【生命科学科・授業シリーズ】No.9 「遺伝学II」

【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます】

大学ではどんな学びがあるんでしょうか?このブログでは、毎週、最も大学らしい授業である実習(実験)について紹介してきています。それ以外に、座学でもたくさんの大学ならではの専門的な授業があります。そんな中から、受験生の方々向けに生命科学科の教員が担当する授業を一つ一つ紹介していきます!


「遺伝学Ⅱ」は主に3回生が受講する講義です。遺伝学の基礎を広く学ぶ「遺伝学Ⅰ」に対して、「遺伝学Ⅱ」では「量的遺伝学(quantitative genetics)」と呼ばれる遺伝学の特定分野を深く学びます。「量的遺伝学」とはどのような分野か紹介します。


人の顔や性格、体形、病気の傾向などは、個人により少しずつ異なり、エンドウマメの種子の形のように「丸かしわ」といったカテゴリに大別されるものではありません。このような生物の性質のことを量的形質と呼びます。


量的形質も遺伝します。親子や姉妹・兄弟で顔や体形が似ることは、誰もが経験していることでしょう。そして面白いことによく似た姉妹・兄弟がいれば、あまり似ていない姉妹・兄弟もいます。エンドウマメの種子のように「丸かしわ」であれば、1つの遺伝子の顕性対立遺伝子と潜性対立遺伝子の分離によって遺伝が説明できます。では「似ている」や「似たり似なかったりする」現象は、どのように遺伝子と結びついているのでしょうか。


その答えは・・・講義を受けると明かされます。ここでは伏せておきましょう。

講義のスライド:ここにその秘密が書かれています


量的形質の遺伝メカニズムを学問するのが量的遺伝学なのですが、なぜ量的遺伝学を農学部で教えるのでしょうか。それは量的遺伝学が品種改良と密接に関連しているからです。人の顔や体形同様に、作物の収量や草型、ストレス耐性なども量的形質です。品種改良とは遺伝的な改良のことなので、量的形質の遺伝メカニズム、すなわち量的遺伝学の知識が品種改良に必須になります。


量的遺伝学は統計学と関連が深いこともあり、高校の教科書には出てきません。また教えられる教員は限られており、学べる大学も少ないです。もし農学部に入学したら、是非この貴重な機会を逃さないことをお薦めします。


みなさんが受講してくれる日が来るのを待っています!!


(小野木)