伊吹山「姉川クラゲ(イシクラゲ)」調査

 327日、食と農の総合研究所 共同研究プロジェクト『「姉川クラゲ」配合食品の商品化に向けての取り組み』の一環として、かつて「姉川クラゲ」を食用としていた米原市大久保地区で「姉川クラゲ」の調査を行いました。調査には米原市大久保地区在住の前澤さん(83歳)が協力してくださいました。前澤さんに伊吹山麓の「姉川クラゲ」自生地を案内していただき、その食文化について詳しく教えていただきました。

前澤さんにご指導いただきました。

これが姉川クラゲ(乾燥状態)です。

 「姉川クラゲ」の自生地では、農学部研究圃場で栽培することを目的として、そのもととなる「姉川クラゲ」を採取しました。雪解け後の「姉川クラゲ」が安全で美味しいため、この地域の方も3月下旬から4月上旬に採取し、乾燥させて保存食としていたようです。今回の調査では、最高な場所で最適な時期に「姉川クラゲ」を採取することができました。

簡単に採れます。

 「姉川クラゲ」の栽培法を早期に確立し、美味しくて健康にいい「姉川クラゲ」を多くの方に味わっていただけるようにしたいと考えています。今後も、失われた食文化を復活させて地域貢献につなげられるよう、農学部4学科が協力して研究を進めてまいります。(玉井)



日本応用動物昆虫学会で学生が発表

 3月25日~27日に、筑波大学で日本応用動物昆虫学会が開催され、応用昆虫学研究室から樋口、4年生の川東君、3年生の鳥飼君、芝本君が参加しました。川東君は、卒論研究の内容をポスターで発表しました。イネの害虫で、斑点米の原因となるホソハリカメムシの滋賀県での年間世代数を推定したという内容で、説明の後に沢山の質問を受けていました。鳥飼君と芝本君は、色々な発表を聞き、また、本でしか名前を知らなかった研究者の方々と直接お話をする機会も得ることができました。今回の学会参加での経験を今後の研究に活かしてもらいたいと思います。(樋口)


園芸学会平成31年度春季大会で発表しました

3月22・23日、園芸学会平成31年度春季大会が明治大学生田キャンパスで開催され、岩堀ゼミの林さんが「ニンジンにおけるネコブセンチュウ抵抗性品種の探索」という演題でポスター発表を行いました。

緊張の面持ち

線虫関係の演題は他になく、聞きに来てくれる人がいるかどうかドキドキでしたが、1時間の発表時間の間絶えることなく人が訪れ、林さんは一生懸命説明を行いました。

人垣に囲まれる林さん

4月から社会人となり、今後も育種の仕事を続けていく林さんですが、今回の学会発表はとてもよい経験になったことと思います。(岩堀)






イシクラゲ続報:宮古島調査

3月18日から20日まで、玉井、古本、坂梨で、宮古島におけるイシクラゲ培養、採取、流通、食文化に関する調査をおこなってきました。

宮古島ではイシクラゲを食べているという情報を事前に得ていたのですが、どのように採取され、販売されているのか、手探り状態での調査でした。

宮古島のイシクラゲ

試験的にイシクラゲを培養している会社を訪問しました。培養方法はまだ確立しておらず試行錯誤が続いています。

自前の装置

次に、島の市場や食事処をまわりお店の人から話を聞きイシクラゲの情報を集めました。県や市などの関連団体からもわずかながら話を聞くことができ、様々な名前と料理法があることがわかりました。

地元の食材をみてまわる

最終日には、ファマーズマーケットにイシクラゲを出しているご夫婦に出会い、採取場所まで案内してもらいました。

好物だと語る奥さん

ある方は「残すべき食材だ」と語ってくれました。滋賀の姉川クラゲ同様に忘れられつつある食材ですが、島では販売されている点で滋賀とは異なり、大変興味深い調査となりました。

初対面にもかかわらずご対応してくださった島の皆さま、ありがとうございました。

砂浜に「龍大農学部」

玉井・古本・坂梨(記)

滋賀県産業人クラブで報告してきました

35日に日刊工業新聞主催の滋賀県産業人クラブで姉川クラゲプロジェクトの報告を行ってきました。玉井先生が、三日月知事や県関連企業の経営者や役員の方々の前で、わかりやすく、かつ、興味を惹きつける話をしてくださいました。朝見先生と坂梨も同席し進捗などについて話をしました。

「滋賀にクラゲなんかいるのか?」と、疑問を口にされていた会長は「面白くて、寝ずに聞けた」と声をかけてくだりました。フロアからは、成果物からいかに利益を出すのかという、経営者ならではのコメントも出ました。また、知事からは、姉川クラゲの分布が彦根城付近まで広がっているのは井伊藩の働きかけもあるのか、という鋭い質問をいただきました。今後の検討課題が1つ増えました。

ともあれ、姉川クラゲプロジェクトを認知していただき、期待をかけてもらいました。
ますます力を入れないといけないなと、気持ちを新たにした次第です。
写真や当日の状況については下記URLをご参考ください。(坂梨)


カメムシの本を出版しました

『カメムシによる斑点米をふせぐ―カスミカメムシ類の生態と管理』と題した本を出版しました。
これは、樋口が北陸農業試験場(現農研機構中央農研セ北陸研究拠点)に在籍中に、新潟県はじめ山形県、富山県、長野県、信越化学工業株式会社と連携しながら進めた研究をまとめたものです。
1990年後半に、斑点米の発生により東北・北陸地域でコメの等級が著しく低下し、新聞にも取り上げられるほど大きな問題となりました。その原因種が、アカヒゲホソミドリカスミカメというカメムシでした。本書では、アカヒゲホソミドリカスミカメについて、1999年から2011年までの10年あまりの研究で得られた成果と防除要否の判断法について述べています。
興味のある方は、樋口までご連絡ください。(樋口)


海外農業体験実習 「ハワイ」プログラムの下見

 3泊5日の強行日程で、3名の教員と1名の事務職員とで、ハワイ島での実習の下見に行きました。このプログラムは、今年から開始予定で、農学部の4学科の学生が2年生以降に受講できます。

 ハワイ島のヒロを拠点に、
(1)パパイヤ(レインボーパパイヤ)の栽培と収穫・流通
(2)コナでのコーヒー農園での収穫・加工体験
(3)本願寺のヒロ別院での礼拝と日本人入植者との語らい
(4)USDA(アメリカ農水省)の研究機関を訪問
というプログラムに仕立てる予定です。
 それぞれ、お世話になる方を訪ね、現地の確認、内容の確認などをしました。

 リングスポットウイルスで壊滅したパパイヤ産業を復活させたのは、遺伝子組換えパパイヤ(品種名、レインボー)の開発です。いまではハワイで生産される90%がこの組換えパパイヤで、ちなみに日本で許可された唯一の生食できる遺伝子組換えパパイヤです。
 お世話になる方の農園は、この販促に尽力されてきて、しかし今年の火山の噴火で、大きな農園部分が壊滅的な被害を受けたということでした。
 農業の現場では、つねに病気も含め自然の猛威にさらされています。利益もあげねば商売にはならないし、地域の産業を盛り上げたいという気概も必要です。ウイルス病や火山噴火に立ち向かっているこの方の背中を見て、きっと学生はいろいろ感じるはずだと確信しました。このパパイヤ開発はハワイにおける産官学の連携事例で、かつ現在進行形で困難に直面し乗り越えようとしている好例です。





 コナでは、コーヒー農園を訪ねました。「コナコーヒー」はハワイでは有名ブランドです。
 お世話になる農園のご主人は、日本から移住して7年、まだまだこれからという立ち上げ期の方です。移住先の地域の方々に溶け込んで、畑の拡充に取り組んでおられます。地域の信頼を得つつ、事業を展開する様子に、こんな学生がうちから出てくれたらと、思いました。
 頂いたコーヒーのほんと美味しいこと。
 畑の見学では、コーヒーの花を見つけました。まだ木についているコーヒーの実には虫が入っていました。甲虫の一種で、害虫です。逃がしてはならないので、爪の上でつぶしました。昔、学生の頃、アオキの実につく「アオキミタマバエ」の数を調べる実習をしたことを思い出しました。実が熟さないのは、寄生するアオキミタマバエが植物ホルモン様物質を出して実の成熟をコントロールして遅らせているからと学んだように思います。収穫時期ではない今、コーヒーの実が残っているのは、この甲虫が同じ作用を起こしているのであろうと想像しました。

 ほかにもコーヒーには線虫害もよくでるということでした。線虫を研究対象とする岩堀先生はおおいに興味をそそられたようで、早速、土を調べたいという研究サンプルの調達交渉をされていました。実習の下見のつもりがこれから研究対象にと展開した形です。





 本当に農業はたいへんだと実感した下見でした。自然の猛威の中でどうにか成立しています。。

 ハワイ島には本願寺派の別院が複数存在します。そのうちヒロにある別院を訪ねました。入植者の精神的支柱であったというのは容易に想像がつきます。農業を中心とするたいへんな生活のなかで、人々のよりどころになったのでしょう。強盗やレイプ、人心が大いに乱れたのを見過ごせず、安芸門徒からこちらに布教に来られたと聞来ました。日本人コミュニティーの中心だったので、第二次世界大戦の折には真っ先にスパイ容疑をかけられたということでした。
なお、「礼拝」を英語では「Service」というらしいです。宗教系の言葉を英語で聞くのも新鮮でした。盆ダンスの練習に来られていたおばあちゃんは珍客と話したいようでしたが、時間もなく、十分には伺えませんでした。次回学生との訪問時にとっておきます。

 これらのプログラムをいい感じに配置して学生に示したいと思いました。この夏に学生を伴って再訪します。
 
 

 これからもっともっとお世話になるのだけれど、今回お世話になった関係者のみなさまにまずは感謝いたします。 ありがとうございました。
(古本)