サイエンスカフェ 広島

 昨年のオープンキャンパス深草のカフェ樹林で行ったサイエンスカフェの内容と同じ構成のものを、広島で再度行いました。

 ウンカ(チャノミドリヒメヨコバイ)にわざと吸汁させた茶葉を選んで作られる烏龍茶「東方美人」の香り高さは、植物の防御応答のための代謝によって生まれます。このお茶は台湾で産出されるのですが、その背景を雲間店主の寺本さんに伺いました。続いて、東方美人を喫し、その香り高さに驚きました。

 その後、塩尻かおり先生による「植物(コマツナ)と捕食者(コナガ)と寄生者(コナガサムライコマユバチ)」の3者関係の中での植物の揮発物質を用いたコミュニケーション方法について話を聞きました。先の植物の防御応答の代謝と強く関係します。アオムシ・コナガと食べられる虫ごとに異なる匂い成分を出してそれぞれの寄生蜂を呼びつけるという話に、生物の進化の妙を感じました。チャノミドリヒメヨコバイの実物や、コナガを探索するコナガサムライコマユバチの実物展示は、参加者の目を引きつけていました。彼女の研究は、昔から本当に面白い。

 古本は植物が大気温度をどう捉えるのかについて、神戸大学の山内先生の成果も少し紹介しながら最新の研究動向を紹介しました。ここでも先の植物の防御応答の代謝が関係します。お茶の話から植物の2次代謝の話まで、身近な話から専門的な話まで、ゆっくりできたのではと思います。

 今回聴きに来てくださった方々は、カフェ雲間を利用される一般の人です。中には、龍谷大学法学部にお子様をもつお母様もおられました。この方は、広島での保護者懇談会でもお会いしています。なんやかんやとこれでお目にかかるのは3度目でした。
 
 アンケートの結果は上々でした。実は参加者の一人に叔父がいたのですが、初めて聞く甥(私)の話に、「強さんは、みんなが知っている当たり前のことを、難しく研究しているんじゃね。情熱に感服した。ボケ防止にちょうどいい。」と感想をくれました。その通りです。「みんなが知っている当たり前」はむしろ科学的に説明することがとても難しいのです。ボケ防止になるかどうかはともかく、楽しんでいただけたようで、ホッとしました。

 お盆の帰省ラッシュで移動は大変でしたが、やってよかったと思います。 (古本)