地域農業・環境経済学研究室では、2024年12月14日(土)と15日(日)の2日間にわたり瀬田キャンパスで合同ゼミを実施しました。合同ゼミには、福岡女子大学環境科学科竹内ゼミ、同志社大学経済学部和田ゼミ、同志社大学経済学部三俣ゼミ、龍谷大学政策学部清水ゼミ、龍谷大学農学部嶋田ゼミ、金沢大学地域創造学類大野ゼミ、専修大学経済学部泉ゼミから、教員7名、学生111名が参加しました。
総勢118名の参加者
この合同ゼミは、地域の環境保全を研究するゼミの集まりとして、2013年に2大学合同ゼミとしてスタートし、その後、教員の異動や参加ゼミの新規加入などを経て現在の形となっています。本来は南山大学篭橋ゼミも加えて6大学体制ですが、教員のサバティカルで2023・24年度は、5大学体制となっています。
初日の14日は、13時から開会式を行い、趣旨や進め方の説明、各ゼミの代表による簡単なゼミ紹介をしました。その後、5つの教室に分かれての分科会形式で研究報告会を行いました。全体で21件の研究報告があり、当研究室(嶋田ゼミ)からは、4回生の卒業研究報告1件、3回生のプロジェクト研究2件、合計3つの研究報告が行われました。農業体験学習の効果を実証的に研究する卒業研究報告は、奈良市内の3つの公立小学校に協力を仰ぎ、約250名の児童に4回のアンケートを実施し、児童たちの意識の変化を調査する本格的なものでした。また、3回生のプロジェクト研究は、1件が同じく農業体験学習に関するもので、この農業体験学習の運営主体である地域教育協議会や小学校の先生にインタビューを行い、運営上の課題や改善策を検討する意欲的な研究でした。もう一件は、龍谷の森をテーマに、里山保全の可能性を探求する研究で、「龍谷の森」里山保全の会の活動への参与観察やインタビューに加え、龍谷の森と同じく自然共生サイトに登録され先進的な里山の活用を行っている奈良県王寺町の「陽楽の森」の調査などを基にした研究で、今後の研究の進展が楽しみな報告でした。
各分科会会場では、それぞれのゼミの特徴が表れた興味深い報告が行われました。また、調査段階でお世話になった京都府建設交通部河川課の職員さんや大阪の民間企業の社長が聴講に来られ、会場の学生からも活発に質問やコメントが出されるなど、座長の先生を中心に白熱した議論が展開されました。全体を通して、食・農・環境をテーマにする発表が多く、当研究室の学生にとっては、自分たちが農学部で取り組んでいる研究テーマが、経済学部、政策学部、そして地域系や環境系の学部・学科でも取り組まれていること、すなわち分野横断型の学びの広がり、を知る良い機会になりました。
分科会の様子
全ての研究報告が終わった後、17時からは、全体で閉会式を行い、教員が総括のコメントを述べました。その後、生協食堂に移動して18時から20時まで、懇親会を行いました。懇親会では、各大学の交流が進むよう、くじ引きでテーブルを決め、同志社大学三俣ゼミと和田ゼミの学生が司会進行をして、交流を深める様々な催しが行われました。司会進行役の奮闘と参加学生の積極的な姿勢で会場は大いに盛り上がり、あっという間の2時間でした。
翌二日目は、エクスカーション「龍谷の森を歩こう」です。龍谷の森を舞台に里山保全について学ぶとともに、合同ゼミに参加する様々な大学の学生間の交流を深めることを目的に、当研究室の学生が5月ごろから準備を進めてきた一大イベントです。多い学生では、10度ほど森に入り、ルートや解説内容を検討し、ガイド役を果たせるよう準備をしてきました。その過程で、龍谷の森を知り尽くしている龍谷大学先端理工学部環境生態工学課程の林珠乃先生から教えを受けるなど、様々な形で学びを深めてきました。また、111名もの学生をどうすれば安全に林内を案内できるか、何度も現場に足を運び、議論を重ね、細心の注意を払いながら準備を進めてきました。
事前準備の際に林先生に解説をして頂く(2024年5月29日)
当日は、大学混成の6つのグループに分かれ、各グループに当研究室の学生が2~3名ガイドとしてつき、複数のコースに分散して林内を散策しました。天候にも恵まれ、気持ちよく林内を歩くことができました。当研究室の学生たちは、事前に決めておいたポイントで拡声器を用いて解説を行い、龍谷の森の魅力や現在の利活用状況などを分かりやすく伝えてくれました。また、解説内容をまとめた原稿を用意し、グループごとに解説内容に大きな差が出ないよう工夫しました。メモを取るなど熱心に解説を聞く姿が見られ、参加者の里山への興味や理解が深まったことが確信できる内容でした。
ミツバチの巣箱についての解説
龍谷の森「里山保全の会」の活動拠点での解説
2時間ほどの散策を終えて教室に戻ってからは、昼食をはさみながら龍谷の森の魅力やその魅力を今後より高めていくにはどうすれば良いのかについて、グループごとにディスカッションを行いました。そして、最後にグループごとに話し合った内容を発表しました。
様々な意見が出ましたが、大学に隣接する形でこのような森があるのが羨ましいという意見が多く、掲示やベンチなどよりアクセスしやすい環境があればより魅力が高まるのではないかという提案がありました。また、木工や炭焼き、薪割などの体験をしてみたいという意見や、さらに、焚火やかまど、七輪などで、林内で栽培されているシイタケをその場で味わうなど、森の恵みを体験できればよいのではないかという意見が出されました。その他、今後の龍谷の森のあり方を考える上で興味深い様々な提案がなされました。そして予定通り、14時に無事に2日間の合同ゼミのプログラムを終えました。
龍谷の森の魅力や活用策についてのグループ発表
合同ゼミのすべてのプログラムが無事に終了し、他大学の学生たちを送り出した後のゼミ生たちの達成感に満ちた顔つきが忘れられません。当研究室の学生たちは、4月以降、研究発表や「龍谷の森を歩こう」の企画・運営のためにかなりの時間を投じ、主体的に取り組んできました。合同ゼミに向けて奮闘する学生たちの姿に日々成長を感じていましたが、合同ゼミを終えて興奮冷めやらぬという様子を見ながら、改めて学生たちの成長を実感しました。合同ゼミを実施する際には様々な方々にお世話になりました。この場を借りてお礼申し上げます。(嶋田)