「嫌われものの虫」の代表いえば、「ゴキブリ」と、さわれば悪臭を発する「カメムシ」があげられます。このカメムシですが、農作物を加害する害虫として研究が進み、また、防除の対象になっています。カメムシは、非常に沢山の種類があり、その生態も多様で、研究してみると興味の尽きない昆虫です。ここでは、クモヘリカメムシ(写真上)の天敵の一つであるハエについて紹介します。野外からクモヘリカメムシの成虫を採集し、しばらく飼育していると、腹部を食い破りウジ虫が出てくることがあります。ウジ虫はすぐに蛹になり、蛹からハエが羽化してきます(写真下)。このように昆虫に寄生するハエは、寄生バエと呼ばれています。この寄生バエですが、和名はまだ付いておらず、その生態もほとんど明らかにされていません。応用昆虫学研究室では、この寄生バエの生態解明に取り組んでいます。カメムシの天敵として寄生バエの能力が高ければ、カメムシ防除の素材として利用できる可能性もあります。 (応用昆虫学研究室:樋口)