研究成果が論文として公表されました(植物生命・小野木研)

 収量やストレス耐性など、作物の様々な性質は遺伝と環境双方の影響を受けます。さらに「品種Aは湿潤な環境ではよく育つが乾燥に弱く、逆に品種Bは湿潤な環境に弱く乾燥には強い」といった、品種による「得手不得手」も存在します。このような「得手不得手」は専門的には「遺伝と環境の交互作用」といいます。

では「遺伝と環境の交互作用」はどのような遺伝子により調節されているのでしょうか。またどのような環境刺激(気温・降水量・日長など)がどの成育段階(播種期・出芽期・開花期など)に作用することで、交互作用が生じるのでしょうか。

作物にとって重要で根源的なこれらの疑問は長年研究が続けられてきていますが、いまだ全容を解明するに至っていません。

今回の論文ではこれらの疑問を少しでも明らかにするための新たな手法を提案しています。その手法を「Environmental Covariant search affecting Genetic Correlations」の略でECGCと名付けました。

論文リンク

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fgene.2021.803636/full


ECGCは完全にデータ駆動型、つまりデータとその解析を通じて真実に迫ろうとするアプローチです。今回はダイズの品種改良で得られた全国41試験地・過去55年分の栽培データ、気温や降水量などの栽培時の気象情報、624品種のゲノム情報を統合し解析することで

  • 品種の「得手不得手」にはどのような気象条件がいつ関わるか
  • その「得手不得手」にはどのような遺伝子が関与しているか
の一部を明らかにすることに成功しました。1例として、収量の「得手不得手」には播種期の降水量が関わっており(つまり播種期に多雨な状況に耐えられる品種とそうでない品種があり)、その「得手不得手」には12番染色体上の遺伝子が関与していました。


収穫が近いダイズ圃場

作物の「得手不得手」を理解するには、まだまだ多くの研究努力が必要だと考えられますが、データ解析を通じて少しでも貢献できればと考えています。


(生命データ科学研究室 小野木)