応用昆虫学研究室阿南君が学会で口頭発表

 20231020日、神戸大学で「西日本応用動物昆虫研究会・中国地方昆虫学会合同例会」が開催されました。応用昆虫学研究室修士2年の阿南創君が、「クモヘリカメムシに寄生するヤドリバエの越冬と他カメムシ種に対する寄生」と題し、クモヘリカメムシに寄生するヤドリバエについて、種、寄生率の推移、越冬生態を中心に、修士課程2年間に取り組んだ研究内容を発表しました。寄主であるクモヘリカメムシの発生時期、ヤドリバエの春先の発生状況と野外での生態などについて沢山の質問があり、発表に対する関心の高さをうかがい知ることができました。また、研究室4年の西村優生君、山本楓太君も参加しました。卒論発表をひかえた彼らにとって、勉強になる良い機会であったと思います。

(応用昆虫学研究室 樋口)






農研機構の安濃野菜研究拠点を見学しました(生命・小野木研)

ゼミの一環として農研機構の安濃野菜研究拠点(三重県津市)を見学してきました。同拠点には農研機構の野菜花き研究部門や中日本農業研究センターの研究拠点が置かれており、様々な野菜の育種や栽培技術、ダイズやコムギの転換畑での栽培方法などが研究されています。

見学では農研機構や拠点の概説の後、研究員の方々から研究を紹介頂き、ナス育種のハウスやタマネギの育種技術開発を行う人工気象器などを見学させて頂きました。

ナス育種で用いるハウスの中で説明を受けています

台木の違いについて詳しく説明頂きました

施設内を案内されている様子。いい天気でよかったです。

見学の最後では小野木研での研究内容をセミナーの形で紹介する機会を頂きました。

卒研内容を説明する石橋君。いい機会を頂きました。


学生にとっては最先端の研究に触れるとても良い機会になったのでは、と思います。安濃野菜研究拠点の方々に厚く御礼申し上げます。

小野木


卒業生の研究成果が論文として公開されました(生命・小野木研)

 昨年度卒業した研究室2期生温井太一さんの研究成果が、論文としてBioinformatics Advances誌に掲載されました。

論文タイトル:An R package for ensemble learning stacking(アンサンブル学習スタッキングのためのRパッケージ)

著者:Taichi Nukui & Akio Onogi(温井太一・小野木章雄)

リンク:https://doi.org/10.1093/bioadv/vbad139

(リンクからどなたでも論文を見ることができます)

アンサンブル学習は、複数の予測手法を組み合わせることでより正確で頑健な予測手法を作成する方法です。スタッキングはアンサンブル学習の一種で、複数の予測手法の予測値をさらに別の手法で学習し、最終的な予測を得る手法です。予測手法を積み重ねる(スタック)ことに名前の由来があります。アンサンブル学習は近年、ゲノムや転写産物などから生物の性質を予測するための手法として利用が広がっています。


本研究では、プログラミング言語Rを用いて、このスタッキングを簡便に実行するためのパッケージ(ツールボックスのようなもの)「stacking」を開発しました。このパッケージによりわずか数行のプログラミングでスタッキングを試すことができます。パッケージは誰でも入手可能です(https://cran.r-project.org/web/packages/stacking/index.html)。温井さんは研究室に入ってからRを勉強し、卒業研究として開発を行いました。


生命データ科学研究室ではデータ解析を通じて様々な知見を得ようとしていますが、このように解析に必要なツールを作成することも行っています。今後も生物学や農学に有用な様々なツールを開発していきたいと思います。

小野木


ウツクシマツ保全活動のお願いのために京都翔英高等学校に

 湖南市の天然記念物「ウツクシマツ」は、東海道石部宿のランドマークとして、昔から安藤広重などに描かれ、地域の皆に愛されてきました。根本から分枝する姿が珍しく、以前我々の学科に所属されていた植物の形態に造詣の深い岡田清孝先生も興味を示しておられました。その天然記念物の松林が、松枯れ病の被害に遭い、半数ほどが枯死してしまいました。それを復活させようと、湖南市の方々が一丸となって取り組んでいます。私もその保全活用委員会のメンバーとして、学術関係のアドバイスなど行なっています。


根本から分枝する珍しい樹形

この病気は、マツノザイセンチュウとマツノマダラカミキリが連携して媒介します。対処するためには、この連携を「絶てばいい」ので、殺虫剤を投与すれば部分的には解決します。ですがこの対処では被害を軽減できても、実は根本的な解決にはなっていません。

この病気が広がる背景には、山から木々を切り出さなくなった人の生活の変化が関係しています。森から木や下草を取り出して畑に持ち込んでいた生活から、肥料を購入し畑に投入する生活に変わりました。枯死した木々を放置することでカミキリムシの発生を促してしまうほか、森の下草が豊かになっています。この状態では、新しいマツが芽生えてきません。マツは、ガレ場など岩石層が露出したところで芽生えます。そこで、地面の腐葉土を取り除くテストが昨年度行われました。結果、腐葉土を取り除いた区画ではしっかりマツは芽生えることが確認できました。

天然記念物のウツクシマツの松林を守るには、「枯死を防ぐ」とともに「自然更新する新しい芽生えを確保すること」が肝となります。このためには、下草を刈り、腐葉土を掻き取ればいいのですが、これには膨大な作業をする人員が必要となります。


龍谷大学のメイン体育館が改修工事を行なっている間、少林寺拳法部の練習拠点として監督やコーチのおられる京都翔英高等学校に出稽古に行っています。この高校では、「自他共楽」という少林寺拳法の目指す一つの考え方、「自分だけでなく半分は皆のことを考えましょう」という教えを実践するために、ボランティアをする授業コマがあります。そのコマを活用して、この腐葉土を取り除く作業をしてもらえないかと、考えました。

そこで、授業時間を割いていただき、関係しそうな学生さんたちに集まってもらい、湖南市での活動を紹介し、お願いの趣旨を説明する時間をいただきました。

いつも練習に使わせてもらっている道場で講演しました。
安藤広重や「千歳集」など昔の文献の中で紹介されているウツクシマツを示しています。


学生さんたちには熱心に聞いてもらい、講演後には質問もいただきました。

11月5日の作業の日に、時間が取れる学生さんたちが何名いるのかまだ参加希望者を集計していないので分かりませんが、やってみたいという声が出ているそうです。彼らと作業できる時が楽しみです。

(古本)



丹後でのフィールドワーク

2023年9月30日~10月1日の1泊2日で、食料農業システム学科竹歳ゼミ3回生が丹後地方でフィールドワークを行いました。

初日は、丹後由良にあるハクレイ酒造を訪問しました。古い酒蔵を見学して酒造りについて説明していただき、地域活性化の取り組みについて伺いました。ちょうどその週末に、舞鶴を中心に「艦隊これくしょん」とのコラボイベントが開催されており、ハクレイ酒造さんでもコラボ商品などが売り出されていました。これを目当てに、アメリカやシンガポールからもお客さんが訪れており、学生たちはそうした方にも直接話を聞いていました。




翌日は、まず丹後ちりめん歴史館を見学しました。丹後地方は現在でも絹織物の産地ですが、かつては今よりもずっと大きな生産量を誇っていました。ここでは、特産品の「ちりめん」織りの工程や機械を見ることができます。



次に、天橋立ワイナリーを訪問しました。ここでは、ワインの醸造タンクや熟成庫を見学した後、自社のブドウ畑を見学しさまざまな説明をしていただきました。近くの海に堆積した牡蠣殻を畑に投入している取り組みや、それを含めたブランド化、ここでワイナリーを営む目的や意義など、学生からもいろいろな質問が出ましたが、それらに対して丁寧かつ詳しく答えていただき、大変よい学びになりました。その後、併設のレストランで地場野菜の料理やワインをおいしくいただきました。





竹歳ゼミでは、本年度、「嗜好品とSDGs」をテーマに学習してきましたが、今回のフィールドワークは、実際のさまざまな取り組みについて学ぶよい機会となりました。 (竹歳)

日本農業経営学会研究大会で大学院生2名が研究報告を行いました

2023年9月9日・10日に東京農業大学で開催された日本農業経営学会研究大会で、農学研究科博士後期課程の留学生2名(食料農業システム学科竹歳研究室)が、研究報告を行いました。

D1の武山林くんは、「中国内モンゴル自治区における肉牛繁殖農家の技術効率性―繁殖母牛に対する子牛の生産性に着目して―」というタイトルで、D3の王宇軒くんは、「土地流動化による中国蚕糸業の産地形成―四川省を事例に―」というタイトルで、それぞれ研究内容について発表し、質疑応答を行いました。


現在、これらの報告をもとに論文を同学会の学会誌に投稿中で、各人の博士論文につながっていくことを期待しています。                (竹歳)

                                                                                                        

植物感染生理談話会で発表しました(生命・別役研)

 9月4−6日に岡山大学で開催された令和5年度植物感染生理談話会(日本植物病理学会)に大学院修士課程の学生とともに参加してきました。今年で57回目を迎える長い歴史を持つ談話会ですが、毎年たくさんの学生も参加しており、また、大学のみならず企業や官公庁の関連研究者も集まる、年齢や組織の枠組みを超えた研究集会です。


「~植物感染生理学研究の未来~」という今回のサブタイトルにもあるように、最新の研究成果を共有して、参加者一同でふだんの学会では出来ないようなざっくばらんな質疑応答や意見交換を行なって、立場や世代を超えた同じ分野の参加者たちと交流する、夏休みだからこそ、の研究会です。


今回は別役研の4名の大学院修士学生と参加し、うち3名(大林藍、神野椰直、松山大輝、あいうえお順)がそれぞれの研究内容に関してポスター発表を行いました。3名ともM1でまだ道半ばの研究ですが、それぞれの研究内容の概略と、現在までに得た成果や、そこから考えられるさまざまな考察に関して発表しました。

この談話会の自由な雰囲気の中で、次々といろんな方々から質問を受けたり、コメントをもらったりと、それぞれ大忙しのようでした。有名な先生が突然、自分のポスターに興味を持って来てくれたり、初めて会う他大学の学生さんからクリティカルな質問をもらったり、というのがこの談話会の醍醐味です。大事な質問や貴重なコメントは忘れないよう、しっかりメモも取っていました。


コロナ禍の後、ようやく昨年度よりこの談話会も復活し、今年は懇親会も再開されました。例年、夜通しポスターの前で議論が続いていたこの談話会でしたが、今年はようやくその片鱗が見えてきました。そんな雰囲気の中、今回参加した当研究室の学生さん達も、他大学・機関の学生さんや先生方とそれぞれ交流を深めたようで、一緒に参加して良かったなと思います。


学会などで知り合いが増えると、次からはお互いに「どれだけ研究が進んだか」や「何が難しくて困ってるか」などが話題になるものです。今回参加したメンバーには、そうやって、研究室内に留まらない広い世界で切磋琢磨してもらいたいですし、研究室にもその経験を還元していってほしいものです。


(別役)








外部講師によるセミナー

 7月に「分子生物学」と「植物ー微生物相互作用学」において以下のお二人の外部講師を招いての授業を行いました。


分子生物学「発酵と分子生物学~微生物の代謝制御とものづくり~」

桝尾俊介 博士
(筑波大学生命環境系/MiCS・助教)

植物ー微生物相互作用学「国内での細菌病害防除の実際」

藤川貴史 博士 

(国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構 植物防疫研究部門 基盤防除技術研究領域越境性・高リスク病害虫対策グループ・上級研究員)


外部講師をお招きする回は、普段の授業では聞けないようなそれぞれの授業に関係するトピックを紹介していただく機会です。

分子生物学では、生き物の仕組みを分子レベルから学びますが、そういった知識は、実際の社会でどのように使われているのでしょうか?今回は、日本が特に得意とする発酵分野の応用的な話題を桝尾先生にご紹介いただきました。発酵というと食品を思い浮かべますが、分子生物学の知識を駆使した「微生物制御」によるプラスチックなどのものづくりの話題を紹介いただきました。

植物ー微生物相互作用学では、植物が病気になるメカニズムや病気に打ち勝つ免疫のしくみに関して学びます。それら知識がどのようにして実際の農作物を守ることに利用されるのかを、日本の農作物病害防除の最前線でご活躍中の藤川先生からご紹介いただきました。また、就活など将来について深く考え始める3回生が主な受講者であったこともあり、就職先の一つとして農研機構という組織に関してもご紹介いただきました。

それぞれ、授業で学んだ内容がどのように社会につながっていくのか、自分たちの毎日の生活や将来の仕事といった観点で深く考える機会になったと思います。桝尾先生、藤川先生、お忙しい中、素晴らしいセミナー、どうもありがとうございました!


受講者の声

【分子生物学】

・微生物を使ってプラスチックを作るなどこれからの社会で目指すべきクリーンで循環型社会のしくみの一つを知れて興味深かった。

・微生物は食品利用の印象が強かったのですが、プラスチックなど工業分野でも利用されていると知り、可能性のある分野だと思いました。

・とても内容の濃いお話でたくさん学ぶことがあった。プラスチックの生成について詳しく知らずにいたので今回のお話を聞いて深く理解することができた。複雑な仕組みを利用していることに驚いた。この講演で学んだことをこれからある研究などで活かせるといいな思った。


【植物ー微生物相互作用学】

・農研機構や種子の細菌病害について、興味関心がもてるお話でした。私も将来研究者になりたい気持ちがあるので、自分にどんな研究内容が適切なのかどうか様々な観点から考えてみようと思います。貴重なお時間ありがとうございました。

・他の講義でも農研機構の方の話を聞きましたが、以前に聞いた講義と分野が違い、分野の広さに驚きました。農研機構に就職したいと考えていたので、参考になりました。

・農研機構は知っていましたが、植物防除などの部門があり、他の育種などの部門があることを知り、植物について多面的に研究できる場所だと分かりました。また、基礎的能力、技術だけでなく、自分だけの力、能力が将来に必要だと分かりました。


(別役)





研究室対抗球技大会2023を行いました

 9月末の某日、生命科学科の研究室対抗球技大会2023を行いました。優勝トロフィーも学科主任の変更に伴い、浅水杯から古本杯に変更です。歴代優勝チームの名前も二つに増え、いよいよ生命科学科の伝統行事になりつつあります!


今年度は島研、土岐研、永野研、古本研、別役研、浅水・小野木・塩尻研合同チームの6チームがエントリーして、バレーボールとドッチビーによる総当たり戦でした。お昼休みに希望者参加のフットサルで体を温め、体育館に移動後、集合してルール説明を受けて球技大会開始です!




今年も多くの参加者(教員も!)があり、会場の端々で歓声が上がってとても盛り上がりました。生命科学科ではちょうど3回生の研究室分属直後で、研究室メンバーの交流も進んだのではないでしょうか?



盛り上がりすぎて最後は時間が足らず、未消化試合はじゃんけんとなり、最終順位は以下のようになりました。永野研の2連覇、おめでとうございます!!



優勝 永野研
2位 浅水・小野木・塩尻研合同チーム
3位 古本研
4位 土岐研
5位 島研
6位 別役研

学科主任の古本先生から、永野研のキャプテンに古本杯の授与です。副賞は教員カンパによる古本杯いっぱいのお菓子詰め合わせです。おめでとう!!


最後に参加者一同で記念撮影です。みなさん、研究室の名誉(?)をかけた熱い闘いのあとの良い笑顔です。



今年の球技大会も怪我もなく、無事に終了しました。最後の古本先生からの挨拶にもありましたが、ふだん教室や実験室で見かける表情とはまた違ったみなさんの様子が見れて、とても楽しい時間でした。

参加者の皆さん、どうもお疲れさまでした。これから卒論や修論が佳境に入る時期ですが、この球技大会で磨いた各研究室ごとのチームワークで乗り切ってほしいと思います。


今年度は、昨年度優勝チームの永野研が主催してくれましたが、企画・運営、どうもありがとうございました!!そして厳正な抽選の結果、来年は土岐研の担当となりました。土岐研の皆さん、どうぞよろしくお願いします。



(別役)






栗拾いのお手伝いに参加しました

 2023年9月29日

昨年、香川ゼミの調査実習で御世話になった京丹波の農業法人でゼミ生2名が栗拾いのお手伝いに参加しました。9月20日から25日まで泊まり込みでの作業体験です。


腰が痛い
腰が痛い

山積みの栗

大きい!!

機械化が進んでいます

夜には他大学から参加した学生や外国人労働者の方々と交流したり、法人の代表と農業ビジネスのあり方について議論したり、と充実した時間を過ごしたようです。


栗だらけの栗ご飯


教室や本で学んだことを現場で確かめる、現場で学んだことから新しい論理を構築する、これが社会科学系農学の王道です。


夜は鹿が遊びに来る


良い経験を積ませていただけたと思います。

(文責:香川)