資源生物科学科(2023年度から農学科)を志望する皆さんへ㉓~種なしクッキングトマト品種の開発~

 

ブログをご覧の皆さん,普段,どんな風にトマトを食べられるでしょうか?「生のまま食べます」という人もいれば,「トマトの缶詰を料理に使います」という人もいるかもしれません.実はこの生食用トマトと缶詰に入った加工用トマトは大きく性質が異なります.例えば,生食用トマトは収穫するときたいてい果実にへたが付いていますが,加工用トマトはへたが付いていません.また,生食用トマトに比べ,加工用トマトでは果実の赤みが強かったり,水分含量が低かったりします.

野菜園芸学研究室では,この加工用トマト品種に似たクッキングトマト品種に単為結果性遺伝子を導入する取り組みを行っています.単為結果性は受粉なしに結実する性質のことですが,私たちが研究している単為結果性遺伝子pat-kは,単為結果を誘導するだけでなく,種子の形成を阻害したり,果実の糖度を上昇させたります.そのため,この遺伝子を導入したトマトは,ほとんど種がなく糖度が高い果実を生産できるようになる可能性があります.

2022年に試作した‘すずこま’

今回の品種育成の親として使用したクッキングトマト品種は‘すずこま’という名前で,加熱調理すると酸味,旨味などが引き立ち,生食用や缶詰とは比較にならないおいしさを発揮すると言われています.すでにpat-kの導入は終わっていて,来年の夏,4年生にこのpat-kを導入したpat-kすずこま(仮称)の特性調査をしてもらう予定です.どんな結果が出るか今からとても楽しみにしています.収穫できたらせっかくのクッキングトマトなので,トマトソースを作って,トマトパーティしたいですね.



試作した‘すずこま’でトマトソース作り,普通に美味しい!

(野菜園芸学研究室:滝澤)