卒業式が行われました

 3月17日に龍谷大学農学部の卒業式が行われました。


心配された天候も何とか雨が降らずにすみ、つつがなく卒業式が進みました。瀬田キャンパス体育館で全体での式典ののち、各学科に分かれての行事が続きます。植物生命科学科では、学科主任の浅水先生のお話のあと、各種表彰が行われ、研究室ごとの卒業証書等配布が行われました。


必要な手続きが済んだ後は、研究室ごとや友達同士といったように、教員・学生が入り乱れての写真撮影大会です。ようやくマスクをしない顔も見ることができるような時期になってきました。


今年の4回生は、2〜4回生という3年間をコロナ禍で過ごした学年です。コロナ禍以前の大学生と比べて、いろいろと失ったもの、未経験のこともあるかもしれません。しかし、物事が急速に変化する激動の時間をこの多感な時期に過ごしたことで、失ったもの以上の貴重な経験を積んだ学年だとも言えます。たった4年前にはごく一部の特殊な事例を除いてほとんど存在しなかったオンラインでの授業やミーティング等に対しても、もはやこの卒業生らは当たり前に対応できるようになっており、社会人としてのスキルも上がっています。

こんな時期に本学で貴重な経験を積まれ、見事、この卒業の日を迎えられた皆さんが、この先、それぞれの進路でご活躍されることを教員一同願ってやみません。生命のこの学年は本学大学院への進学予定者も多い学年ですので、進学組の大学院でのさらなるご活躍も楽しみです。

何かと暗い話題が続いた世の中ですが、コロナ禍対応も終息を迎えつつあり、明るさを感じるようになっています。自然と将来への期待が膨らむ中ですが、皆さんの人生にも幸多きことを祈っています。ご卒業おめでとうございました!

(別役)



カメムシ研究会で応用昆虫学研究室修士2年の阿南君が発表

2023年3月30日、カメムシ研究会がオンラインで開催されました。「カメムシ類等難防除害虫の発生状況と防除対策に関する研究会」で、毎年1回、大学、公立試験研究機関、独立行政法人などの研究者が集まり情報交換をするもので、今回も86人が集まりました。基礎的な生態から防除に関するものまで15題の発表がありました。阿南君は、現在取り組んでいる「クモヘリカメムシの天敵ヤドリバエの種と寄生率の推移」について発表しました。ヤドリバエのクモヘリカメムシへの産卵部位、クモヘリカメムシ幼虫に対する寄生の有無、クモヘリカメムシの生息場所と寄生率の関係など、沢山の質問があり、今後の研究について有用な情報を得ることができました。 
(応用昆虫学研究室 樋口)

植物防疫所の見学

 多細胞免疫動態研究室(別役研)では、植物と微生物の相互作用を研究しています。


こういった分野は、一般には植物病理学と呼ばれ、農作物を病害から守るための研究分野です。この研究分野ではみなさん、いろいろなやり方で農作物を病害から守ることに挑戦しているのですが、別役研では特に植物と微生物の相互作用のしくみを明らかにするという基礎的な研究をおこなっています。実験ではほとんど野外に出ることのない研究室ですが、実際にどのような植物病害が世の中では問題になっていて、どのような対策が講じられているのかを知っておくことはこの分野を学ぶ学生としてとても重要だと思います。そこで、折に触れてそのような現場に触れる活動を行なっています。


国内の農業生産を病害中から守るための重要なステップとして、国際空港等での検疫という作業があります。今回は、関西空港に置かれている神戸植物防疫所関西空港支所を見学させていただく機会を得ました。当日は別役研の中でも植物防疫所での仕事に興味がある3・4回生6名と、同様に植物防疫所に興味がある塩尻研の学生1名の計7名で訪問しました。


参加者一同、関西空港支所(合同庁舎)の入口で


当日は、植物防疫所職員の方々のご厚意で半日程度のお時間をとっていただき、施設はもちろん、実際の検疫作業の様子、病原微生物や害虫の同定作業のようすを見学させていただきました。さらに見学後は職員の方々に質問させていただくお時間も頂戴し、参加学生からも業務内容から職場環境まで多岐にわたる質問が出て、職員の方々からさまざまお話を聞かせて頂くこともできました。


コロナ禍も収束しつつあり活気を取り戻してきた関西空港駅ですが、派手な空港の裏側という普段は行かないような(そもそも特別な許可と案内がなければ立ち入れない)場所で、黙々と国境での検疫作業を行なっておられる現場を見学させていただくという貴重な機会になりました。参加学生も、植物の病害を防ぐという仕事の意義や将来の可能性を考える良い機会になったかと思います。最後になりますが、今回の見学をご対応いただきました、神戸植物防疫所関西空港支所の皆さまに、貴重な機会をいただいてどうもありがとうございました!


(別役)



農学科(2023年度より資源生物科学科から名称変更)を志望する皆さんへ㉞ ~RNA-seq~


RNA-seqは次世代シーケンサーを利用した網羅的な遺伝子発現の定量方法の一つです。以前は次世代シーケンサーの配列決定コストが高額で、得られた解析データはUNIXコマンドラインでの作業が必要となり、敷居が高いという印象がありました。しかし近年になって受託解析の費用が下がってきたので、私たちの研究室でも実験植物であるタバコのRNAサンプルを用いて、RNA-seqの受託解析を依頼してみました。RNAサンプルを送付してから1カ月強で解析完了の連絡があり、サーバから解析データをダウンロードしました。データ解析は、ウェブ上で動作するGalaxyという開かれたシステムを利用することで、UNIXコマンドラインを用いずとも様々な解析ツールを実行することができます。Galaxyを用いたウェブサイトは数多く存在しますが、私たちは農研機構が運営しているGalaxy/NAACを利用しています。このようなサービスを利用することで、高性能なPCがなくても膨大なデータの解析をウェブ上で実行できるようになりました。

IGV
タバコゲノムにマッピングされたシーケンスリードをIGVゲノムブラウザで表示している

(植物育種学研究室 三柴)

2022年度NOPPOアグリゼミでの学び

 2022年度も農業界と大学生をつなぐ取り組みをされている(株)NOPPOのアグリゼミ(オンライン勉強会)に金子ゼミの学生達は積極的に参加してきました。金子ゼミの南部くんに学びや気づきについて聞いてみようと思います。

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NOPPOアグリゼミとは、2020年のコロナ禍に始まった株式会社NOPPO様主催のオンライン勉強会で、月に2回行われ、「農業」をテーマに勉強をします。

2022年度は「日本酒と米」「麦~家庭から世界まで~」「GAP(農業生産工程管理)」など、農業に関係する幅広いテーマを勉強してきました。

ここでは、金子ゼミ3年生がゼミ活動の一環で参加した1月のアグリゼミ(テーマは「コーヒーの2050年問題」)の内容を紹介します。

1月14日アグリゼミの1回目では、ゼミ運営メンバーからコーヒーの基本的情報から現在の状況、コーヒーの代用品、2050年までの課題や対策方法など、様々なことを勉強させていただきました。


1月21日アグリゼミ2回目では、コーヒーの栽培をされている岡山市の「やまこうファーム株式会社」の山本様と江本様からお話を伺いました。

私が印象に残っていることは、稼げる農業を目指す意思についてです。

代表の山本様は稼げる農業を目指すため、熱帯植物の栽培に目を向けます。
そもそも熱帯植物の栽培は日本の気候上、沖縄などの暖かい地域以外での栽培が難しく前例がないため、断念するのが現実だと思います。

しかし、山本様はパパイヤやバナナ、コーヒー等の熱帯植物の栽培に尽力されました。数年間、何度も失敗し、試行錯誤を重ねられ、凍結解凍覚醒法という方法でコーヒーの有機栽培に成功されました。

2020年に設立されたやまこうファーム様では、コーヒー豆を収穫・販売するだけでなく、コーヒー農園やコーヒーの木のオーナー制度をとることで、日本中でコーヒーの普及を行う事業を展開されています。

私は誰も思いつかないことに自ら足を踏み出す勇気や信念が大切であることを学びました。また、農業は農作物の収穫を待つ必要があるため、成果がすぐには現れません。だからこそ、我慢強く耐えるメンタリティーも必要だと感じました。


私は、2022年度は土曜日朝9時からのアグリゼミに、眠気を我慢してでも積極的に参加してきました。その理由は2つあります。

1つ目は、ゲスト講師が魅力的であること。

私が参加した回では、例えば株式会社クロスエイジ様、株式会社サラダボウル様、有限会社百笑会様、トータスファーム様など、農業に携わる多種多様な分野で活躍されている方達からお話を伺えました。

ゲスト講師からは、考え方であったり、物事に対する解決方法を教えてもらい、多くの刺激を受けました。

2つ目は、コミュニケーション能力を高められること。

NOPPOアグリゼミは他大学の学生や社会人が参加されており、様々な人と話す機会があります。そのため、初対面の方への自己紹介、グループワーク、話し方などを意識する必要があります。グループで話し合った内容を全体に発表することもします。この経験は、就職活動や大学でのプレゼンテーションの際においても役立っています。

私はNOPPOアグリゼミにたくさん参加したお陰で、ここでは書ききれないくらい多くのことを学び、人としても一回りも二回りも大きく成長させていただきました。

最後に、このような機会を作ってくださった株式会社NOPPOの福本様、本当にありがとうございます。興味のある方はぜひ参加してみてください。(南部)

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お世話になりましたNOPPOの福本様、アグリゼミ運営メンバー、参加者の皆様、ありがとうございました。(金子)


卒業式とりんご2022

 2023年3月17日、瀬田キャンパスで2022年度の卒業式・学位記授与式が挙行されました。ここ数年はコロナ対策で教員は卒業式をYouTubeで見ていたのですが、今年は久しぶりに体育館にて式に参列し、卒業生をお祝いしました。コロナでキャンパスでの学びも学外実習も制約が多かった学年でしたが、それにもめげずに立派な卒業研究を発表して、この日を迎えた学生たちでした。


卒業式が終わると、学科ごとに分かれて卒業証書の授与式を行います。2年前の証書授与式に引き続き、今年もびわ湖青果株式会社様より卒業生にりんごが贈られました。びわ湖青果の中井浩二さん(代表取締役社長)はこのブログでも再三ご登場いただいていますが、食料農業システム学科では私が担当する講義「食料流通システム論」で毎年りんごを題材として生産・流通工程についてご講演いただいています(2019年度のご講演の様子)。このりんごは、卒業を祝うと同時に、講義のことを思い出して食育に活用してほしいという願いを込めた贈りものです。


証書授与式会場に貼られたポスター

証書授与式にて:りんご、見えますか?


教室に漂うりんごの香りも、卒業生の門出を華やかに祝福しているかのようでした。中井先生、素敵な贈り物をありがとうございました!卒業生の皆さん、今後一層のご活躍を期待しています!(山口)


外国人(客員)研究員による研究紹介セミナー

植物ゲノム工学研究室(土岐教授)では、より精度が高く、効率が良いゲノム編集技術確立を目指した研究を行なっています。土岐先生は世界でこの分野をリードする存在とも言えます。


そんな土岐先生と共同研究を行うことでそれらゲノム編集技術を応用利用したいという目的で、ポーランドのUniversity of Agriculture in Krakow(クラクフ農業大学)から、Tomasz OLESZKIEWICZ (トマス オレスッキービッツ)博士が外国人客員研究員として半年間滞在されています。トマスさんは、植物ゲノム工学研究室において、研究室らの学生らと一緒に日々研究を進めておられますが、外国の博士研究員がおられることで研究室の学生にも大きな刺激になっているようです。

トマスさん


今回、折角の機会ですのでトマスさんにご自身の研究内容を紹介していただくセミナーを学科で開催しました。トマスさんは日本文化にも興味を持っておられ簡単な日本語も使われますが、もちろん研究セミナーは英語です。「Callus model systems in carrot genome engineering」と題した約1時間のセミナーで、トマスさんの特に博士研究に関してご紹介いただきました。

トマスさんを紹介する土岐先生(上)とプレゼンするトマスさん(下)


学科教員と主に土岐研の学科学生らに加え、他学科の教員らも参加してくださって、セミナー後にはいろいろな質疑応答が行われました。

当日の会場の様子


英語での質疑応答ということで、さすがに学生さんからの質問は出ませんでしたが、研究室に戻っていろいろと英語で聞いてくれていたらなと思います。教員にとっては久々の研究セミナーで刺激になりました。またおそらくは初めての体験となる学生さんらには、研究の世界では国境はないということ、そして英語がその重要なコミュニケーションツールになっていることに気づいてくれたらと思います。トマスさん、貴重なセミナーありがとうございました!

なおトマスさんの滞在はポーランド政府給付金によります。

(文責;別役、写真;永野)

農学科(2023年度より資源生物科学科から名称変更)を志望する皆さんへ㉝ ~殺菌剤耐性菌の発生調査~

農作物を栽培すると病気が発生します。病気の元になるカビなどの病原菌の増殖を抑えるには、殺菌剤が有効です。しかし殺菌剤は万能ではありません。何度も使用していると効かなくなります。耐性菌の発生です。効率的に病気を抑えるためには、どのような殺菌剤に耐性菌がどれくらいの割合で発生しているかを把握することが必要です。

 本研究室では、主に近畿地方の各府県から採取した病原菌を対象に耐性菌の発生状況を調査しています。今年の4年生(317日に卒業)は3名で、トマト、イチゴ灰色かび病菌と、イチゴ炭疽病菌の殺菌剤耐性状況を調べました。生産者や各府県の研究機関の方々にご協力いただき菌株を収集し、殺菌剤感受性検定を行います。最初はぎこちないクリーベンチ内の無菌操作も、卒論研究も終盤になると見違えるほどスムーズで正確になりました。結果を取りまとめ、最後に生産者に今後の対策などを提案しました。

(植物病理学研究室 平山)


殺菌剤感受性検定の様子

生産者への検定結果の説明




北海道十勝地域で調査実習を行いました

 3月6日から9日まで、香川ゼミ3回生有志による北海道十勝地域の実態調査を行いました。テーマは「大規模畑作地域における農家と企業の連携に関する調査」です。

十勝地域では原料農産物を生産する農家と加工企業が連携し、小麦や澱粉、加工食品、砂糖等が生産されています。その連携の実態について農家と加工企業の双方に対し、ヒアリング調査を実施しました。

ポテトチップス用の馬鈴薯を生産している農家でヒアリング。採集コンテナに座ってお話をお聞かせいただく王道スタイルの調査。

その馬鈴薯をポテトチップスに加工する企業でヒアリング。農家や地域との共存を強く意識しておられました。


馬鈴薯の保管庫。膨大な量でした。


小麦を契約栽培で生産している農家でヒアリング。小麦だけでなく山わさび等、新しい作物にも挑戦しておられます。


圃場見学の際には、靴に付着している菌が入り込まないようにするためにオーバーブーツを着用します。


小麦を製粉し、大手パンメーカーの高級食パン用小麦粉として出荷している企業でヒアリング。農家との連携関係をとても大事にしておられました。


砂糖原料であるビートの生産を行っている農家でヒアリング。育苗作業を見学させていただきました。紙の筒をつなげたものにタネを蒔いて育苗し、それを定植機でバラしながら植え付けます。


製糖企業でヒアリングしました。ウエルカムボードまで作ってくださいました。農家との信頼関係をどう結ぶべきか、農家と企業が同時に豊かになり、ともに地域発展に尽くすためにはどうすればよいかを考えておられました。



また、砂糖の生産工程を見学させていただきました。工場見学時は安全第一なので完全防備です(工場内は撮影NG)。


農家の方々が独自のビジネスセンスを持って経営活動を行っていること、地方にも魅力的な企業が存在すること、農家と企業の連携が地域活性化に寄与するケースが存在すること、等、これまで知らなかったことを知ることができ、学生達はとても喜んでいました。


農家、企業の方々、本当にありがとうございました。

また、今回の調査では、帯広市商業労働課のスタッフの皆様方に全面的に協力していただきました。感謝申し上げます。

(香川)


宣伝:【協力イベント】トーク「巨人×眠り×植物」に参加します

 

宣伝です。


日時:2023年3月11日(土)14:00~16:00
会場:GALLERY & EVENT SPACE NEUTRAL(〒602-8242 京都市上京区皀莢町287 堀川新文化ビルヂング2F)
※当日は睡眠文化研究会のinstagramでも配信します。
入場料:無料(事前予約制:contact@sukusukucentre.orgまで人数と名前をメール)

定員:50名
ゲスト:重田眞義/塩尻かおり
企画:山本麻紀子(崇仁すくすくセンター)
助成:​国土緑化推進機構「緑と水の森林ファンド」/Arts Aid Kyoto
協力:NPO法人睡眠文化研究会

http://haps-kyoto.com/giant_sleep_plant/





アートな人と、文化人類学の人と、トークをしてきます。どんな感じなのか、全く私もわからないので、楽しみです。お近くにおられて、お時間のある方は是非足を運んでみてください。


(文責:塩尻)


書籍案内 木本植物の被食防衛: 変動環境下でゆらぐ植食者との関係

 
本の編集をしました。

昆虫類の食害活動を森林植物が巧妙に防ごうとする姿についてまとめ、植物生態学の視点から環境保全への手がかりを提供する書籍。





近年の温暖化を含む環境激変下での森林植物と昆虫類の相互作用に関して、特に植物の防衛に焦点をあて、昆虫類や昆虫の食害活動を植物が巧妙に防ごうとする姿(被食防衛)を解説しています。本書を通して、樹林地保全を目指した生物多様性保全に関する基礎情報を提供しようとしています。具体的には、変動環境下での植物-昆虫間の関係性、ナラ枯れやマツ材線虫病への話題、植物の環境要因(高CO2、窒素沈着、対流圏オゾンなど)への応答、そして対策としての環境教育と森造りについて、樹木生理解剖学から群集生態学レベルの視点までのトピック(コラムも含め)を集結させています。

前線で調査を行っている約50名の研究者による解説書であるため、実験の詳細や、現象としてそれぞれがどのようなものなのかなど具体例が記述されていることが特徴です。虫害をはじめ緑地の保全・保護に資する資料も提供しており、本書が植物生態学・保全生態学、森林保護学を学ぶ学生から現場の実務者まで、今後の変動環境への戦略に向けた必携書となることを期待しています。

(塩尻)

奄美大島スタディツアー2022(後半)

2023年3月6日から10日までの5日間、食料農業システム実習B「奄美大島スタディツアー」を実施しました。食料農業システム学科の3回生1名と2回生7名の計8名が、鹿児島県龍郷町と奄美市を訪れ「亜熱帯の島の自然、農業、産業を学ぶ」をテーマに実習をしました。

3月7日午後、奄美市住用町に移動し、観光交流施設「三太郎の里」を見学し、「すみようヤムラランド」の満田さんに、地域の取り組みについてお話をうかがいました。

つづいて「すみようモダマの会」の3軒の民宿に泊まりながら、シマ料理を味わい、八月踊りを踊り、満香恵子さんの三線とシマ唄を聴きました。シマ(集落)の芸能や音楽、ことばにふれる貴重な体験でした。


3月8日午前は住用町で自然農業体験。民宿の師玉さん、和田さん、満さんにガイドいただき、モダマ自生地やフナンギョの滝までの林道を歩いたり、バナナやドラゴンフルーツなどの熱帯果樹栽培のようすを観察したりしました。


3月8日午後、奄美市名瀬の本場奄美大島紬協同組合を訪問。理事の前田圭祐さんから、本場奄美大島紬の製造に関わる職人の技術やその継承のあり方について、ていねいな説明を聞きました。さらに、締めや織りの作業や製品検査のようすを間近で見学し、精巧な絣模様の反物ができあがっていくプロセスを実感しました。


2021年に「世界自然遺産」に登録された奄美大島の自然環境を体験するため、3月8日夜はナイトツアー、3月9日午後はマングローブツアーに参加しました。エコガイドの西真弘さんに解説していただきながら、亜熱帯雨林やマングローブ林に入り、動植物を観察しました。

学生撮影:アマミノクロウサギ


学生撮影:ケナガネズミ


今回の奄美大島スタディツアーでは、恵まれた天候の中、体験や見学をとおして、奄美大島の自然環境や農業、産業、文化について幅広く学ぶことができました。

参加した学生からは「人と自然が共存するという考え方を学んだ」「人間は自然の中に住まわせてもらっている立場であることが理解できた」「人と人のつながり、コミュニケーションをとることがいかに重要かに気づいた」などのコメントがよせられました。

ご協力をいただいたすべてのみなさまに、心から御礼を申し上げます。




【落合、竹歳】前編もごらんください














博士課程1年の松本くん、学部4年の平井さんの学会発表


 コロナもあけ、対面での学会が3年ぶりに開催されました。

博士課程1年の松本くんと学部4年の平井さんが発表します。

久しぶりの人と出会い、色々な話をし、昔話や研究の裏話を聞く。対面での学会の良さはこうした情報交換で学生が育つことかもしれません。

発表は多くの方に面白いと言ってもらえ、松本くんは喜んでいるようでした。最新の結果は伏せて、手堅く話を展開したのが良かったのかもしれません。平井さんは明日が発表日です。卒業式と被るという残念なことになりました。こういう場合には指導教員が代わりに発表です。卒論が終わってからも実験を続け、いいデータが出ていますので、安心です。

仙台での学会だけに、夕食・昼食には牛タンを食べました。12年前には、数日ずれていれば、危うく、という状況だったことも思い出し、時の過ぎゆく速さを思いました。



(古本)

応用昆虫学修士2年鳥飼君が学会発表

 2023313日から摂南大学で開催された日本応用動物昆虫学会で、修士課程2年の鳥飼悠紀君が口頭発表を行いました。近年、水稲を加害し斑点米被害を引き起こすイネカメムシが多発傾向にあります。鳥飼君は、このイネカメムシの生態の解明に取り組んでいて、その成果を「イネカメムシの生活史」と題して発表しました。発表内容は、越冬場所、越冬場所からの移出時期、水田での発生消長、年間の世代数など、データに基づいた解析をもとにイネカメムシの生活史を明らかにしたものです。発表後も色々と質問があり、今後の研究の進展か楽しみです。

(応用昆虫学研究室 樋口)



奄美大島スタディツアー2022(前半)

2023年3月6日から10日までの5日間、食料農業システム実習B「奄美大島スタディツアー」を実施しました。食料農業システム学科の3回生1名と2回生7名の計8名が、鹿児島県龍郷町と奄美市を訪れ「亜熱帯の島の自然、農業、産業を学ぶ」をテーマに実習をしました。

3月6日、龍郷町の大島紬村と金井工芸を訪問。奄美大島の重要な地域産業である本場奄美大島紬について、その製作過程を見学しました。

本場奄美大島紬の泥染には、島に自生する樹木シャリンバイと泥田の鉄分が使用されます。金井工芸では、島にある自然の素材で糸や布を染めることの価値について、金井志人さんに説明していただきました。

3月6日は龍郷町秋名集落に移動。奄美の暮らし体験型宿泊飲食施設「荒波のやどり」に宿泊し、集落の女性たちの手作りの食事を味わいました。

3月7日午前中にはE’more秋名」の村上裕希さんとともに集落歩きを体験。地域の歴史や農業、伝統行事などについて解説を聞きながら、マコモダケの水田、琉球石垣、ヒゴのトイ水、集会所などのポイントを観察をしました。



3月7日午後、龍郷町の町田酒造を訪問。奄美群島の農業ではサトウキビ栽培が重要な位置をしめていますが、その加工品のひとつが黒糖焼酎です。黒糖焼酎の生産から、しぼりかすの活用までのプロセスについて、平島将社長に説明をいただきながら、工場内を見学しました。


 【落合、竹歳】後半もごらんください


NHKラジオ深夜便 3月号

 昨年の11月に放送されたラジオ深夜便での内容が、NHKラジオ深夜便 3月号に掲載されました。寝学塾 「匂いを出して身を守る植物の意外な防衛戦略」

よろしければ、ご覧ください。他の記事も面白いです。


塩尻

農学科(2023年4月より資源生物科学科から名称変更)を志望する皆さんへ㉜ ~バナナの「香り」と「おいしさ」~

皆さんは果物好きですか~?バナナを好む方はどのぐらいいるのかな~。 あまりおいしくないと思っている方もいると思いますね。国内で販売されているバナナの多くはCavendishという品種ですが、近年様々なバナナ種類が流通されています。果物の美味しさは人それぞれの感じ方が異なると思いますが、科学的に言うと糖度、酸度、香りの三つの要素がとても重要です。バナナも同じです。美味しさを感じるためには、香りが大きく影響します。鼻で嗅ぐ香りと口の中で味わう香りが合わさって美味しく感じます。バナナの品種や収穫後の追熟環境などによって香りが異なる場合があります。通常、果実が追熟すると香りが増えますが、収穫後の寒さや暑さで追熟が進まないと香りも少なくなります。バナナを美味しく食べるためには、収穫後適切な環境で追熟させることがとても大切です。本研究室では果物の香りについて研究をしていますが、今年度の卒業研究の一環として、市販されているバナナ果実の香りとおいしさについて調査し、卒業論文をまとめました。写真は研究室の先輩たちが、バナナの香りの分析とおいしさについて卒業論文(2022年度)を書いている様子です。

収穫後生理学研究室 (ウェンダコーン S.K.

実験中

実験データの取りまとめ