Insect Herbivory Selects for
Volatile-Mediated Plant-Plant Communication
というタイトルで、コーネル大学のグループと共同で行ってきた研究がCurrent Biology 29, 1-6に掲載されました。
<https://doi.org/10.1016/j.cub.2019.08.011>
セイタカアワダチソウ群落
植物は植食者に食害されると匂いを出します。そしてその匂いを受容した植物は、前もって食害にたいして防衛を開始しはじめます。この現象は植物間コミュニケーションとよばれ、現在では40種以上の種において報告があります。
さらに、セージブラシやセイタカアワダチソウ(以下、セイタカ)は自己の匂いと他個体の匂いを区別しており、自分と同じ匂いを受容したときには、他個体の匂いを受容したときにくらべ、より強く防衛することが知られていました。
では、なぜ自分の匂いと他個体の匂いを区別する必用があるのでしょう?そこで、私達は、12年間にわたり、殺虫剤を撒いて被食圧を減らしたセイタカ群落と、殺虫剤をまかずに被食圧を高いまま保ったセイタカ群落を用いて、植物間コミュニケーションの違いをしらべてみました。つまり、匂いで自己体の匂いと他個体の匂いを区別するのか否かについてです。結果、被食圧が低かった群落からとったセイタカでは自己体の匂いと他個体の匂いを区別するのに対し、被食圧が高い群落からのセイタカは、区別しなかった。さらに、匂いを分析したところ、被食圧が高い群落からのセイタカは、食害されたときに放出する匂い成分のいくつかが共通することが明らかになりました。つまり、植食者はよりオープンな植物間コミュニケーションを進化させることを明らかにしました。 (塩尻)