「卒論研究」近況報告(中村研究室)


コムギはイネ、トウモロコシと並ぶ世界の3大穀物のひとつです。私たちの食卓に、パン、パスタ、ケーキやクッキーなど多くの食品を提供する原料となる重要な作物です。

どんな作物にも生まれ育った故郷があります。コムギの起源地は中央アジアのコーカサスからイラクにかけた地域です。メソポタミアの肥沃な三日月地帯で栽培が始まりましたが、もともと乾燥地域で生まれ育ったコムギは、冠水や湛水など過剰な水ストレスに弱い特徴を持ちます。ですから、日本のような高温湿潤な環境はコムギの栽培には不適です。特に、水田転換畑のような水はけの悪い条件はコムギの栽培を難しくしています。

私たちは、過剰な水ストレスがコムギの発芽と成育にどのような影響を与えるかを調べています。耕作放棄された水田を使ったコムギ栽培に少しでも役に立つ知識を得たいと希望しています。

卒業研究では、「冠水ストレスがコムギの発芽と幼苗成長に与える効果の解析」をテーマに、6倍性と4倍性の品種群を用いて実験を始めています。これまでの試験管検定法に替えて、バーミキュライトを満たした5mlのチップを用いたチップ検定法(図A~D)を採用して、実験を進めています。

以下の図は、春播き性のパンコムギ標準品種チャイニーズ・スプリングを用いた検定の様子です。吸水種子をチップのバーミキュライトに播種して、ストレス無しの条件で育てた対照実験の様子です。今後は、材料品種とストレス条件をいろいろ変えて調査する予定です。

卒論研究はゼミ生の7名全員の共同研究として実施しています。「一つの目標を皆で共有し力を合わせて完成する」、これが趣旨です。

 

A.吸水種子の播種当日
 

 

B.吸水種子の播種7日目

B.吸水種子の播種7日目
 
 
 C.吸水種子の播種10日目


C.吸水種子の播種10日目

 

D.吸水種子の播種14日目

D.吸水種子の播種14日目
 


E.研究室での集合写真(521日)


E.研究室での集合写真(521日)
 
 
F.初めてのゼミ会(2月8日)

F.初めてのゼミ会(2月8日)