設です。付属して、約5,900㎡のイングリッシュガーデンがあり、琵琶湖汽船㈱と京阪園芸㈱が指定管理者として管理運営をしています。同館の副館長さんから、イングリッシュガーデンの基本的な構成を学んだ後、コンパクト・四季咲き・多様な花姿と香りをターゲットにして開発されたバラ新品種の展示や熱帯スイレンの屋外栽培など、同園が取り組んでいる大型公園の展示と利用の革新の試みについてお話を聞きました。最後に、ミニバラを一鉢ずつもらい、花が咲いた後の剪定法と栽培管理の仕方を実習しました。
以前は不可能だった熱帯スイレンの屋外栽培が、近年の温暖化により関西地域でもできるようになった。

香りを重要な要素として開発されたバラ新品種が栽培・展示されている。新しい試みとして、顔を近づけて香りを楽しめるように、解説者が立っている小道がつくられている。
最近のバラの育種では単花咲きより房咲き品種(手前)の開発が主流になっていることが説明された。
<京阪園芸㈱のバラの品種開発とびわこ大津館>
1955 年に「京阪枚方園芸企画」として発足。同年に「東洋一のバラ園」の造営を目指し、ひらかた大バラ園(ひらかたパーク・ローズガーデンの前身)を設立し、その後日本のバラ育種を先導してきた。近年は、切り花品種の花もちの良さと多様性、そして栽培する楽しみを併せ持つ品種群「京阪園芸F&Gローズ」を開発し普及に努めている。開発したバラ品種がびわこ大津館のイングリッシュガーデンにも植栽されている。同社には農学部インターンシップにもご協力をいただいている。
上の 2 枚は、京阪園芸㈱が最近リリースした新品種

ボーダーガーデンのバラ
オランジェリー前のバラアーチ
text & photos: Shigeru Satoh

ナスの選果場視察

2017年7月3日、愛知県豊橋市にあるJA豊橋のなす選果場を視察しました。愛知県は温暖な気候を生かした全国有数の園芸地帯であり、なすも秋口に定植してから翌年の夏前まで、ほぼ周年で出荷されています。

農家から出荷された千両なす


豊橋には県下唯一のなすの機械選果施設があり、視察当日も忙しく稼働していました。サイズや曲がり、表面のツヤなどがカメラで瞬時に判定され、規格ごとに仕分けされたものをパート従業員の方々が最終確認し、次々と箱に詰めていきます。表面のツヤがない状態をボケと呼ぶのですが、私からは少しのボケにしか見えないものでも厳しく選別されていました。曲がりも鉛筆一本の太さを超えてしまうと秀品にはなりません。


奥に見える緑の箱がカメラによる選果機です

選果機を通ったなすを最終チェックし、箱詰めしています



1箱5kgや10kgなど重さを決めて箱詰めされる野菜も多いのですが、なすの場合は本数を決めて箱詰めされます。豊橋で栽培されている千両なすは皮が薄くて傷がつきやすいためバラ売りに向いておらず、スーパー店頭でも袋詰めで売られることがほとんどです。袋詰めの際、本数が決まっていたほうが都合がいいことから、このようにされているそうです。

箱詰めのライン。箱への詰め方がサイズごとに掲示されています


スーパー店頭に並ぶなすがどのように出荷されているのか、その一端を知る貴重な機会でした。(山口・淡路)


資源生物科学実習のひとコマ

629日(木)と30日(金)は、名古屋から馬場真里先生を非常勤講師としてお招きし、ダイズ根粒のパラフィン切片作成と顕微鏡観察を行いました。鋭い刃の付いたミクロトームを扱い、スライドグラスに並べた切片を有機溶媒などで処理して染色すると、植物・微生物共生の世界が顕微鏡下に広がりました。おかげ様で、怪我人も失敗する班もなく、完璧な出来でした。
農学部1期生の就職活動が迫ってきました。今回の体験は、病理検査機関などを目指す人たちにとって得がたいものとなるでしょう。先日の草刈り実習も、農業は元より造園業や清掃業に携わる人たちを念頭においています。教員もスタッフも一所懸命です。




text & photos: Shingo Hata



明治大学農学部 糸山先生の講演会

明治大学農学部の糸山先生は、害虫学、昆虫学がご専門で、6月2930日に樋口との研究打ち合わせに来られました。せっかくの機会ですので、講演をお願いしました。29日午後5時から「都市農業からみる害虫防除の将来」と題し、神奈川県川崎市で営まれる都市農業における害虫防除の問題点と、その解決に向けた取り組みについて紹介していただきました。農家、JA、民間企業の方々からの参加もありました。また、翌日は資源生物科学科1年生入門ゼミ1・4・6組の学生達に「限られた資源の有効利用―翅型多型は究極のエコ?―」と題し、同じ種であるにもかかわらず、形や性質が異なる昆虫の「多型現象」について解説をしていただきました。環境によって生殖方法や翅の長さを変えるアブラムシやウンカの生存戦略など、非常に興味深い内容でした。糸山先生の研究室と樋口研究室は、今後、カメムシや天敵卵寄生蜂について連携しながら研究を進めていきます。

text & photos: Hiroya Higuchi