生命科学科では、3年生を対象とした授業の一環でキャリア講演会を開催しています。
4週にわたって、企業の方、卒業生、大学院生など、さまざまな立場の方にお越しいただき、これからの進路について考えるヒントをお話しいただきます。
第1週目は、タキイ種苗より研究農場次長の新倉聡様にご講演いただきました。
新倉さんは、ダイコンをはじめとする多くの作物の育種に長年携わってこられた、日本を代表するブリーダーのお一人です。
現在、京都文化博物館で開催されている「和食展」では、新倉さんが監修された、日本各地で栽培されている多様なダイコンの模型が展示されています。
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(先週行ってきました!) |
育種学会に所属されている先生の中には、新倉さんと旧知の間柄という方もいらっしゃり、お話が盛り上がっていました。
私ごとで恐縮ですが、学生時代に初めて取り組んだ研究テーマが「ダイコンの雄性不稔(=花粉ができなくなる変異)」でした。
不稔という一見不利に思える性質が、実は育種にとって重要な役割を果たすことや、そのメカニズムが細胞質と核の相互作用によって起こることに強く興味を抱き、今の仕事に繋がっています。
今回はご縁があり、一緒にお仕事をさせていただく機会にも恵まれたことから、講演をお願いした次第です。
当日は、タキイ種苗の人事ご担当者お二人にもお越しいただき、講演の冒頭で会社全体に関するご紹介をしていただきました。
講演の前半では、国内外における種子市場の規模や、業界内での企業の役割分担(棲み分け)についてのお話がありました。
大学にいるとなかなか意識しづらい視点で、企業の方からしか伺えない貴重なお話でした。
後半では、実際の育種について詳しくご紹介いただきました。
「いい品種をつくること」が育種の目的としてよく知られていますが、それだけではなく、「種が採りやすい(=採種性)」ことも、品種が採用されるかどうかを大きく左右する重要な要素であるというお話は、学生たちにとっても新たな視点だったと思います。
また、親系統の選抜における統計解析の重要性や、画像解析による開花パターンの類推など、最新の技術が育種の中でどう生かされているのかも紹介され、研究とのつながりを感じられる内容でした。
ちなみに「百万遍交差点の牛丼チェーン店問題」は、とてもわかりやすく、学生&教員も盛り上がっていました!
講演の最後は、「育種に必要なものは経験、勘、根気+科学、経済性、感性」という核心を突いたわかりやすい言葉でまとめていただき、学生たちにとっても印象深い言葉だったようです。
また、龍谷大学からタキイ種苗に入社された卒業生からのメッセージもご紹介いただきました。
私自身も知っている顔ぶれが何人も登場し、現場で頑張っている様子を聞くことができてとても嬉しかったです。
授業の最後には、採用サイトへの案内もあり、講演後には人事の方に熱心に質問する学生の姿も多く見られました。
新倉様、長谷川様、古賀様、このたびは本当にありがとうございました!
(辻村)