研究成果が論文として公表されました(植物生命:塩尻)

 Entomologia Experimentalis et Applicataという論文に、

Unidirectional trichomes in rice and prickles in Andropogon virginicus protect meristems from herbivory" というタイトルで、研究成果が掲載されました。

これは UC Davisのリチャード・カルバン教授と京都大学の高林純示教授との共同研究で、イネ科の植物にあるトライコームが一定方向にむいているのは何のためなのかを、明らかにしたものです。イネ科のトライコームは、葉の先に向かって並んでおり、葉の先端にむかって手をすべらせると、滑らかなのですが、逆方向(根本に向かう方)に滑らそうとすると引っかかります。この理由の一つとして、植食性昆虫に生長点の方向に向かわせないためなのではないかという仮説をたて、それを野外研究で実証しました。

実験はいたって簡単で、100円均一などでうっている激落ちくんをつかって、トライコームを一部なくしてみたり、葉をマスキングテープで折り曲げたりと処理をしたあとに、虫がどこの部分を食べるかなどを調べました。

写真は、牧圃場で、カルバンと一緒に被害の場所を調べているところです。


リチャード・カルバンとの研究は、いつもちょっとした不思議をとっても簡単な実験で明らかにしていくのがとても面白く、アイディア勝負なところがとても好きなのです。

DOI: 10.1111/eea.13212


(文責:塩尻)