中国東北部のダイズ生産と豆腐料理

昨年度の日本のダイズの生産量は23.5万トン,作付面積は15haで,平均収量は10a当たり157kgでした.水田転換畑での生産が主であり,畑の排水不良などから安定生産が難しく,ここ数年数値は少し上がったものの自給率は7%と低くなっています.そんな状況から,私たちはダイズの研究も進めていますが,8月初旬,中国東北部黒竜江省のダイズ畑を視察してきました.ハルビンにある東北農業大学農学部の先生と旧知の仲であり,彼が莢伸長期のダイズ畑を案内してくれました.中国はダイズの大消費国で,国内生産量は年間約1300万トンにのぼりますが,一方で8600万トンを輸入している世界ダントツ一位のダイズ輸入国です.10a当たり収量は180kg程度と,アメリカやブラジルの300-350kgより低いですが,国全体で720haのダイズ作付面積があり,これは日本の全農耕地面積の1.6倍にあたります.まぁ,とにもかくにも,その広大な圃場の連続には驚かされました.ダイズを見たら豆腐が食べたくなり,「ロバの豆腐屋さん」というこの地域で有名なお店に行き,美味しい豆腐料理も楽しみました.昔はロバを引いて豆腐を売っていたそうですが,現在ではとても立派な工場になっています.木綿豆腐の冷や奴(醤油と青唐辛子で味付け)はボリューム満点で美味しく,黒竜江省で有名な「水餃子」も豆腐入りのものを頂きました.ダイズを視察して,お豆腐を頂き,ダイズ研究のモチベーションが高まりました.
総面積5万haの「趙光農場」に栽培されるダイズ(飼料用トウモロコシ,コムギ,ジャガイモとの4年輪作).ちなみに滋賀県の全耕地面積は4万haです)

莢伸長期のダイズ.今年は7月の干ばつで収量はやや低い予想とのこと

豆腐入りの水餃子(東北地方は粉文化の地として知られています.客人が来た時に「麺」で歓迎し,送る時には「餃子」をふるまうとのことです)
photo & text: Hiroyuki Daimon