キャリア講演会 卒業生

生命科学科では、3年生を対象とした授業の一環でキャリア講演会を開催しています。

4週にわたって、企業の方、卒業生、大学院生など、さまざまな立場の方にお越しいただき、これからの進路について考えるヒントをお話しいただきます。

 

第2週目は、植物生命科学科の卒業生のお二人にご講演いただきました。


1人目の演者は伏見銘酒協同組合の江川真基さん(竹中研卒業生)です。



江川さんがお勤めの伏見銘酒協同組合は伏見の複数の蔵元(組合員)によって運営されており,各蔵元の求めに応じた日本酒の醸造を行っている会社です。


2人目の演者はイビデングリーンテック株式会社の渡中新太郎さん(塩尻研卒業生)です。


渡中さんがお勤めのイビデングリーンテック株式会社は法面(のりめん)事業,造園事業,建設事業の会社で,渡中さんは法面事業で活躍されています。


江川さん,渡中さんからお勤めの会社の紹介があった後,自分が学生の時にどのように就職活動に取り組んできたのか,なぜ今の就職先を選んだのか,などを実体験をもとにお話しいただきました。


受講した学生さんからの感想を一部紹介します。

『インターンの準備として、「業界の流行を知る」「会社を知る」「疑問を持つ」という3つのアドバイスは、とても参考になりました。』

『企業について調べることとして、企業にメールを送ったり企業理念について調べたりすることといった会社のことを調べるほかに、福利厚生や給料など、自分のためのことも調べることが大切だとわかった。』

『企業に疑問を持つことが大切であるということを聞いて、自分は今まで世の中の事に疑問を抱いたことが無かったので、視野を広くしてどんな些細なことでも疑問を持てるようにしようと思いました。』

『現実的な内容で参考になった。就活の具体的なイメージをつかめた気がする。』

『インターンの本当の活用の仕方が理解できました。ホームページなどから企業のことがわかると聞いていましたが、実際にはどういった要点を確認すれば良いかわからず取り組んでいなかったので、参考にしたです。』

『大学で自分のしたいことをすることが、自分の価値観や短所・長所を見つけることに繋がると、知ることができました。』

先輩方の生の声を聴くことで,これからの進路・就職活動について具体的にどのようなことに取り組んでいくべきか,はっきりと意識できたようです。

江川さん,渡中さんお忙しいところ本当にありがとうございました。


(竹中)

木瓜葛根杏仁茶

 海外農業体験実習(ハワイ)では、毎年事前学習の中で日本にいながら色々と調査したことを現地のハワイのUSDA研究所で英語で発表する機会を設けています。

昨年は、「パパイヤの利用の日本と中国・アメリカの比較」という内容の発表をしました。試行錯誤しながらこのテーマに落ち着いたのは、中国からの留学生が参加者に1人いたことが大きいです。その発表の中で、中国では漢方薬「木瓜葛根杏仁茶」として利用されることが紹介されました。お湯を加えて煎じて飲むというスタイルのようですが、真空パックされたものも販売されているとのこと。

最近、この学生が、中国に帰国したおりに、この漢方薬「木瓜葛根杏仁茶」を購入し、本日お土産としてくれました。ありがたいことです。


今年、ハワイに行ったおりに、関係者でいただければと思います。

こうした気遣いが大変嬉しいです。ハワイの関係者もきっと喜ぶと思います。

(古本)

キャリア講演会 タキイ種苗

生命科学科では、3年生を対象とした授業の一環でキャリア講演会を開催しています。

4週にわたって、企業の方、卒業生、大学院生など、さまざまな立場の方にお越しいただき、これからの進路について考えるヒントをお話しいただきます。

 

1週目は、タキイ種苗より研究農場次長の新倉聡様にご講演いただきました。



新倉さんは、ダイコンをはじめとする多くの作物の育種に長年携わってこられた、日本を代表するブリーダーのお一人です。

現在、京都文化博物館で開催されている「和食展」では、新倉さんが監修された、日本各地で栽培されている多様なダイコンの模型が展示されています。

(先週行ってきました!)

育種学会に所属されている先生の中には、新倉さんと旧知の間柄という方もいらっしゃり、お話が盛り上がっていました。
私ごとで恐縮ですが、学生時代に初めて取り組んだ研究テーマが「ダイコンの雄性不稔(=花粉ができなくなる変異)」でした。

不稔という一見不利に思える性質が、実は育種にとって重要な役割を果たすことや、そのメカニズムが細胞質と核の相互作用によって起こることに強く興味を抱き、今の仕事に繋がっています。

今回はご縁があり、一緒にお仕事をさせていただく機会にも恵まれたことから、講演をお願いした次第です。

 

当日は、タキイ種苗の人事ご担当者お二人にもお越しいただき、講演の冒頭で会社全体に関するご紹介をしていただきました。


講演の前半では、国内外における種子市場の規模や、業界内での企業の役割分担(棲み分け)についてのお話がありました。

大学にいるとなかなか意識しづらい視点で、企業の方からしか伺えない貴重なお話でした。

 

後半では、実際の育種について詳しくご紹介いただきました。
「いい品種をつくること」が育種の目的としてよく知られていますが、それだけではなく、「種が採りやすい(=採種性)」ことも、品種が採用されるかどうかを大きく左右する重要な要素であるというお話は、学生たちにとっても新たな視点だったと思います。

また、親系統の選抜における統計解析の重要性や、画像解析による開花パターンの類推など、最新の技術が育種の中でどう生かされているのかも紹介され、研究とのつながりを感じられる内容でした。
ちなみに「百万遍交差点の牛丼チェーン店問題」は、とてもわかりやすく、学生&教員も盛り上がっていました! 

講演の最後は、「育種に必要なものは経験、勘、根気+科学、経済性、感性」という核心を突いたわかりやすい言葉でまとめていただき、学生たちにとっても印象深い言葉だったようです。


また、龍谷大学からタキイ種苗に入社された卒業生からのメッセージもご紹介いただきました。
私自身も知っている顔ぶれが何人も登場し、現場で頑張っている様子を聞くことができてとても嬉しかったです。


授業の最後には、採用サイトへの案内もあり、講演後には人事の方に熱心に質問する学生の姿も多く見られました。


新倉様、長谷川様、古賀様、このたびは本当にありがとうございました!

 

                                    (辻村)


夢ナビ講義動画

 「遺伝子組換え技術で野菜の栄養価を高める」というタイトルで、大学で究める学問発見サイト「夢ナビ」の講義動画が公開されました。内容は、三柴が開発に携わったβ-カロテンを果実に蓄積させた遺伝子組換えナスの紹介や、アグロバクテリウムを利用した植物への遺伝子導入手法についての高校生向けの解説となっています。10月4日(土)に行われる「夢ナビライブ 2025」では研究室や研究内容の紹介をする予定です。

【講義動画のリンク】
【夢ナビ講義】
【夢ナビライブ】
植物育種学研究室 三柴

第2回 別役研―滝澤研合同セミナー(大学院・生命・農学)

 617日に、生命科学科の多細胞動態研究室(別役研)と農学科の野菜園芸学研究室(滝澤研)とで第2回合同セミナーを行いました。昨年、別役先生にお声掛けいただいて始まった合同セミナーですが、私の中の目的は大きく2つで、1つ目が学科間の学生の交流、2つ目はプレゼンの訓練です。昨年は別役研の学生さんにおんぶにだっこだったので、今年は滝澤研の大学院生に全体のとりまとめをお願いしました。

 今年の発表は滝澤研、別役研の順で、各研究室のセッションの最初に教員が自己紹介と研究室全体の紹介を行いました。昨年、別役先生の自己紹介から発覚したのですが、別役先生は私と同じ幼稚園の先輩でした。思ってもみないところで驚きの繋がりが見つかって、人の縁とは不思議なものだととても感慨深かったです。

学生の発表については、滝澤研から学生6人(M2M2M1B4B4 B4)、別役研から学生7人(D2M2M2M2M2M1B4)がエントリーしました。B4の皆さんは合同セミナーでの初めての発表ということもあって、とても緊張したようですが、みんな落ち着いて自分の研究内容について発表してくれました。大学院生、博士課程の学生さんは、これまでの研究結果に基づいて今後の展望について力強く発表してくれて、これからの展開がとても楽しみでした。


滝澤研の発表者


別役研の発表者

(北田さん、すみません。話を聞くのに夢中で写真を撮り忘れました。)

発表の後はお楽しみの懇親会です。昨年と同様、発表会より懇親会の方が盛り上がって、気づいたらあっという間に3時間経っていました。教員も学生もいろんな話題で盛り上がり、とても楽しい時間を過ごせたのではないかと思います。



懇親会の様子

最後になりますが、企画・運営のとりまとめをしてくれた滝澤研の永井くん、別役研の有山さん、また、会場設営と懇親会の準備をしてくれた学生の皆さんに、心から感謝したいと思います。ありがとうございました!

野菜園芸学研究室 滝澤

 

ワサビ畑の見学とサンプリング

 

花卉園芸学研究室では、滋賀県の野生ワサビの育種利用に取り組んでいます。

山梨県にある種苗会社と共同で植物の栽培と形質評価を行っており、今回は生産農家で栽培してもらったワサビ畑の見学に行ってきました。


大学ではワサビは土に植えて栽培し維持していますが、練りワサビにする地下茎を大きくするにはやはり沢での栽培が必須です。

今回は、滋賀県の野生種が沢で栽培したときに、どのような生育を示すか調査することが目的です。

 

現地の栽培環境は私たちも初めて拝見しました。

当日は6月とは思えないほどの暑さでしたが、水田に入るととても涼しく、風がさわやかです。

緑がきれいですね。

 

ワサビを卒業研究テーマにしている学生さんも同行し、一緒にサンプリングを行いました。


これらは持ち帰って、辛味の主成分であるアリルイソチオシアネートを高速液体クロマトグラフィーで調査します。



生産者さんの現場を見てお話を聞くことで、初めてわかることが多くあります。

収穫するのはいつか、どんなところに卸されるのか、今後ほしい性質はなにか  etc..


今回は、大学・種苗メーカー・生産者と3者が集まってお話できる貴重な機会でした。



持ち帰った材料を使って分析を行い、結果をフィードバックしてワサビ栽培に貢献できればと考えています。

 

                                   (辻村)


食育推進全国大会 in TOKUSHIMA

 2025年6月7日、徳島市で開催された第20回食育推進全国大会に参加してきました。この大会は「食育基本法」が施行された2005年の翌2006年から、毎年食育月間にあたる6月に各県持ち回りで開催されているものです。

今年は、6月7日・8日の2日間、「食の力は無限大∞~徳島から未来へつなぐ食育~」というテーマで、徳島市のアスティとくしまを会場に開催されました。6月7日は、「地域に根ざした世界の食育と地球のこれから」と題した食育国際会議が開かれたほか、さかなクンのトークショーなどもあり、子どもを含む多くの来場者で賑わっていました。


会場のブースでは、食関連の企業や業界団体、行政や教育機関が、食に関する取り組みの紹介や知識啓発を行っていました。そのうちのひとつ、「全国食育推進ネットワーク×チーム日本ハム」のブースには、食料農業システム学科竹歳ゼミの4年生・吉本莉香さんがメンバーとして加わって、多くの来訪者に応対していました。


吉本さんは、「食育推進フォーラム2025 ~みらいプレスで見えてくる!わたしたちの食育~」(2025年1月31日開催)において、チーム日本ハムのメンバーとして「みらいプレスリリース2030」プランを発表し、参加者特別賞を受賞したことから、その内容を食育推進全国大会のブースで発表することになったものです。この「みらいプレスリリース2030」プランは、学生と企業で構成された5つのチームが半年間ワークショップに取り組み、若い世代が次世代の食や食育を提案するというもので、吉本さんはこのメンバー募集に応募して選ばれ、日本ハムの社員の方々や他大学の学生たちと取り組んできました。こちらもご覧ください。(竹歳)   

                                 


国外研究の成果が出版されました

 2025年3月31日付で、国外研究の成果がThe Japanese Journal of Agricultural Economics 誌に掲載されました。5月31日にオンラインでも公開されました。

Michitoshi Yamaguchi, Response of the U.S. Egg Food System to 2022 Highly Pathogenic Avian Influenza (HPAI) Outbreak, Japanese Journal of Agricultural Economics, 2025, Volume 27, Pages 89-93, Released on J-STAGE May 31, 2025, Online ISSN 2432-2385, https://doi.org/10.18480/jjae.27.0_89

本研究は、2022年に米国で発生した高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)による鶏卵価格の上昇メカニズムに関する研究です。昨今お米の価格高騰が話題ですが、お米も鶏卵も需要が安定していて代替しづらいため、供給が滞ると価格が暴騰しやすいことが知られています(専門用語では、「需要の価格弾力性が低い」と言います)。2022年は日米ともに国内飼養羽数の約10%が殺処分されてしまうほどの被害があり、鶏卵の供給減によって記録的な価格高騰が観察されました。

鶏卵卸売価格の推移(左:日本、右:米国)

お米と卵を比較すると、備蓄ができるかどうかが大きな違いということになるのですが、卵に限ってみても日本と米国では賞味期限の長さが大きく異なります(米国では卵は生では食べない前提なので、賞味期限は1か月くらいあることが珍しくありません)。米国では卵もある程度在庫を持つことが可能なので、同じくらいの供給ショックでも価格変動が日本より小さくなるのではないかと思っていたのですが、意外にも米国のほうが価格変動は大きかったのです(上図右)。

この理由の一つとして本研究で明らかにしたのが、日米の鶏卵フードシステムの違いでした。米国ではふだんは殻付き卵市場から切り離されている加工原料卵(液卵・紛卵向けの原料卵)に大きな被害が出たことと、飼養期間延長などによって最初のショックを乗り切ったタイミングで第二波に襲われたために在庫がタイトになったことが、年末の需要シーズンの価格高騰を増幅したのでした。

家畜疾病による経済損失は、失われた家畜など生産側の損失も大きいのですが、価格高騰に伴う消費者側の損失も無視できません。フードシステムの違いが家畜疾病に対するレジリエンスにどのような影響を与えるのか、今後も研究を続けていきたいと考えています。(山口)




入門ゼミ 生命科学科教員の研究紹介

 1年生対象の入門ゼミで、先生方の研究紹介が行われました。

13名の先生方が2週に渡り、お一人10分程度で紹介されます。



とうてい10分では収まらない研究内容を、ギュッと濃縮したエッセンスを伝えてくれる企画です。

どの先生方も最新のデータを盛り込まれていて、研究活動に邁進されていることに心動かされました。


<第1週目>


授業の最後では、受講生に感想を頂きました。一部紹介します。


「それぞれの先生方の研究内容とかが知れてよかったです。友達とかとどれが興味あったとかも言い合って楽しかったです。」

「分からない用語がたくさんあったけど、どの研究も興味深い内容だったので、基礎を学び、はやく研究をやってみたいとおもった。」

「ゲノム編集などもそうですが、教員の方々の研究している内容は難しいはずなのに説明の仕方が分かりやすく自分も説明の仕方を上手くなれるように頑張りたいと感じました。」

「久々にたくさんの生物用語を聞いて高校のつらい受験勉強を思い出しました。」

受験勉強お疲れさまでした。

大学の授業は、高校までの授業とはまた違った面白さがあります!

研究紹介で少しでも感じて頂ければと思います。


<第2週目>


受講生の感想です。

「根粒菌はマメ科植物だけにつくわけでなく、何にでもつくのは教科書にはあまりなかったので驚きでした。それに根粒菌はただ仲がいいだけではなく、免疫を刺激しないようにくっついてたというのも驚きました。」

「京都駅を鉱物の観点から分析する話が興味深かった。自分も調べて友人に話してみようと思う」

「競馬の競走馬や鮒ずしについてなど身近なものから研究につなげていて面白いと感じた。自分も4回生に向けて様々なことを学び興味のあることを見つけていきたい。」

「小野木先生と卒業研究したいです。」

「農学部に入ってやってみたいものが多くて困ってきた。」


1年生の皆さんは、入学して2か月が経ち少し慣れてきたころでしょうか。
これから授業はもっと専門的な話になっていくと思いますので、楽しんでください!

                                  (辻村)

第10回生命科学セミナーを開催しました

白澤健太さん (かずさDNA研究所 植物ゲノム生物学研究室 室長) をお招きして、「被子植物の全ての目でのT2Tゲノム解読を目指す」というタイトルのセミナーを実施しました。

ロングリード技術によるDNAの配列分析技術の発達に伴い、染色体の片方のテロメア末端から逆のテロメア末端までを連続してゲノム解読できるようになっています。このようにして解読されたゲノム配列はテロメア・ツー・テロメア (T2T) 配列と呼ばれます。

白澤さんらはこれまでに、作物を中心とする100を超える植物の全ゲノム配列解析を実施しています。一方で、被子植物では未だに半数の目(もく)ではゲノム解読がなされていません。今回のセミナーでは、研究が手つかずの植物のゲノム配列をT2Tで解読しようとする「かずさゲノムプロジェクト」の取り組みから、植物ゲノムを俯瞰したときに何が解明できるのかについて紹介されました。

このような規模の大きな研究課題は、例えば大学の一研究室単位で実施することは難しいです。白澤さんらは、ゲノム解読の専門機関である特徴を活かしつつ、自由な発想で植物の進化というスケールの大きな研究に取り組まれていました。

専門分野の異なる教員から示唆に富む質問があったり、大学院生から「ゲノム解析で楽しいステップは何か」という純粋な質問も出て、この研究の意義や面白さが十分に共有された時間となりました。

白澤さん、ありがとうございました。

浅水