地域特産農作物を生産者や消費者にとってより魅力あるものとするには、作物の再評価、時代に即した価値付与、情報発信が不可欠です。作物の由来の解明はその足掛かりとなります。佐藤先生は「近江のカブの多様性と系譜」と題し、主に近江カブと種々の赤カブを取り上げて、DNAマーカーを用いた系統解析や、系統成立の歴史的背景について発表されました。文理融合型研究のお手本ともいうべき内容でした。(なお、佐藤先生の前にJAレーク大津の中塚聡志さんが近江カブの生産振興についてご講演されています。)
大門先生の題目は、「滋賀県における水田の高度利用と環境保全に着目した地域特産農作物の創出」です。ご専門のマメ科作物について、滋賀県で導入しやすい水田転換畑での栽培方法(排水性を高め、地力を増やす方法など)を環境調和型農法として紹介されました。また、付加価値となる知の提供が適切に行われていない現状を指摘され、本学部での学びの意義を再認識させられました。個人的に楽しみにしている、キャンディーコートラッカセイ商品化の進捗報告もありました。
8月に学部有志でバラ園を見学させていただいた(株)Rose Universeの國枝健一さんも、琵琶湖沿岸地域の特性を生かした事業を紹介されました。写真は同社開発の「和ばら」です。(参考:9/5ブログ記事「Rose Farm KEIJI見学会」)
photo & text: Ikuko Sasaki