匂いを介した植物間コミュニケーションの研究の多くが、草本かつ室内・温室などの非自然環境下で行われています。そのため、実際の野外における匂い有効距離というのは、明らかになっていませんでした。そこで、私達は、樹木(ブナ)を対象に自然環境下での匂いコミュニケーションを明らかにし、さらに匂いの有効距離も明らかにしました。
(図)匂い放出個体からの距離別の葉の被害度度
縦軸が被害度、横軸の数字が匂い個体からの距離を示す。
コントロールにくらべて、距離が近いほど被害が少なくなっていることがわかる。
本研究は、龍谷大学大学院修士課程一期生(現在、京都大学大学院博士課程)の研究で、Ecology and Evolution に2021年8月に掲載されました。
(塩尻)
Effective distance of volatile cues for plant–plant communication in beech
Tomika Hagiwara1,2, Masae Iwamoto
Ishihara3, Junji Takabayashi4, Tsutom Hiura5, Kaori Shiojiri1*
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ece3.7990