今回の基礎生物学実習(担当:三柴先生)は「遺伝Ⅰ(染色体)」です。体細胞分裂における染色体の行動を観察します。観察材料は市販のニンニクを使用しました。
最初に、ニンニクを吸水させて発根させます。2、3日で写真のように十分に発根します。根を切り取り、マイクロチューブに入れた固定液に浸します。
一週間後、固定液から根を取り出し、マイクロチューブに入った塩酸に移します。
次に、60℃のウォーターバスに入れて10分間処理をし、根を取り出して、シッフ試薬(フォイルゲン染色)を入れたマイクロチューブに移します。熱処理をすることにより、DNAのプリン塩基(AとG)のアルデヒド基が遊離し、シッフの試薬と結合して、赤紫色に呈色します。数分経つと、下の写真のように根端部分が赤紫色に変化します。シッフの試薬は、肌に付着すると赤く染まってしまうので注意しましょう。
染色された根を取り出し、根端の分裂組織(約1.5mm)を安全カミソリで切り出し、スライドガラスの上にのせ、45% 酢酸を一滴落としてカバーガラスをのせます。
スライドガラスの右角から安全カミソリの刃をカバーガラスの間に差し込み、カバーガラスの上から根端の上部を爪楊枝で軽くたたいて組織を広げます。少しコツがいる、大事な工程です。
組織を広げたらカミソリ刃を抜いて、アルコールランプの炎の上にかざします。あたためることで染色が進みます。カバーガラスの上から、指で真上から押しつぶして、完成です。
顕微鏡でプレパラートを観察中
一度でうまく観察できた班は少なかったようですが、細胞分裂の進行が見れるまで、何度もプレパラートを作り直してチャレンジしました。
上手にできたプレパラートでは、このように染色体の中期像を観察することができました。実習を通して、体細胞分裂の進行過程を理解できたでしょうか。
(中田)