【生命科学科・授業シリーズ】No.1 「植物ー微生物相互作用学」

【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます】

大学ではどんな学びがあるんでしょうか?このブログでは、毎週、最も大学らしい授業である実習(実験)について紹介してきています。それ以外に、座学でもたくさんの大学ならではの専門的な授業があります。そんな中から、受験生の方々向けに生命科学科の教員が担当する授業を一つ一つ紹介していきます!


「植物–微生物相互作用学」は主に3回生以上を対象とした専門授業です。みなさん、植物が病気になるのは知っていますか?栄養が足りないなどによる病気もありますが、微生物による感染症が農作物栽培の現場では大きな問題となっています。また、逆に植物栽培の役に立つ、根粒菌のようないわゆる有用微生物も実はたくさんいて、農業への応用利用に興味がもたれています。

では、植物が微生物によって病気になる、ならないはどのように決まっているのでしょうか?逆の見方でいうと、微生物はどのようにして病原体になったり、はたまた有用微生物になったりするのでしょうか?この仕組みを学ぶのが植物ー微生物相互作用学です。一般には、植物病理学という大きな学問の一分野ですが、さまざまん「生命のふしぎ」のしくみを学ぶ生命科学科では、あえてこの相互作用の仕組みに焦点を当て深掘りする授業として開講しています。


授業では、世界中の最新の研究成果に基づいた植物と微生物の相互作用の仕組みを教員手作りの授業資料で紹介して学んでいきます。植物ー微生物相互作用の理解も毎年少しずつ新しいことがわかってくるので、毎年、少しずつ内容が変わっていきます(これが、数年に一度しか改訂されない特定の教科書を使っていない理由の一つです)。



授業資料の抜粋


また基本的なしくみを学んだあとには、そういった内容がどうやって現実の農作物の病気を防ぐことに役立っているのか、そのような仕事をされている学部講師を招いて紹介してもらっています。


外部講師;今年は農研機構の研究者の方にに来ていただきました。


この講義では、いかに植物の病原体出現が我々人類の歴史に大きく影響してきた歴史的側面に始まり、病原体とは何か、そして、最新の詳細な知見の学びへと進みます。学べばわかるのですが、植物のもつ免疫は我々ヒトのもつ免疫と似たところも数多くあります。それは同じような感染戦略をもつ微生物が動植物の病原体となっているからでもあるのですが、受講生の皆さんにとっては植物のことを勉強しながら、コロナ禍のようなヒトの感染症に対する理解を深めることにも役立ったりもしているのです。


植物の病気と人類の歴史、そして、植物の病気とヒトの病気。大学の授業はこんなふうに思いもかけないつながりを私たちに教えてくれるものでもあるんです。


みなさんが受講してくれる日が来るのを待っています!!


(別役)