海外農業体験実習 ハワイ 初日(8月26日)
2025年度のハワイ農業体験実習がスタートしました。関空から8時間30分かけて、一路、ハワイへ向かいます。ホノルルで国内線に乗り換えて、ハワイ島のコナへ行きました。
午後16時頃、最初の学習地はコナにある内田農園に到着。コナコーヒー農家のリビング・ヒストリー・ミュージアムと言えるところで、日本人がハワイに渡り多くのご努力の上、世界の三大コーヒーのひとつ、コナコーヒーを作り上げた歴史的経過を学ぶことができる貴重な建造物です。
当時の農具や作業庫を見せて頂きました。右に写っている動力機械は、調整作業に使っていたものですが、画期的に作業効率が上がったそうです。しかし、見ての通りベルトが向きだしになっているため、指を挟む事故が多かったようです。親指と小指を立て、他の指をしめる「シャカサイン」は、このような背景が起源だったそうです(諸説あり)。
収穫したコーヒーを天日で干すのですが、雨が降ると干したコーヒーをすぐ取り込まないといけないため、屋根を加工してスライドできるように工夫されたそうです。女子の力でも簡単に取り込めるので、たいへん便利な装置を考案されました。
1925年に建てられた内田農園の母屋は、居間、書斎、子供部屋、寝室などがあり当時のまま保存されています。屋根はトタンなので日中は、室内温度が上がったようです。また洗濯場、お風呂、トイレは母屋の外にあり、水は貴重な資源であり天水を大きな瓶に貯めて、少しずつ使っていたそうです。当時のコーヒー農家の生活は過酷であり、男性は夜明け前から日が落ちるまで、コーヒーの収穫作業をし、女性は男性より早く起き、みんなの食事、弁当を作り、男性を送り出し、その他家事をすませ、コーヒー収穫も手伝い等をされていたそうです。女性に寝る時間はあったのでしょうか。
内田農園のあとホテルへ向かうのですが、大気が非常に澄んでいるので、夕日が大変きれいでした。私は見られませんでしたが「グリーンフラッシュ」(日没直前の数秒間、太陽のふちが緑色に輝く光学現象)が見られたそうです。
(中川@食料農業システム)
海外農業体験実習 ハワイ 2日目(8月27日)
海外農業体験実習第2日目は、ヒロの「村松小農園」からスタートしました。無農薬、有機栽培のコーヒー園(7.9エーカー(約3.2ha))をご夫婦と数名の方で経営されています。今年コーヒーの収穫体験をさせて頂きました。
今年度は参加学生が増えたので、たいへん賑やかな収穫体験実習になりました。米や麦と異なり、コーヒーは収穫後、精選→乾燥→脱殻→選別となります。収穫と精選を同時にしますが、どの豆を収穫するかピッカー(コーヒー豆を摘む収穫者)の認識を揃えておかなければなりません。
アラビカ・ティピカ種のコーヒー豆を1粒、1粒、摘んでいきます(ハンドピック)。学生は初めてコーヒーを収穫するので、時間がかかっておりました。収穫した赤いコーヒー豆の皮を取ると、白い実が出てきます。この実は食べると甘いですが利用せず、果実を取り除きコーヒー豆になります。村松さんたちは、8月から12月まで長期にわたり収穫しています。
村松さんの農園はコーヒーだけでなく、200本以上のカカオも栽培されています。白い実の中にカカオ豆があり、食味体験をさせて頂きました。白い実は甘いものの、カカオ豆は苦く、チョコレートの原料になるまでにいくつかの工程を踏まなければなりません。
収穫体験後、村松さんのコーヒーをおいしく頂きました。龍谷大学農学部10周年記念事業(10/25瀬田キャンパス)で提供予定ですので、是非、ご賞味ください。岩堀先生と黒いTシャツを着た学生の後ろに、バナナが生っておりますが、これがたいへんおいしい。日本に来るバナナは実が熟す前に出荷されるので、それほど糖度がのりません。本来のバナナを食べたというのが、感想です。
次にコーヒーの焙煎体験のため、UCCコナコーヒー農場に訪れました。焙煎の程度をライト、ミディアム、ダークだけでなく、自分の好みに煎ることができます。日本の店頭で販売されているものは、ダークに近いと思います。ミディアムからダークへの時間は1分もありません。体験することで焙煎は難しいことが、よくわかります。
扇風機の上にのせ焙煎したコーヒー豆を急速に冷却することで、好みの焙煎状態を維持することができます。
次にシーソルト・オブ・ハワイでナチュラル・シーソルトづくりを学習しました。ハワイ島沖(水深670メートル)の深海から海水をくみ上げ、5ミクロンのフィルターで濾過し、3週間かけて自然蒸発させて塩を採取します。マグネシウムやカリウムなど各種ミネラルが豊富に含まれている塩で、店頭で売られている食塩より塩分が約30%少ないことが特徴です。
シーソルトの食味をすると、しょっぱいというより甘く感じます。トマト、きゅうり、果物にもたいへんよく合います。この後、コナからマウナ・ケア山とマウナ・ロア山の間を走り抜ける道路(ダニエルK.イノウエハイウェイ)を通ってヒロへ移動しました。
(中川@食料農業システム)