国際シンポジウム「BITEX2CITEX」に参加しました


 2023年9月23日(土)、立命館大学草津キャンパスにおいて、「BITEX2CITEX 私たちは何を学び、何を伝えるか?」と題した国際シンポジウムが開催されました。シンポジウムでは、フランス・ソルボンヌ大学のLouis Legendre教授(数値生態学)、カナダ・ラバル大学のWarwick F. Vincent教授(陸水学)など、国内外の研究者の発表や討論会もありました。

龍谷大学からは、農学研究科 食農化学専攻 化学生態学研究室 修士1年の 和泉翔太さんが「Comparison of seasonal variation and species of butterflies and dragonflies inside and outside deer fences」というタイトルで口頭発表を行いました。



修士課程に入学してデータを取り始めて半年、そして初めての英語による発表・質疑応答で緊張したと思いますが、しっかりと成果を発表することができました。発表後は、ゲストの先生方や他の発表者との交流も楽しめました。あと1年半、さらに良い研究へと仕上げてくれることを期待しています(生命科学科 吉山洋子)。


日本育種学会第144回講演会で発表しました(生命・小野木研)

 9月16~17日に神戸大学で行われた日本育種学会第144回講演会において、当研究室(生命データ科学研究室)4年生の石橋朋大さんがポスター発表を行いました。演題名は「SHAPを用いたQTLおよびエピスタティックQTLマッピングについての検証」でした。

学会風景を撮り忘れたので、学会から帰って研究室前で撮った画像を載せておきます。お疲れ様でした。


演題名は聞きなれない言葉が多いかもしれませんね。

「QTL」は「量的形質遺伝子座」のことで、人の身長や体重、作物なら収量や草丈など、生物の連続的に分布する性質(量的形質)を決定する遺伝子のことです。そして「エピスタティック」とは、QTL間(遺伝子間)の交互作用のことです。どのような遺伝子群が作物の収量を決めているか、そしてどの遺伝子間に交互作用があるのか、は遺伝学・育種学における一大関心事です。

そのような問題を解くために、本研究では「SHAP」という機械学習で近年利用されている技術を用いました。これはゲーム理論に由来する技術で、プレイヤーが協力してゲームを解いて報酬を得るときに、各プレイヤーとプレイヤーの組合せがどの程度報酬に貢献したかを表す指標です。本研究ではプレイヤーを遺伝子に見立てて、遺伝子と遺伝子間の交互作用の検出に用いました。結果として、特に遺伝子間の交互作用を検出することに既存手法より高い性能を発揮しました。

ポスター発表は1時間でしたが、次々と質問を受けて盛況だったようです(質問して頂いた皆様ありがとうございました)。うまく答えられなかった質問も多かったようで、卒業に向けてさらなる勉強を心に決めたようでした。

会場となった百年記念館からの眺めです。きれいな眺めの中、熱心な議論がいたるところで行われていました。

                                     小野木


第30回日本線虫学会大会に参加しました

 2023年9月6-7日、法政大学小金井キャンパスにおいて、2023年度第30回日本線虫学会大会が開催されました。応用線虫学研究室からは、大学院生、4年生、あわせて15名が参加しました。大会参加者は130名余り、浅水先生の研究室からも数名参加されていましたので、参加者の実に1割以上が龍大生ということになります。

 当研究室からは修士2年の岩瀬君が「線虫に対する鉄イオンと銅イオンの影響」に関するポスター発表を行いました。地味な研究でしたのでそれほど人は来ないかも…と思っていましたが、予想を超えてたくさんの人が聞きに来てくれました。発表時間の1時間を超えても質問が続き、岩瀬君はうれしい悲鳴を上げていました。その他、博士2年の鳴尾君が「イネネコブセンチュウの発育温度」に関する口頭発表を行いました。地道で根気強い実験が実を結んだ発表でした。

ポスター発表

 そして何といっても学会参加の楽しさは懇親会にあります。学会としても新型コロナ後4年ぶりの懇親会ということで気合が入り、学生さんの参加費は1,000円という破格の低料金でした。当研究室の学生はどうやら酒好きが多いようで、いつも酒瓶の周りに群がっていました。学生たちは他大学の学生、国や県の研究者達と活発に情報交換を行っていました。

懇親会

 学会に参加することによりグローバルな視点を学び、研究の進め方、発表の仕方についても大きな刺激を受けたことと思います。この経験を活かし、よりよい卒論・修論に仕上げてくれることを期待しています。(応用線虫学研究室 岩堀)

リケラボ

 

リケラボ(理系の理想のはたらき方を考える研究所)のトピックに紹介されました。

「この植物の匂いって一体なに? 素朴な疑問から始めて、真相に迫っていく塩尻教授の研究スタイル」植物同士の驚きのコミュニケーション手法

https://www.rikelab.jp/post/4993.html

というタイトルで、研究内容などが紹介されました。



リケラボは、理系の様々な仕事や働いている人を紹介したり、理系の就職活動についてのアドバイスが記事になっていたり、子供向けの簡単な実験がのっていたりするウェブサイトです。

私も他の記事もよんだのですが、とてもわかりやすく書かれています。

(塩尻)

食料農業システム実習「香港フードエキスポ2023」研修での学び(後半)

 2023年8月14~21日7泊8日の日程で、食料農業システム学科の学生6名と教員1名(金子)で香港へ研修に行きました。

研修後半の具体的な内容を3年生の伊藤さんに聞いてみたいと思います。

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8月16~19日まで準備日を含めた4日間、香港フードエキスポにてインターンシップを行いました。香港フードエキスポとは香港貿易発展局が主催するアジア最大級の食品見本市であり、毎年多くの来場者が訪れるイベントとなっています。

昨年までは新型コロナウイルスの影響で規模が縮小されていましたが、今年は通常通りの開催となり、4年ぶりにジャパンパビリオンが設置されました。

そのジャパンパビリオンの中で和歌山県ブースに出展された角長様、セレネ様、増田米菓様、松尾様、マルヤマ食品様にご協力をいただき、インターンシップを行いました。

私達は香港に来る前に事前研修を重ね、インターンシップでの自身の役割や目標について考え、準備を進めてきました。語学の壁を超えるために簡単な英語や広東語のフレーズを練習したり、手書きのPOPを作成したりするなど、各自で取り組みました。当日は「和歌山県、和歌山県の企業の魅力を発信する。」という目標のもと活動を行いました。

今回多くの学びがありましたが、中でも「コミュニケーション」の大切さを再確認しました。会場には多くの国々から様々な言語の方々が集いました。言葉がスムーズに交わせなくても、目を見て話すことで耳を傾けてくださる方もいらっしゃいました。

フードエキスポでは竹歳先生が私達のインターンシップの応援に来てくださいました。

お世話になった企業様とも事前の顔合わせや、会期中において様々なことを教えてくださりました。密にコミュニケーションを取ることで、明るい雰囲気のブースになったのではないかと思います。

今回のインターンシップでの経験をもとに、今後のキャリアを考えていきたいと思います。

今回の研修後半でご協力いただいた和歌山県職員、和歌山県企業、香港貿易発展局の皆様、本当にありがとうございました。

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今回の研修でお世話になりました皆様へ心より御礼申し上げます。(金子)

食料農業システム実習「香港フードエキスポ2023」研修での学び(前半)

2023年8月14~21日7泊8日の日程で、食料農業システム学科の学生6名と教員1名(金子)で香港へ研修に行きました。本研修には桃山学院大学の教員と大学院生、帝京大学の教員、関西学院大学の学生も参加しました。

研修前半の具体的な内容を2年生の吉本さんに聞いてみたいと思います。

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香港到着後、香港島から九龍半島へスタ―フェリーで渡り両替等に行きました。香港島には超高層ビルが立ち並び、ビクトリアハーバーの眺めは最高でした。

2日目にJETRO香港事務所に訪問し、彦坂様より「香港食品市場の現状と輸出のヒント」についてお話を聞かせていただきました。

彦坂様は、香港へ輸出される食品について、韓国産等他国の品質が向上しており日本にとって脅威となっていること、日本は現状で満足せず現地のニーズやトレンドを考えた販売をすべきことを仰っており、これからの日本産食品の輸出や日系企業の海外進出のあり方を考えることができました。

続いて2021年にオープンしたカップヌードルミュージアム香港に行きました。香港日清の繁實様、王様、劉様にお出迎えいただき、香港日清の取り組みについて説明いただきました。

香港の即席麺市場シェア7割を持つ香港日清は、グラノーラ、冷凍食品、カット野菜など非即席麺事業に力をいれており、カゴメと合弁で野菜ジュースを販売するなど、多角的に事業を展開されています。多くの来場者がいらっしゃり、とても人気がある企業であることを実感しました。

研修前半の3日間は、Welcome(現地系スーパー)、City’Super(高級スーパー)、DONDONDONKI、街市(ローカル市場)で市場調査をしました。香港の各小売店では雰囲気や価格などが異なるものの、日本産食品が数多く販売されていました。

桃山学院大学の濱島先生のお話によると、日本産の果物は香港で浸透しているものの、私の調査した日本産野菜は十分浸透しておらず価格も高い傾向にあるということでした。

街市では日本産野菜の取り扱いはほぼなくヘチマや中華料理に使用する葉物等が沢山販売されていました。一方で、正規の日本の果物を取り扱っている果物屋があり、山梨産の巨峰や桃、岡山産のシャインマスカットなどが販売されていました。

DONDONDONKIは、店内の雰囲気は日本とはあまり変わらず、ドンキの特徴であるドン字で書かれたポップもありました。販売されている商品は食品がメインで、日本産生鮮食品や飲料の取り扱いが非常に多かったです。

フィールドワークを通して、現地を訪れて自分の目で確かめることの大切さを知ることもできました。学んだこと、感じたことを今後の学習に活かしていきたいと思います。

今回の研修前半でご協力いただいたJETRO職員の皆様、日清食品の皆様、本当にありがとうございました。

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研修前半でお世話になりました皆様、心より御礼申し上げます。(金子)

(後半に続く)

卒業生の研究成果が論文として公開されました(生命・小野木研)

 昨年度卒業した研究室2期生の小田大輝さんの研究成果が論文としてJournal of Animal Breeding and Genetics誌に掲載されました。


Assessing the predictability of racing performance of Thoroughbreds using mixed-effects model(混合効果モデルを用いたサラブレッド競走能力の予測可能性についての検証)


Daiki Oda & Akio Onogi(小田大輝・小野木章雄)

http://doi.org/10.1111/jbg.12822

(リンクからどなたでも論文を見ることができます)


競走馬(サラブレッド)の競走能力や成績も、ある程度は遺伝によって決まることは古くから知られていました。しかし競走能力がどの程度予測可能か、つまりデビューする前や生まれたばかりの時点でどの程度予測できるのか、についてはあまり検証されていませんでした。


そこで本研究では混合効果モデルという統計学的手法を用いて、血統からそれがどの程度予測可能かを検証しました。レースでの平均速度を競走能力の指標として用いた結果、予測値と実測値との相関係数は平均0.084、また重賞と呼ばれる賞金の高いレースの勝ち馬をどの程度予見できるかを検証すると、ランダムに選ぶよりは少し良いの結果となりました。


今回の検証では目覚ましい結果は得られませんでしたが、競走能力の指標の選択や手法の改善により、予測が正確になる可能性は十分あると考えています。今後も効率的な競走馬育種に向けて研究を続けていきたいと思います。

                                     小野木