【生命科学科・授業シリーズ】No.10 「食と農の倫理」

 【植物生命科学科は2023年度より生命科学科に名称変更されます】

大学ではどんな学びがあるんでしょうか?このブログでは、毎週、最も大学らしい授業である実習(実験)について紹介してきています。それ以外に、座学でもたくさんの大学ならではの専門的な授業があります。そんな中から、受験生の方々向けに生命科学科の教員が担当する授業を一つ一つ紹介していきます!(今回は学科教員が担当する農学部全学科共通授業の紹介です。)

 「食と農の倫理」は農学部1回生が前期(4~8月)に全員受講する必修講義です。僕(打本)はこの講義のコーディネーターと講師を務めています。この「食と農の倫理」は、2つの特徴があります。
 1つは農学×仏教。「飢餓と飽食」「環境問題と農業」「食と安全」「遺伝子組み換えと農業」のそれぞれテーマに対して、農学部各学科から農学を専門とする先生と、仏教を専門とする僕や法学部の僧侶の先生とが代わる代わる講義するチェーンレクチャーであること。テーマは決まっていますが、講義内容に各先生の専門性や個性が出てきてとても面白いです。
 もう1つはPCで受講するオンデマンド講義、対面講義を組み合わせた「ローテーション型」であること。各テーマについて農学と仏教の先生がオンデマンド教材を配信していきます。自宅や大学内(他キャンパスでも)から繰り返し視聴できるオンデマンド講義は学生さんからも好評です。オンデマンド講義の視聴後、講義についてのミニレポートと質問やコメントをオンラインで提出します。学生さんからの質問やコメントを、対面講義の回で2人の先生がそれぞれの立場から取り上げて補足や回答をしていきます。もっとも盛り上がるのはその後の教員同士のディスカッション!

【写真上左:打本弘祐(植物生命科学科)、写真上右:落合雪野先生(食料農業システム学科)、写真下左:山崎正幸先生(食品栄養学科)、写真下右:井上善幸先生(法学部)

テーマを担当した2人、時にはコーディネーターの僕も入って3人の先生は、同じテーマでも共通した「答え」を持っているわけではありません。時に「私は○○先生と違ってこう思っているんです」という先生同士のやりとりが展開されます。実は、この講義を担当する教員が考えている倫理は、互いに違うところもあるのです。そして、先生の考えている倫理が受講生にとって必ずしも「正解」になる訳ではないのです。

「食と農の倫理」のディスカッションは、教員の考えはもちろんその違いを知り、「対話」を通じて議論している姿、時にお互いが悩みながらも倫理について考え続けている雰囲気、その様子をまるごと対面講義で味わってもらうのが醍醐味です。繰り返し視聴できるオンデマンド講義と対面講義のディスカッションまでのやりとり全体が、皆さんの倫理を考える「素材」になるのです。

写真上左:三浦励一先生(資源生物科学科)、写真上右:本多真先生(非常勤講師)、写真下左:打本(植物生命科学科)、写真下右:古本強先生(植物生命科学科)

こんな風に紹介すると『高校の倫理の授業とは違いすぎる』『とても難しそう、、、』『ついていけるかな』と、すこし身構えてしまうかも知れませんね。でも、大丈夫です!

初回の講義は対面でオンデマンド講義の受講方法やレスポンの使い方を、実際に操作しながら始まります。毎回のオンデマンド講義では、テーマにそった「動植物」「食べ物」「食事風景」「自然」の写真も多く、「マンガ」や「映画」(皆さんもきっと見たことがあるあのジブリアニメも!)が倫理を考える「素材」として登場します。1回生の皆さんのために、レポートの書き方のポイントやおすすめの本や論文も紹介されます。 

2023年度はどんな「素材」が登場するのでしょう? 僕も今から楽しみにしています!


みなさんが受講してくれる日が来るのを待っています!!


(打本)