6/6から2週に渡る別役先生の実習では、「アグロバクテリウムを介した植物形質転換と組換え蛍光タンパク質の精製」を行いました。
遺伝子組換え植物を作成し、発現物質の解析まで行うという長丁場の実験の始まりです。
各工程をレポートしたいと思います!
アグロバクテリウムの培養
プレート上で育てたアグロバクテリウムを液体培地へ播種します。
培養液には抗生物質が添加されているので、対応するアグロ株の組み合わせを間違わないようにします。
一晩培養して濁度を測定し、感染に適した濃度に調整します。
インフィルトレーション法による遺伝子の導入
用意してもらったベンサミアナタバコに、濃度調整したアグロバクテリウム溶液を感染させます。
シリンジに最適濃度の希釈したアグロバクテリウム溶液を吸い取り、葉の裏に押し当てます。
本実習の見どころの一つです。
皆さん、上手くできましたか?
導入遺伝子の一過的発現
感染させてから一週間が経ちました。
所々、葉の色が変わっていますが、無事枯れずに育ってくれたようです。
この葉にUVライトを当て暗所で観察すると、、、
室内の蛍光灯下では差がなかったのに、UVライト下では3種間で明らかに違いがありますね。
この差は、形質転換に使ったアグロ株の違いです。
YFP(黄色蛍光タンパク質)とRFP(赤色蛍光タンパク質)が発現している葉の違いがわかりますか?
今回の実験では、YFPとRFPを大量に作らせるために、植物の免疫システム(RNAサイレンシング)を抑制するタンパク質の遺伝子も同時に加えています。
このひと工夫で、より多くの導入遺伝子の発現=蛍光タンパク質の蓄積が期待できます。
タンパク質の回収・精製
それではタンパク質を抽出します。
液体窒素を使い、瞬間凍結させたものをすり潰していきます。
回収した液体から、カラムを使って発現させたタンパク質のみを回収します。
ここにも、ひと工夫があります。
抽出液には元々植物が持っている大量のタンパク質が含まれています。
その中から、遺伝子組換えで作らせたタンパク質だけを回収してこなくてはいけません。
今回の組換えタンパク質はYFPとRFPですが、そのタンパク質にはエピトープタグと呼ばれる余分な8個のアミノ酸が付加されています。
このタグが吸着するカラムに抽出液をろ過することで、全タンパク質から目的タンパクだけを選り分けることができます。
精製タンパク質の性状解析
タンパク質は本当に抽出できたのでしょうか?また、精製は上手くいったのでしょうか?
確認するために、今回はSDS-PAGEという方法で調べました。
SDS-PGAEでは、タンパク質をSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)によって帯電させ、更に加熱変性して立体構造を解いたものを、電気泳動によって分子量の大きさでふるい分けします。
これまでの実習で何回か行ったDNAのアガロース電気泳動よりも、ふるいが小さいアクリルアミドゲルを使って泳動します。
初めてのゲルですが、うまくアプライできましたか?
サンプルはタンパク質粗抽出液(精製前のもの)と、カラム精製した後のものを泳動しました。
精製前と後では、検出されるバンドの様子が大きく異なります。
分子量マーカーや重量マーカーと比較して、実験結果の考察を行います。
最後に、タンパク質を加熱することでどのような変化が生じるか調べました。
加熱することで、蛍光は変化したでしょうか?