学科教員のTV出演関係情報(塩尻出演、塩尻・別役動画提供、9号館での撮影)!

 以下の番組に塩尻先生が出演されます。以前に放送されたNHKスペシャル(11月4日ブログ記事)の再編集版特別版(ドラマパートを除いたオールドキュメンタリー版)で、前回と同様に、別役・塩尻が撮影協力した動画も番組内で放送されるとのことです。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>

■超・進化論 特別版 

第1集 植物からのメッセージ 〜地球を彩る驚異の世界〜

2022/12/29(木)昼0:00~0:59【BSプレミアム】

2023/1/1(日)午前10:00~10:59【BS4K】

>>>>>>>>>>>>>>>>>>



そして、以下の番組では本学農学部9号館で撮影が行われました。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>

■NHKスペシャル『超・進化論』

生きもの“超・進化論”ワールド ~キッズ&ティーンズ特別編~ 

2023/1/7(土)19:30〜【NHK総合】

※キッズ&ティーンズ版として子ども向けに作られた番組です

>>>>>>>>>>>>>>>>>>


冬休みの間に、【生命】や【生物間相互作用】に関していろいろと考えるきっかけにしてください。

(別役)

土岐先生が編者の書籍(実験プロトコール)が出版されます。

  【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます


 この度、植物生命科学科の土岐先生が編者としてご尽力された書籍が出版されることになりました。ゲノム編集という最先端技術の詳細解説のプロトコール集となっています。ぜひ手に取ってご覧ください。12月末発売予定だそうです。以下、土岐先生からのコメントです(別役)。



>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

植物ゲノム工学研究室(土岐)では、植物のゲノム上の標的遺伝子に狙いを定めて改変する技術(いわゆるゲノム編集技術)の開発を行っています。

ゲノム編集と聞くと標的遺伝子をCRISPR/Cas9と呼ばれるハサミで切断し、必要のない遺伝子を壊す技術を思い浮かべるかもしれませんが、標的遺伝子を設計通りに正確に改変する遺伝子を改良する技術が今後必要とされます。この点ゲノム編集で標的遺伝子を破壊することは多くの植物で可能になって来ましたが、正確に改変することは一部の植物でしか成功していません。研究室ではゲノム編集の効率を向上させ精度を高めるために、新規のツール開発を行っていますが、ゲノム編集はツールと細胞内のDNA修復システムの協調作業で行われるので、植物のDNA修復システムを理解するための基礎研究も行っています。

一方、改変すべき遺伝子はわかっていても、どのように改変すれば望むべき形質(形態や性質)が得らえるかわかっていない場合も多くあります。その場合はゲノム上の標的遺伝子のみにランダムな変異を導入することが有効です。研究室ではそのような技術開発も行っています。

植物分野において、最新のゲノム編集技術を研究室で立ち上げる際に、適当な実験書が無いという声を聞き、「植物のゲノム編集実験プロトコール」という本を編集しています。来年初めには発刊されると思いますので、活用して頂けると幸いです。










【植物生命・卒研紹介シリーズ2022】No. 9 多細胞免疫動態研究室

  【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます

 急速に秋が深まり、冬の始まりを感じる今日この頃、 植物生命科学科の各研究室では4回生が卒業研究の仕上げに向けて熱い日々を過ごしています。昨年度同様、今年度も各研究室の卒業研究の様子をリレー形式でお伝えしようと思います。植物生命の各研究室ではどんな研究をしているのでしょうか?

【視ることで理解する「植物−微生物相互作用」】

多細胞免疫動態研究室(別役)では、植物と微生物の相互作用の現場で何が起きているのか?を特に顕微鏡解析などを用いて理解しようとしています。2020年度開設の研究室で、今年度の4回生が龍谷大で2回目の卒業生になります。


別役研の4回生は、教員と相談しつつ決めたテーマをそれぞれが試行錯誤しながら遂行してきます。植物の病気は、ある植物とある微生物との相互作用の結果として起きます。このような植物と微生物の相互作用を研究するには、植物側に注目した研究も必要ですし、微生物側に注目した研究も必要です。そういった背景もあり、4回生はそれぞれ少しずつ関連していつつも、多岐に渡った内容を研究しています。

とある実験の様子


二ヶ月ほど前から突如、「卒論要旨カウントダウン」が研究室入り口のホワイトボードに登場しました。しかし、二週間前から更新がストップしてしまったようで、その頃から4回生がなりふり構わぬ本気モードに入ったことが伺えます。ホワイトボード真ん中の標語のようなものは、昨年度の別役研一期生が、ちょうど卒論要旨執筆時に必死で頑張っていた時に一期生が書いた作品(?)で、今日まで一年間消されずに残り、今の4回生を鼓舞(?)しています。こうやって研究室の文化や伝統のようなものが継承されていくのでしょうか。

停止した卒論要旨カウントダウン(右上)と鼓舞の言葉(中央)


先週(12/19-12/23)は卒論要旨提出期限の週だったので、4回生は執筆に大忙しです。それぞれの研究が独立なので、卒論要旨を執筆するのにも自分でしっかり知識を整理しつつ、データをまとめて、論理構成を考えて、要旨としてまとめる必要があります。そして、それに対して教員のコメントを受けて再度、、という作業の延々の繰り返しです。とても大変だったと思いますが、こういう作業を繰り返したことで体系的な知識はもちろん、社会で必要とされる文章力や論理構成力、科学的な思考力が上がってくれていれば良いなと思います。

最終日の卒論祭の図


塩尻研での紹介にもありましたが、別役研でも今年度の4回生は、壁向きの机スペースがあるにも関わらず、ほとんどの学生はそこを荷物置きにして、真ん中の共通机で向かい合って執筆しています。狭くて窮屈そうにしか見えないんですが、、、笑。でも、終わった人も帰らずに残って、訂正&推敲作業中の人をいろんな形でサポートしていたようで、4回生がお互いに協力し合う姿に、球技大会では残念な結果でしたが(近日中に記事アップします!)、とても良い学年だなぁと思いながら見ていました。最終日まで全員が推敲大会で卒論祭り状態だった別役研には、時々、他研究室からの「激励」だけでなく「終了した自慢」もあったりしましたが、横槍にも負けずに最後まで一丸となって頑張り抜いて、なんとか全員、提出できました。良かったね。

卒論締切翌日、「兵どもが夢の跡」状態の研究室(綺麗に掃除してくれたようです)


これにて2022年の研究室卒研紹介シリーズは終わります。学科4回生の皆さん、卒論要旨、お疲れさまでした。次は1月の卒論発表会に向けての準備を頑張ってください!来年は現3回生の皆さんです、頑張ってください!


(別役)



農学科(2023年4月より資源生物科学科から名称変更)を志望する皆さんへ ㉙ ~作物の耐乾性も大事だけど耐湿性も~

  高校生の皆さんと話をすると,よく砂漠化の話が出ます.少ない水でも生育するような農作物の品種改良をやってみたいとか,乾燥地でも作物が生産できるような栽培技術を開発したいといったことを耳にします.もちろん,それはとても大事な視点です.一方で,日本では農耕地の54%を水田が占めます.食生活が変わり,コメが余剰になっているので,現在は140万ヘクタール弱の水田でコメを生産しているに過ぎませんが,それ以外の水田では,本来は畑で育つ作物(畑作物)であるダイズやムギや野菜類を栽培しています.その時に問題となるのが,それらの作物の「耐湿性」です.土壌中の水分が多過ぎると,根が十分に発育せず,呼吸困難になって作物が発育不良を起こしてしまいます.

そこで,私たちの研究室では,作物の収穫後に残った茎葉部などの収穫残渣を有機物として土壌にすき込んで,土の物理性を改善したり,畝の高さを高くして作物の根が張る領域が適切な水分になるような工夫をしています.一方,収穫した残渣をすき込むと微生物による分解の過程で温暖化ガスの一種である一酸化二窒素(N2O)が排出されるので,その量をモニタリングすることも行っています.これからの日本の農業では,作物の「耐湿性」や圃場からの「温室効果ガスの排出削減」についても考えて欲しいところです.

(作物学研究室:大門)


畝立て機による高畝作り


パン用コムギ用の約30 cmの高畝


収穫残渣すき込み後の圃場からのガス採取



京丹波町でフィールドワークを実施しました(香川ゼミ:3回生)

 12月21日(水)

前期にも訪問した京丹波町で現地実態調査を実施しました。今回は中山間地において農産物や農産加工品のブランド化に取り組んでいる事例です。

午前中にお邪魔したのは丹波栗で有名な丹波農園です。高品質の栗を国内最大級の農園で生産しておられます。京丹波町は丹波栗の知見度を向上させ、地域ブランド化させることを目指しています。栗が実っている状態を観察することはできませんでしたが、経営戦略やマーケティングに対する現場レベルの考え方を教えていただきました。


栗栽培の技術面を教えていただく

個別経営としては最大規模の選果場

AI制御で栗を拾うロボット(試験中)


また、来年は秋に収穫のお手伝いをさせていただき、美味しい栗ご飯を食べさせていただくことをお約束いただきました。「地域特産品の知名度を向上させるためにはどんな方策が考えられるのか」は興味深いテーマでもあります。今後、香川ゼミは定期的にお邪魔することになりそうです。

経営戦略について教えていただく


午後に訪問したのは丹波ワインです。こちらもブドウが実っている畑を見学することはできませんでしたが、ブドウ栽培の実際やワインの製造工程について施設見学をしながら教えていただき、今後の事業展開に関する考え方やプロモーションについて教えていただきました。

ワインの瓶詰め作業

ブドウ栽培について教えていただきました

剪定作業を体験させていただきました

今後の事業展開についてディスカッション

ありがたいことに試飲もさせていただき(引率教員は我慢!)、学生達はとても楽しんでいました。ブドウの収穫やワインの仕込みを見学したり、丹波ワインの更なる展開について学んだりするために、こちらについても定期的に訪問することになりました。





両事例とも、マーケティングや経営戦略に関し、教科書通りのことと、独自の取り組みをミックスさせておられました。学生達にとっては生の声を聞かせていただくことで随分と勉強になったようです。今回もしっかりと準備をして調査に伺ったので沢山の質問をし、有意義な意見交換ができました。学生の皆さん、お疲れ様でした。また、調査にご協力くださった丹波農園、丹波ワインの皆様方、本当にありがとうございました。

(香川)


兵庫県丹波市へ地域課題に対する取り組みを学びに訪問

金子ゼミでは農業や地域の課題に対する取り組みを学ぶため、兵庫県丹波市へ訪問しています。今年度は学生8名が1泊2日で現地を訪問しました。

金子ゼミ4年生の桑原さん、田中さんからその学びを聞いてみたいと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2022年11月19日、20日に「丹波の魅力&課題発見」をテーマに掲げ、一般社団法人Be代表の中川ミミさんのご指導のもと、金子ゼミ3回生6名、4回生2名と金子先生で兵庫県丹波市に実習へ伺いました。

最初に、古民家で丹波の野菜と鹿肉料理の提供をされている無鹿リゾートでジビエ料理をいただき、シェフの鴻谷佳彦さんから、これまでのご経歴や、鹿肉との出会い、鹿肉の現状と今後の活動についてお話を伺いました。

次に、高品質な丹波栗を生産されている足立栗園を訪問し、足立義郎さんから丹波栗の栽培や販売についてお話を伺いました。機械を使った栗の皮むきや、糖度の測定も実際にさせていただきました。「美玖里(みくり)」という栗の品種の糖度を測ったところ21.6度もあり驚きました。

1日目の最後は丹波市の春日町大路地区の活性化に取り組んでいらっしゃる一般社団法人みつおおじの皆さんとピザを作り、みつおおじ特製おにぎりと共においしくいただきました。

その後、みつおおじの山内一晃さんより活動内容を伺い、春日町大路地区の現状、移住のことなどをみつおおじの皆さんより教えていただきました。みつおおじの皆さんと学生と地区の課題解決についての意見交換も行いました。

2日目は、地元特産品を使用した加工品を製造・販売する(株)やながわにて、柳川拓三社長からお話を伺い、期間限定の名物商品「和のモンブラン」もいただくことができました。



午後は、江戸時代から10代以上丹波の地で農業を営む婦木農場で代表の婦木克則さんから年間100種を生産する農業経営やオープンファームデーの取り組みについてお話を伺い、野菜・チーズから調味料まで手づくりされた「農家のおうちごはん」をいただきました。


調味料からすべて手作りの農家のおうちごはん

やながわの柳川社長、婦木農場の婦木さんのお話からは、地域ブランドの維持や販売のノウハウについて学ぶことができました。

今回の訪問先の方々はみな、地元産品の価値をお客さんに知ってもらうための独自の取り組みを行い、「丹波ブランド」を守ることを意識されておられました。
先代が身に着け、積み上げてきた技術や経験を生かつつ、自分自身を磨いておられ、新たな挑戦をすることの大切さも感じました。


2日間引率いただいた中川ミミさんからも、移動中の車内や訪問先などで多くのアドバイスやお話を伺うことができ、より一層深い学びを得ることができました。

今回実習に参加した8名の学生が実習前に立てていた目標が各自違ったことで、移住促進、特産品開発、地域のブランディングなど、8名分の視点で地域課題を考えることができたと実感しています。(桑原・田中)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ご協力いただいた丹波市の皆様に心より御礼申し上げます。(金子)

ムギ類研究会で発表してきました

 12月16,17日につくばで第17回ムギ類研究会が開催されました。

龍谷大学農学部からは、辻村先生、竹中そして4年生の中西さんが参加しました。

新型コロナ感染症のためにここ数年はオンラインでの開催でしたが、数年ぶりに対面での研究会です。ムギ類を研究対象としている研究者・学生さんがおよそ120名も集まりました。

16日(金)は午後から農研機構の食と農の科学館、隔離圃場、シーンバンクの見学会が行われました。残念ながら、辻村先生も竹中も講義や実習があったので参加できませんでした…。見学会に参加した中西さんによると、とても楽しく、見学時間が短かったのが残念とのことでした。

17日(土)は会場をつくば国際会議場に移して、講演会とポスター発表が行われました。講演会は「ムギ類の生殖形質」「ムギ類のスマート育種」「若者コーナー」の3つのセッションで計10名の研究者や大学院生による最新のムギ類研究についての発表が行われました。

午後からはポスターセッションですが、お昼休憩の前にポスター発表者による1分間プレゼンが行われました。

中西さんは初めての参加で朝から緊張していたようです。

午後からはいよいよポスターセッションです。卒業研究として取り組んだことをまとめて発表しました。

ムギ類研究会の参加者は当然ながらムギ類を扱っている研究者ばかりです。ポスターの内容について専門的なことを詳細に質問されました。はじめはしどろもどろでしたが、徐々に会場の雰囲気にも慣れて活発な議論ができました。

他大学の学生さん達の発表にも大いに刺激を受けたようで、研究会からの帰り道で、今後の研究をどのように深めていこうかと一生懸命考えていました。

 

最後に、ちょっとしたお知らせです。

来年度のムギ類研究会は龍谷大学農学部で開催されることになりました!

多くの皆さまのご参加をお待ちしております。


(竹中)

 

 

研究室説明会を行いました。

 




水稲農家の方と応用昆虫学研空室との交流会

 20221215日、応用昆虫学研究室3年生を対象に、水稲農家ユキオズファーム西村氏と従業員の方々に「ユキオズファームで働き、感じた事・伝えたい事」と題して、半農半Xや、人間関係について、自分自身の経験などをまじえ話していただきました。農業と福祉という観点など、農業に携わるようになった理由は様々でしたが、「何かに挑戦したい」という思いと、「農業は大変だ、でも、やりがいはある」という感想は、お話をしていただいた皆さんに共通していました。最後は、就職活動など人生の岐路に立つ3年生の学生たちに、「何事にもチャレンジしてほしい」と熱いメッセージをいただきました。 

                        (応用昆虫学研究室 草木・樋口)








【植物生命・卒研紹介シリーズ2022】No. 8 環境生理学研究室

     【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます

 急速に秋が深まり、冬の始まりを感じる今日この頃、 植物生命科学科の各研究室では4回生が卒業研究の仕上げに向けて熱い日々を過ごしています。昨年度同様、今年度も各研究室の卒業研究の様子をリレー形式でお伝えしようと思います。植物生命の各研究室ではどんな研究をしているのでしょうか?

「揺れる環境」に植物がどう応答するか​​

環境生理学研究室(古本)では、揺れる環境要因として、大気温度と光量に着目して研究しています。光量は、朝になると明るくなるように時刻に応じてゆっくり変動するとともに、雲など影を作るものの影響で瞬時にも大きく変動します。

学生だった頃から研究していたC4植物は、二酸化炭素を濃縮できる代謝(C4回路)を持っているため、光合成の律速は「光量」です。高光量での研究は、実はあまり研究されていません。強い光を出せる人工気象機があまりないからです。

農学部の実験棟9号館建設時に、高光量を達成できる人工気象機が導入されました。ここで高光量から低光量に変動した時、植物がどう応答するかの研究をしています。

今はちょうど卒業論文の仕上げの時期です。研究室では実験もしつつ、卒論の執筆に議論にと研究室は賑わっています。

育てている植物の中でも気になる性質のものを選んでいます。


卒業論文について議論中。

卒論提出まであとちょっとです。4年生たちには、ラストスパート、頑張ってほしいです。

(古本)

農学科(2023年4月より資源生物科学科から名称変更)を志望する皆さんへ ㉘ ~クリスマスローズ

 「クリスマス」と聞いて、皆さんはどんな植物をイメージしますか?

「ポインセチア」や「シクラメン」 のようにクリスマスシーズンを彩る植物や「クリスマスカクタス」や「クリスマスベゴニア 」のように名前にクリスマスが使われている植物もあります。今日紹介する「クリスマスローズ」もその一つで、龍谷大学農学部の「花卉園芸学研究室(旧植物資源学研究室)」では、「クリスマスローズ」の育種の取り組んでいます。

            クリスマスローズ(Helleborus niger

 「クリスマスローズ」の名前がありますが、日本で「クリスマスローズ 」出回るのは、クリスマス気分もすっかり終わり、新年を迎えてからになります。不思議に思った人もいるかもしれません。「クリスマスローズ」という名前は、本来は年内に開花する早咲きの野生種であるHelleborus nigerにつけられた名前だったのですが、今では、キンポウゲ科ヘレボルス属植物の総称として使われています。現在流通している「クリスマスローズ」の多くがクリスマスの頃に開花しないのは、H. niger以外の野生種が元となり育種されてきているからです。

          試験管の中で発芽したクリスマスローズ属の雑種

 現在、花卉園芸研究室では新しい草姿や香りを持つクリスマスローズを作出するために、組織培養技術を利用した研究に取り組んでいます。

                  神戸敏成(花卉園芸学研究室:旧植物資源学研究室)


【植物生命・卒研紹介シリーズ2022】No. 7 植物ゲノム工学研究室

    【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます

 急速に秋が深まり、冬の始まりを感じる今日この頃、 植物生命科学科の各研究室では4回生が卒業研究の仕上げに向けて熱い日々を過ごしています。昨年度同様、今年度も各研究室の卒業研究の様子をリレー形式でお伝えしようと思います。植物生命の各研究室ではどんな研究をしているのでしょうか?

植物ゲノムを設計通りに編集する技術を開発】

植物ゲノム工学研究室(土岐)では、植物のゲノム上の標的遺伝子に狙いを定めて改変する技術(いわゆるゲノム編集技術)の開発を行っています。


ゲノム編集と聞くと標的遺伝子をCRISPR/Cas9と呼ばれるハサミで切断し、必要のない遺伝子を壊す技術を思い浮かべるかもしれませんが、標的遺伝子を設計通りに正確に改変する遺伝子を改良する技術が今後必要とされます。この点ゲノム編集で標的遺伝子を破壊することは多くの植物で可能になって来ましたが、正確に改変することは一部の植物でしか成功していません。研究室ではゲノム編集の効率を向上させ精度を高めるために、新規のゲノム編集ツール開発を行っていますが、ゲノム編集はツールと細胞内のDNA修復システムの協調作業で行われるので、植物のDNA修復システムを理解するための基礎研究も行っています。


一方、改変すべき遺伝子はわかっていても、どのように改変すれば望むべき形質(形態や性質)が得らえるかわかっていない場合も多くあります。その場合はゲノム上の標的遺伝子のみにランダムな変異を導入することが有効です。研究室ではそのような技術開発も行っています。


研究室は土岐が昨年4月につくばの農研機構から異動して立ち上げたので、まだ出来立ての研究室です。現在初めての卒研生が卒業研究に勤しんでます。植物のゲノム編集を行うためにはまず、ゲノム編集用のベクター(プラスミド)を作る必要があり、その作業はいわゆるDNAの切り貼りの作業で、大腸菌を宿主として用いて行います。早く植物を直接扱う実験をやりたいというという学生さんもいますが、ベクター作りは遺伝子工学の基礎的な素養を育むのに良い機会です。将来違う分野に進んでも良い経験になると思います。


ゲノム編集された植物が得られ、その解析を始めている学生さんは非常に楽しそうに実験しています。植物が好きで、細かな作業も好きな方には向いている研究分野だと思います。


ゲノム編集は新しい研究分野なので、世界的に見ても若い方が活躍しています。学生さんが先入観の無い自由な発想で新たな技術開発を行い、世界の食糧問題の解決に貢献する画期的な農作物を開発してくれることを期待しています。


(土岐)


深清水の柿まつり2022

 2022年11月27日(日)、食料農業システム学科2回生13名が、スタッフとしてこの時期恒例の第5回柿まつりに参加しました(過去の様子その1その2その3)。今年は昨年度に引き続き立命館大学からも多くの学生がスタッフとして参加してくれて、来場者・スタッフともに賑やかな柿まつりとなりました。

前日の設営:オリーブの冬支度

前日準備完了!

柿まつり当日に現地入りした学生は朝6時台の電車で集合し、会場準備からお手伝いしました。今回は出店数も一気にパワーアップした感じで、地域の柿や野菜だけでなくさまざまなブースが所狭しとテントを並べていて、学生はサポートスタッフとしてそれらのテントに分かれて運営をサポートしたり、来場者の誘導を行ったりしました。事前申し込みだけで150組を超える参加者があるとのことで、駐車場の誘導でも学生は大いに活躍していました。なんと最終的な参加者数は500名を超えたそうです!

スタッフ学生はお揃いのプリントパーカーを作成して着用しました

絶好の天気に恵まれ、来場者を迎える準備万端!

地元特産品販売のテント

来場されたお客さんの中にはなんと昨年度スタッフとして手伝ってくれた学生のご家族も来てくださっていて、柿もぎ体験を楽しんでおられました。実は今回食料農業システム学科から参加した学生は深清水に来ること自体が初めてだったのですが、出店者の方や来場者の方といろいろなお話をさせてもらって、事前のオンライン打合せでは知ることのできなかった地域の魅力に触れることができたのではないかと思います。

盛況でした!

イベント終了後には、スタッフも柿もぎを体験させてもらいました

このイベントは、深清水地域と食料農業システム学科の間で結ばれた連携協定にもとづく活動の一環として始まったものです。年々活動内容が発展して自走していく姿を目の当たりにすることができて、とても嬉しく思うとともに改めて貴重な体験をさせていただいているなあと感じた次第です。お世話になった皆さま、どうもありがとうございました!(山口)

記念写真。スタッフもこんなに増えました(左:5年前、右:今年)。