タキイ種苗の研究農場を訪問しました

 1121日に、滋賀県湖南市にあるタキイ種苗の研究農場を訪問しました。

前々日まで品種の展示会を開催されており、その会場を学生と一緒に見学させて頂きました。


まず最初に、タキイ種苗の歴史と、同社が業界に大きなインパクトを与えた代表品種についてお話を伺いました。
「桃太郎」(トマト)や「向陽2号」(ニンジン)、「サンリッチ」(ヒマワリ)といった品種がどのように生まれたのか、非常に興味深い内容でした。


かつてトマトは、流通や店頭に並ぶまでの日数を考慮して青い状態で収穫されていたそうですが、「桃太郎」は赤く熟した状態でも過熟しにくく、食べ頃を維持できる画期的な品種だったとのことです。
このおかげで、それまでの「トマト=青臭い」というイメージが大きく変わり、完熟の赤いトマトを日常的に楽しめるようになりました。


「品種で食卓を変えていく」という言葉が、とても印象に残りました。


このお話を聞いたあとに見学したトマトハウスは圧巻でした。




初代「桃太郎」と最新品種が同じハウス内で並んで栽培されており、草丈や果実の大きさ・形、色づきなど、現行品種の仕上がりの良さがひと目で分かりました。

育種の積み重ねと技術の進化を実感できました。


広大な農場(70hもあるそうです!)では、品目ごとに多くの野菜が植えられており、品種による差異がわかるように育てられていました。

品目特有の病気への抵抗性や、育てやすさ(さらには採種効率の良さ!)に加えて、白ネギの分げつ具合、ダイコンの青首程度、ニンジンの作型の違いやホウレンソウの葉形などなど・・・。

品目ごとの改良ポイントを伺っていると、面白くて時間を忘れるほどでした。



同行した学生たちは、ブリーダーの方々が生き生きと仕事の話をされる姿に大きな刺激を受けたようでした。

地上部がミズナで地下部がカブというユニークな品種(ミズナもカブも Brassica rapa という同じ種なので可能)が、ブリーダーのアイデアから生まれたことにも驚いていました。
また、生産現場で予想外の生育が起きた際には、生産者の元へ足を運び説明されることもあるなど、ブリーダーの仕事が非常に多様であることも学ばせていただきました。


学生たちにとって、勉強になったのはもちろんですが、「とても面白かった!」と話す姿から、見学を心から楽しんでいたことがうかがえました。



対応して頂いたタキイ種苗研究農場のみなさま、ありがとうございました!




                                     (辻村)