滋賀びわ湖青果株式会社中井浩二先生のご講演 2025(食料流通システム論)

 2025年11月18日、「食料流通システム論」の講義のなかで、キャンパスのお隣にある大津市公設卸売市場の青果部門の卸売業者である滋賀びわ湖青果株式会社の中井浩二代表取締役社長をゲストにお迎えし、例年お願いしているご講演を実施しました。(過去に実施されたご講演の様子は、こちらの記事をご参照ください → 2022年度 2019年度


1回生の「食の循環実習I」でも毎年ご講演いただいていますが、今回はもう一歩踏み込んで卸売市場流通における「4つの原理原則」についてお話しいただきました。例年多く寄せられる疑問のなかに、「売れ残りはどうするのですか?」というものがあるのですが、売れ残りが生じないようにあらかじめ売り先を確保して集荷するのだというお答えで、一見当たり前のように見えるかもしれませんがマーケットインの考え方が卸売市場流通にも貫徹していることに改めて気づかされるご講演でした。

4つの原理原則についてご説明いただいています


ご講演では「りんご農家の一年」「スーパーの心理テク」といった興味深い話題もお話しいただき、また、皆さんから事前に集めた質問にも丁寧にお答えいただきました。受講生は、スーパーでよく見る食品の配置の裏側にある論理にとても興味を惹かれた様子でした。受講生によるコメントをいくつかご紹介します:


「私たちが普段何気なく利用しているスーパーの売り場づくりには、想像以上に多くの工夫が隠されていることに気づいた。特に、青果コーナーを入口に置く理由が、単に動線の都合ではなく、鮮やかな色で気持ちを高揚させ購買意欲を高めるという心理効果に基づいている点が印象的だった。また、卸売市場の役割についても、ただ流通の中継地点というだけでなく、品質管理や価格形成を通じて私たちの食生活を支えている存在であることを改めて実感した。普段は気に留めない仕組みだが、その裏にある工夫を知ることで、日常の買い物の見え方が少し変わった気がする。」


「特に印象に残ったのは市場が適正な価格をつくる場であって需要と供給の状況をはやめに反映しながら、公正で透明性の高い取引を実現しているという点です。また、生産者に代金を短期間で還元する代金決済機能は、生産者の経営を支える重要な仕組みだと感じました。さらに、市場が消費者のニーズを集め、生産地へフィードバックする情報受発信機能を持つことで、生産と消費がうまく循環していることも学びました。これらの話から、卸売市場は単なる物流拠点ではなく、信頼と効率を支える社会的インフラであることを強く実感しました。」


受講生のコメントをご覧になられた中井先生からは、「この授業を通じて、市場に興味を持っていただき卒業の暁には弊社に就職希望者が多数応募されることを期待します。」とのお言葉をいただきました。


中井先生、今年もご講演ありがとうございました!(山口)