資源生物科学科を志望する皆さんへ② 〜木とケンカしない果樹栽培をめざして〜

 

果樹園芸学は、『木になるおいしい果実』と『おいしい果実をならせる木』を探求し、生産活動につなぐ園芸分野です。

植物にとって、降りそそぐ太陽光を独り占めできれば、他の植物が成長しにくくなるので、結果として養水分も独り占めできます。木本植物は、この生存戦略に則り、背を高く伸ばして他人のアタマの上に枝を出し葉を広げようと生きています。

果樹も木ですから、基本的に上に伸びたがっており、早く背が高くなりたいと願っています。しかし、彼らを栽培管理する人間としては、あんまり高くなると手が届かなくなる(ハシゴを使えばいいが、作業性が悪くなる)ので、手の届かない部分を切ってしまったり、横にひんまげたりします。そして、上に伸びようとする果樹との激しいケンカが始まります。

キウイフルーツはつる性果樹で、本来、他の植物に巻きついて上へ上へとよじ登ります。管理作業の手が届くよう、倒したり、針金に縛り付けたりして、水平方向に仕立てようとすると、いじられた枝はつむじを曲げてしまい伸びなくなり、基部から新しい枝を吹いて、その枝で自分の思い通りの方向を目指し直すという性格があります。

そこで、私たちは、キウイフルーツの枝をまっすぐ上に伸ばせばどのくらいキウイが喜ぶかを確かめるため、垂直に枝を伸ばすことのできる崖下(農学部横にある温室テラスの土台)に株を置き、水平にひんまげて育てる株と成長の諸様相を比較してみることにしました。キウイフルーツはどうやって喜びを表現するのかって?それは、今年調査をしてみてのお楽しみ。(果樹園芸学研究室 尾形 凡生)



キウイは、なかなか素直に真っ直ぐ伸びてくれない

農学部横のテラス上の温室群
農学部横のテラス上の温室群


温室テラス土台に置いたキウイフルーツの鉢植え