植物生命科学実習(7/12,13,19,20)

 

7/12から2週間に渡り行った連続4回の実習では、DNAマーカーでのジェノタイピングと連鎖解析、さらにゲノム編集における変異の検出方法を学びました。(担当:土岐先生)


シロイヌナズナの葉にできる毛(トライコーム)の有り/無しという表現型に着目して実習を進めました。

材料には有毛の「Col-0」、トライコーム形成に関わるGL1遺伝子が変異して無毛になった「Ler(GL1変異体)」、さらに両者を掛け合わせて作成されたF2集団を使いました。



DNAマーカーを使うと、DNAの特定の領域の違いを検出することによって、その領域がどちらの親由来なのかを判別することができます。

今回の実習ではPCRDNAの一部の領域を増幅させる実験)によって、マーカー領域を増幅し、そのDNAのサイズの差で、Col-0型かLer型かを調べます。

結果は電気泳動という実験で検出しました。





電気泳動は何回も実習で行ったので、皆さんテクニックが身についている様子?!

電気泳動の結果は白黒の写真で出力されます。








明るく光るラインがDNAで、ほとんどのサンプルでPCRが成功したことがわかります。

実習初回に微量な液体を測り取るピペットマンの練習をした成果ですね。

 

電気泳動ではDNAのサイズに応じて泳動されます。

結果では上が大きく下が小さくなっています。

Col-0Lerではどのマーカーでもサイズが違います。

これに対して、F2ではどうなったでしょう?

 

F2集団からは有毛と無毛の2個体を調べました。

今回使った3つのマーカーは、何番染色体のどの位置にあるか、わかっています。

F2ABのマーカーは各班でどちらの型になるかバラバラです。

一方、CのマーカーではF2無毛はLer型になっています。

CマーカーはGL1遺伝子に連鎖しているのです。

F2有毛はホモとヘテロを含むので、Col-0型のみか、Col-0型とLer型どちらも含むパターンがあります。)

 

また、ゲノム編集された個体のDNAを識別する実験では、CAPS解析を行いました。

CAPS解析では、DNA配列中にある制限酵素(特定の配列を認識してDNAを切断する酵素)を利用します。

Col-0にはHindIIIという制限酵素の認識配列があり、PCR断片が切断され短くなります。

しかしゲノム編集個体では認識配列が改変されているので、切断されなくなります。

今回用いたゲノム編集個体は相同染色体の片方のみ編集されているので、切断されなかったDNAも現れています。

 

最後にF2集団の有毛/無毛の個体数をカウントし、メンデルの遺伝法則に即しているか調べました。



少し難しい内容だったので、実習後には熱心に先生に質問している学生さんが多く見られました。

遺伝学の基礎的な内容と、DNAマーカーやゲノム編集といった最新の技術まで、幅広く学ぶことができました。

                                    (辻村)