雷で肥料づくり!?

 昔の人は、雷がよく発生する年には米が豊作になることを経験的に知っていました。雷が「稲妻」と呼ばれるのはこのためです。これは、プラズマ(注)である雷が、大気中の窒素を硝酸などに変えて雨水に溶かし、その窒素成分を稲が吸収したためであると考えられます。

 私たちは、流水中にプラズマ(人工雷?)を発生させて空気中の窒素を硝酸として水に取り込ませ、それを窒素肥料として利用する研究を行なっています。農業現場で、窒素肥料を必要な時に、必要な量だけ作り出す技術を確立できれば、エネルギーの無駄をなくし、かつ環境に負担をかけない持続可能な農業の実現に貢献できると考えています。(植物栄養学研究室:玉井)


流水中でプラズマが発生しています。

(注)プラズマとは、物質の第四の状態です。物質はエネルギーが与えられると固体から液体、気体へと変化しますが、さらにエネルギーを加えるとプラズマとなります。意外とプラズマは身近な存在で、炎はまさにプラズマ状態ですし、ネオン管、蛍光灯などもプラズマによる発光現象を利用しています。