カメムシといえば、触ると強烈な臭気を発する昆虫です。このカメムシですが、種類は非常に多く、食性も食肉性のものから食植性のものまで多様です。そのなかには、イネが出穂すると水田に飛来し穂から汁を吸うカメムシがいます。穂が吸われると収穫した玄米には黒い斑点がつき、斑点米と呼ばれ、米の商品価値が著しく低下します。斑点米被害を引き起こすカメムシ類を、斑点米カメムシ類と総称しています。
この斑点米カメムシ類ですが、滋賀県では種類が変遷しています。1970年代は、クモヘリカメムシ、ホソハリカメムシ、トゲシラホシカメムシが主要種でしたが、1990年代には、アカヒゲホソミドリカスミカメとアカスジカスミカメが急激に増加しました。そして2000年代になると、イネカメムシが増加傾向を示し、斑点米被害を引き起こしています。
応用昆虫学研究室では、このイネカメムシについて、越冬場所、越冬場所からの移出と水田への飛来時期、水田内での発生消長などを詳細に調査し、生活史を明らかにする研究を進めています。
(応用昆虫学研究室 樋口)
斑点米
イネカメムシ成虫