「発酵食品」という名前はよく耳にしますが、どういうものかご存知ですか?龍谷大学農学部が位置する滋賀県は、発酵食品の生産・利用が伝統的に盛んな地域です。実は発酵食品は微生物の働きによって作られます。そのような「食」に関わる微生物を科学的に研究しているのが、植物生命科学科の島 純 先生が主宰される微生物科学研究室です。(余談ですが、「伝統」と述べたように、我々人類は微生物の存在が知られていなかった遥か昔から、経験的に自然界の微生物を選んで、飼い慣らして、発酵食品というものを作ってきたようです。想像してみてほしいですが、とてもすごいことですよね。)
このたび、微生物科学研究室の4回生・喜田美月さんの研究成果が、大津市の地元3団体(近江麦酒、近江おごとハーブガーデン、大津市企業局)との協力でクラフトビール「THE LOCAL」となって売り出されることになりました。
喜田美月さん(滋賀県庁での記者会見)
研究成果の詳細や、島先生と喜田さんによるコメント(農学部HP)
クラフトビール「THE LOCAL」に関する本学からのニュース
このブログでも度々紹介しているように、「研究成果」は論文や学会での発表という形で公開されます。植物生命科学科で言うと、例え、小さなことでも「生命のしくみ」に関する新しい発見をしたことを国内外の研究者界隈や産業界に知らせることで、「生命のしくみ」の研究に生かされて、そういう活動が積み重なって誰も知らなかったような事実が明らかとなっていきます(そして、教科書に新しい項目が増えたり、書き変わったりして、受験生の新たな負担になってしまいますが、、笑)。そして、そういった発見が、いつかどこかで産業や医療に生かされたりすることで我々の生活に役立っています。
微生物科学研究室の4回生(右から二人目が喜田さん。今日は卒業式です)
今回の喜田さんの研究成果は、ダイレクトに新しい商品を生み出すことにつながっていて、とてもすごいことだと思います。でも、既に卒業された微生物科学研究室の先輩の研究成果が今回の研究の基盤となっていて、さらに多くの関係者のご協力があったことで生まれた成果であることも忘れてはいけません。いろんなこと、人、モノが繋がっているんですね。次に何か商品を生み出したり、そのタネとなる成果を挙げるのはあなたかもしれませんよ(そのためにもしっかり勉強しましょう!)。
(別役、写真提供・島)