応用昆虫学研究室学生の卒論と修論の研究内容が論文として公表

 応用昆虫学研究室修士課程を修了した鳥飼悠紀君と、修士課程2年阿南創君と卒業生辰巳智哉君が修論・卒論研究で取り組んだ内容が、関西病虫害研究会報第65巻に論文として公表されました。鳥飼君の論文は、「イネカメムシの水田での発生消長と卵巣の発育状態」と題し、水稲を加害するイネカメムシについて、水田を中心に野外での発生生態を明らかにしたものです。阿南君らの論文は、「クモヘリカメムシに寄生するヤドリバエの種と寄生率」と題し、イネカメムシと同じように水稲を加害するクモヘリカメムシについて、成虫に寄生するハエの種と寄生率を明らかにしたものです。

(応用昆虫学研究室 樋口)










水稲農家の方と入門ゼミ1年生4組との交流会

 2023526日入門ゼミ4組は、近江舞子の水稲農家西村氏・伊井氏と交流会を行いました。最初に、西村氏に水稲栽培の現状を説明していただきました。伊井氏は、米についてKJ法を使って1年生と意見交換を行いました。KJ法は、付箋紙に自分の考えやアイデアを自由に書き、それらをグループ化し効率的に整理する目的で使われる手法です。1日何食米を食べるか、米を買うとき何で選ぶか、選ぶ米の品種は何か、米の消費を伸ばすための工夫などの質問に対し、学生達からは様々な意見がだされました。米の消費を伸ばすためのアイデアとして、かまなくても飲める米、おかずになるものも含まれているようなごはん、米で作れるパンや麺、「きき酒」ならぬ「きき米」セットの販売、有名人とコラボした米製品の試作・販売やイベントの実施など、ユニークな意見もだされました。秋には、新米の食べ比べのイベントも計画されています。

(応用昆虫学研究室 樋口)







 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カンザスだより

 2023年4月末より、国外研究員としてアメリカカンザス州マンハッタンにあるカンザス州立大学に滞在しています。マンハッタンと聞くと「おっ?」と思う人もいるかもしれませんが、ニューヨークにあるマンハッタンがBig Appleなのに対してこちらはLittle Appleという愛称で知られる人口5万人余りの街で、そのうち半分以上がカンザス州立大学関係者という大学街です。

青空がきれいです

私(山口)はこちらで、鳥インフルエンザをはじめとする家畜疾病の経済損失評価と、その損失を最小化するためのフードシステムの対応について、研究をしています。朝7時半から夜の12時まで開館している図書館など充実した研究環境に恵まれて、毎日楽しく仕事をしています。

図書館遠景:わかりづらいですが、内部は5階建てです

アメリカには農学などを教えるための高等教育機関を設立する際に連邦政府が土地を与える制度があり(ランドグラント大学と呼ばれます)、カンザス州立大学はその中でももっとも早い時期に農業大学として設立された大学のうちの1つです(門の写真にも刻まれている通り1863年、南北戦争の真っ最中です)。現在では総合大学として農学部を含む9つの学部が設置されています。メインキャンパスは瀬田キャンパスが4つか5つは楽に入りそうな広さで、キャンパス周辺にも農場など様々な施設が配置され、その巨大さに圧倒されるばかりです。

同じ縮尺で並べてみました(Googleマップ)

皆さんにたくさんの土産話を持って帰れるように、こちらでの研究生活を目一杯楽しんでこようと思っています。(山口)


おまけ:キャンパス内外はリスやウサギなど動物も多いです



元沖縄県農業研究セ安田慶次氏の講演会

 2023516日、元沖縄県農業研究センター安田慶次氏が応用昆虫学研究室に来られましたので、講演をお願いしました。「デイゴヒメコバチの被害と天敵デイゴカタビロコバチ導入に至る経緯」と題した講演で、沖縄県の県花であるデイゴを加害する侵入害虫デイゴヒメコバチの被害と、その防除のために導入した天敵デイゴカタビロコバチについて導入の経緯なども含め、詳しく解説していただきました。侵入害虫と導入天敵について、実際に現場で携わった経験に基づく講演で、迫力のある内容でした。デイゴヒメコバチの性比、デイゴが受ける被害の状況、導入天敵と土着天敵の違いなどから、公務員の仕事内容まで、学生たちの質問も多岐にわたりました。

(応用昆虫学研究室:樋口)






「エッセンシャル植物育種学」の出版

このたび植物育種学の教科書「エッセンシャル植物育種学 農学系のための基礎」が、講談社より出版されました。本書の第2章「植物遺伝資源と育種」を神戸先生が、第14章「分子育種の実際」を三柴が執筆しています。

本書は農学部の学生に向けた植物育種学の教科書で、育種学の初学者がその原理を体系的に理解できるように、カラーの図版を多く用いて平易な文章で解説しています。様々な栽培植物を専門とする研究者が連携し、植物育種学をわかりやすくまとめた書籍になっていますので、多くの方に読んでいただきたいと思います。


(植物育種学研究室 三柴)


チコちゃんに叱られる、再び出演 5月19日20日

前回2019年、「トウガラシが辛い理由」について、農学部開設にあたっての広報資料をもとに古本に当番組から出演依頼がありました。

その番組放送後、阪神大震災以来、連絡が途絶えていた近所の幼馴染の一家から実家に電話連絡が入ったと、母から聞かされ、この番組の影響の大きさを実感しました。

研究者としては、特段、トウガラシについて研究しているわけではありません。新しい研究テーマを模索する中で植物の温度感受性を研究し始める背景として、ヒトなどの動物の温度感受性の研究の歴史を辿り、その中でトウガラシの辛味成分カプサイシンが温感センサーに干渉することを知っていたにすぎません。この事実は2021年のノーベル賞対象ですので、面白さは一級でした。しかし、知り合いの研究者からは、私の専門とするC4光合成とは異なるために冷やかしを受けることもしばしばあり、その都度、冷や汗を流したものです。

放送後、担当のプロデューサーとのやり取りの中で、私の得意な(?)専門領域は「C4光合成」で、例えば夏の雑草が早く育つ仕組みを説明できる旨、お知らせしていたところ、今回、その内容での出演が決まりました。

台本へのいくつかの工夫を提言し、すでに野外での撮影を終え、それが19日と20日に放送されます。報道解禁が2週間まえとのことで、このブログにあげました。

雑草の話をするとしても、私は日本雑草学会の会員ではないとか、春の雑草は私の研究とは関係ないとか、道端の雑草の名前を即答できる知識は持たないなど、研究領域のど真ん中ではないことに少々の不安を感じますが、前回よりは積極的に良い番組になるよう提言できたと思っています。

前回放送以降、雑草を美味しく食べる食べ方をよくご存知の「なかひがし」さんと課外活動の一環で知り合いになりました。春の野草には美味しいものが多いので、中東さんにも協力いただき、番組を作成しました。予約が取れないことで有名な彼の野草料理をいただけたことは役得でした。

このブログを書いている時点で、どんな話になっているのか、誰がスタジオでの出演者なのか、私自身もわからぬことばかりです。うまく編集されて、わかりやすくなっているといいなと思います。

温かい目で、ご笑覧ください。


中東さんの店の前で

撮影場所の一つは大原でした

観光客や地元民の視線を感じつつ、河原で撮影、撮影される側の目線から

研究も食事も拳法も「体感すること」が大切かな

(環境生理学研究室 古本)