【植物生命科学科で扱う実験生物】No.10 琵琶湖の植物プランクトン

 植物生命科学科では、植物はもちろん、微生物から昆虫まで(中には動物を使ってのデータも!)さまざまな生物を実験に用います。このシリーズでは、各研究室で扱っている生物を順番に紹介していきます。


農学部(瀬田キャンパス)のある滋賀県には、世界第3位の古い歴史をもつ琵琶湖があります。私は、この琵琶湖に住む微生物をテーマに研究をしています。今回は、植物プランクトンを紹介したいと思います。

比叡山から撮影した琵琶湖の風景。遠くに薄く小さく写る島は日本の淡水湖唯一の有人島 沖島です。琵琶湖の全体像はおさめられませんでした。

琵琶湖には、数百種類の植物プランクトンが出現することが知られています。優占種は、季節によってダイナミックに変化します。

これは孔径約20μmのプランクトンネットで引いた201910月の琵琶湖北湖の表水層サンプルの顕微鏡画像です。様々な種類の植物プランクトンが見られます。この日は緑藻(Staurastrum dorsidentiferum)が中心です。

これから、夏~秋にかけて話題になる種と言えば、ミクロキスティス(Microcystis spp.)。上図は琵琶湖でみられたミクロキスティスの群体です。アオコを形成し、水道の悪臭の原因になるなど、琵琶湖の富栄養化の象徴にもされている種の1つです。ミクロキスティスは藍藻類という、原核タイプの植物プランクトンの一種です。悪いイメージもある藍藻類ですが、琵琶湖にも近縁種がいるSynechococcus elongatus(PCC 7942株)は、世界の生物時計研究のモデル生物になっています。私は、ミクロキスティスなど野外にいる藍藻類の概日リズムに興味を持っています。

(吉山洋子)