7月14日の実習は植物の病害診断の続きです。先週7日に実習ほ場で病害が起こっている葉をサンプリングしました。その時、ほとんどの人は肉眼でその症状を観察していたと思います。一部はルーペを使って観察している人もいましたが、それでも肉眼での診断は限界があったと思います。14日はサンプリングした葉を顕微鏡で観察し、そこに存在する病原菌の形態を観察することで、病害を特定しようというものです。圃場でサンプリングしてきた発病組織からは、多くの菌糸や胞子(分生子)が確認できました。丸い形状の物(やそれがいくつも連なったもの)、それから巻貝のような特徴的な物も見られたと思います。顕微鏡観察からの病原菌の特定(病名の特定)はレポート課題になっていますが、あらかじめ肉眼観察で予想した病気から調べてみて、その特徴が一致するか一番楽しいところではないでしょうか。また、キュウリ苗の発病切片を2種類の培地(WA:素寒天培地とPDA:ポテトデキストロール培地)に置床して、培養する作業を平行して行いました。一週間培養して、来週この培養菌そうの測定や観察を行います。菌を分離しての観察となるので、より調べやすくなると思います。
一方で、15日はほ場での野外実習が予定されていましたが、あいにくの天候のため水稲の虫害についての講義となりました。1960年代頃までは日本で最も重要な水稲の害虫だったニカメイガは、日本の害虫防除や生態研究の土台を作った言えるほどの大害虫であるにもかかわらず、今では絶滅危惧種になったのはなぜか? その答えは、防除技術が進歩したからではなく・・・。同じく水稲の大害虫であるウンカ(坪枯れ病を起こす)は、寒さに弱く冬を越せないはずなのになぜ毎年被害が起こるのか? など、最後にはやはりカメムシが出てきましたが、テストに出そうな項目がたくさんありました。実際に、講義のあとには出席チェックを兼ねた小テストがあるということで、普段以上にみな真剣にメモを取りながら聞いているようでした。
現在の米の検査基準では、基準値以上混入すると等級が下がってしまう斑点米。この原因であるカメムシはやはり害虫扱いされますが、選別技術などがさらに進歩すれば、いつかカメムシが害虫と呼ばれなくなる日が来るのかもしれませんね(臭いは別として)。最後に、アカヒゲホソミドリカスミカメという早口言葉か!と言いたくなるような種類が出てきましたが、写真を見ると納得でした。何かちょっと親しみを覚えたのは私だけでしょうか。
山本