基礎生物学実習(11/15, 11/16)

 1115日、16日の基礎生物学実習では、植物からのDNA抽出と、DNAの分子量マーカーの作成を行い、電気泳動で検出しました(担当:土岐先生)。

 

材料にはブロッコリーの花序(普段食べている蕾の部分)を用いました。

組織を液体窒素で凍らせて粉末状にすり潰し、そこに界面活性剤(CTAB)を加えたDNA抽出液を加えます。

すり潰すことで細胞壁が破壊され、界面活性剤によって細胞膜や核膜が破壊されて、DNAが溶液中に溶け出てきます。

この溶液から余分なタンパク質を除去するために、クロロホルム・イソアミルアルコール混合液を加えて遠心分離を行いました。


この上の層にDNAが含まれています。ピペットマンを使い、上層だけを回収するのですが、上手くできたでしょうか?

 

回収した上層の溶液にイソプロパノールを加えると、DNAが現れます。


DNAは極性を持つ分子です。つまり水に溶ける性質です。

そこにアルコール(ここではイソプロパノール)を加えることでDNAを析出させるのですが、アルコールを加えただけでは、DNA分子中の-電荷が反発しあって析出しません。+電荷をもつ塩の存在下では、電荷が中和されて析出が生じます。

今回はたくさんの材料で実験を行ったので、チューブ内でこのような析出したDNAを見ることができた班も多かったのではないでしょうか?

生物の設計図をこのように目で見ることができるのは、毎回感動しますね。


得られたDNATEに溶かし、分光光度計で濃度測定を行いました。



次の実験では、ラムダファージというウイルスのDNAを、DNAを切断する酵素(制限酵素)で切ってDNAサイズマーカーを作りました。

制限酵素は数塩基程の特定のDNA配列を認識して切断します。

また認識する配列は酵素によって異なり、今回はHindIIIAAGCTTを認識)とEcoRIGAATTCを認識)を使いました。

この酵素処理によって長いDNAがぶつぶつと切れて、大きさの違う数本のDNA断片になります。

ラムダDNAはその全配列が解読されていますので、酵素で切った時に得られるDNA断片の大きさや本数が予測できます。

このように作成したサイズマーカーを電気泳動で自分のサンプルと並べて流すことで、DNA断片のサイズの指標として利用できるのです。


初めての電気泳動でゲルの作成や、ゲルの穴(ウェル)にサンプルを入れるアプライ作業に緊張しましたが、事前に動画教材を視聴してもらったおかげでスムーズに進めることができました。

実験グループごとに泳動バッファーの種類とゲルのアガロース濃度を変えて、どのような差が出るのかを調べました。


                                    (辻村)