日本遺伝学会第89回大会の市民公開講座「変わりものを探そうー多様性は生物の基本ー」(9月16日、岡山大学津島キャンパス、創立50周年記念館)


 日本遺伝学会第89回大会の市民公開講座「変わりものを探そうー多様性は生物の基本ー」(9月16日、岡山大学津島キャンパス、創立50周年記念館)で、中村千春教授が「遺伝の法則に導いた変わりもの」と題した講演をします。


 メンデルの論文「植物雑種の実験」が発表されてから151年が経ちました。オーストリア帝国モラビアの農村ハイツェンドルフに小作農の子として生まれ育ったメンデルは、苦学の青年期を経て、ブルノの聖トーマス大修道院の修道士・司祭となりました。ナップ院長をはじめ、メンデルの才能を愛でた多くの人々の理解と支援を得て、ひそやかに、しかし確固とした目標と信念をもって始めた10年に及ぶエンドウマメの交配実験が遺伝学の扉を開きました。メンデル遺伝学は「子孫に伝わるのは形質ではなく形質を支配する遺伝子である」ことを私たちに教えてくれますが、この大発見に導いたのはエンドウマメの「かわりものたち」でした。幾多の論争を経て、メンデルの名は遺伝法則とともに不
滅の栄光をもって科学史に刻まれました。講演では、メンデルの成し遂げた仕事と、人間・自然・生き物を愛したその人なりを、メンデルが生きた時代背景とともに振り返って見ます。