研究成果が論文として公表されました(植物生命・小野木研)

 近年の生物学では様々な情報が生物やその周囲の環境から得られるようになりました。例えばゲノムの塩基配列や発現している遺伝子・タンパク質の種類や量、周囲の気温や湿度、日射量などです。このような多種類かつ多量な情報から生物の性質に影響を与えるものを抽出したり、あるいはこれらの情報を用いて生物の性質を予測したりできれば、生物の仕組みについての理解が深まるだけではなく、その農業利用にも貢献できる可能性があります。


今回の研究ではこれらを可能にするための統計学的・機械学習的なアプローチをRというプログラミング言語で実装し、だれでも容易に利用可能なようにパッケージ(要はツールキット)として公開しました(https://CRAN.R-project.org/package=VIGoR)。パッケージは用いた手法(変分ベイズ法)にちなんで「VIGoR」(Variational Inference for Genome-wide Regression)と名付けています。論文ではVIGoRが既存のパッケージより高速かつ正確に情報を処理できることを示しました。



当研究室(生命データ科学研究室)では様々な生命データの解析とともに、そのために必要なVIGoRのようなツールの開発も行っています。今後もツールの拡充を続けていきたいですね。


論文

Onogi A. and Arakawa A. “An R package VIGoR for joint estimation of multiple linear learners with variational Bayesian inference”. Bioinformatics, Advance Access Publication Date: 16 May 2022.

https://doi.org/10.1093/bioinformatics/btac328

                               小野木