テレビ番組に協力?

卒業式を控えた3月初頭、別役・塩尻で某テレビ局の取材に協力しました。


圃場の農作物はもちろん、雑草も含めて、自然界の植物はさまざまなストレスに曝されています。病害虫による害はもちろん、気象条件や栄養条件など多岐にわたります。植物の特徴の一つとして、根を張るという生き方を選んでしまったが故に移動することが出来ないことが挙げられます。このことは動物のように嫌なもの、嫌な条件から移動して逃げることが出来ないことを意味します。それにも関わらず、地球上の至るところで植物は栄えており、そんな植物が持つ高い環境応答能力(ストレス対応能力)の仕組みを明らかにする研究が世界中で進められています。今回の番組企画は、今明らかになりつつある植物の環境応答能力を一般にわかりやすく紹介する目的とのことで、生物の素晴らしさを伝える数回シリーズ内での一つとして企画されているそうです。


植物の環境応答の一つとして、今回は農業でもよく問題になる昆虫の食害に注目します。昆虫食害は植物に防御応答を引き起こすことが知られていますが、その防御応答は植物個体の組織の中で、いつ、どこで活性化するのでしょうか?食害部のみ?それとも全身?そんな疑問に、別役研で用いている植物免疫関係遺伝子の発現を可視化できる植物を、塩尻研で研究対象として扱っている食害昆虫に食害させて、植物の防御応答が活性化する様子の一部始終を捉えることを目指しました。

別役研の研究内容

塩尻研の研究内容

テレビ放送に耐えるような高精細な像を撮影するため、今回は横河電機さんのご協力も得て、高解像度で美しく撮影できる特別な装置を研究室の顕微鏡に取り付けて撮影に挑みました。大改造作業でしたが、手早くスムーズにやっていただき、びっくりするくらい綺麗な像を高速撮影することができるようになりました。放送決定前なので、どんな様子だったかだけチラ見せです(図)。

図. 今回の改造顕微鏡
(蛍光撮影のため手作り暗室状態にしています。画像は放送までナイショです。)


実際の撮影作業では、別役研で予め用意した撮影用の免疫遺伝子発現可視化植物に対して、塩尻先生が蟲使いのような手慣れた作業で食害させ、その様子の撮影を繰り返しました。さて、その結果やいかに?


来年度中旬くらいに放送予定とのことですが、そのまま放送に採用されても十分なクオリティのものが撮れたんじゃないかと思います。普段の研究では考えることもないレベルの精細さ、スピードが可能となり、あんなことやこんなことも?と次々に夢が湧いてきました。長いようで短い一週間でしたが、テレビ局、顕微鏡会社、そして龍大の別役、塩尻といった全く別の研究をしている研究者らのコラボ作業で出来た貴重な体験でした。実際に放送されることになれば、またここで紹介しますので楽しみにしていてください!!


(別役)