農学科(2023年4月より資源生物科学科から名称変更)を志望する皆さんへ㉖ ~木のカタチの話~


 下に示す3枚の写真はいずれもクスノキです。記念植樹された木であったり、神社の依り代的存在だったりで、まわりの競争相手が人為的に取り除かれ、のびのびと育っています。いずれも立派な立ち姿ですね。

 さて、この3つの写真のクスノキのうち、1つだけ他の2つと大きく違っているものがあると言ったら、どれが違っていると思いますか?





「いちばん下の写真は、逆光で下手くそです」

あ~ それは確かにその通りですが、でもここで回答してもらいたいのはそうではなくて…


 実は、一番下のクスノキは、1樹に見えますが、同じ時期にまかれた種子から生えた7樹の集合体なのです。7本の樹なのに、まるで1本であるかのような樹姿ですよね。
 日当たりの関係でこのような樹姿になるんでしょ、とも言えそうですが、そうであれば、周囲の株は中心の株に比べて日当たりがいいはずでもっと太く大きく育ち、中心の株は兄弟たちの作る日陰の影響でもっと弱弱しくなってもいいはずです。このように集団として協調しているような樹姿になるのは、同種同士であることを認識しあって無駄なケンカはしない(普通、植物は日光や養水分を奪い合って闘います)とか、相談して空間を分け合うとか、個体同士のコミュニケーションがあるのでは?(直接触れ合ったりはしていないのに)と考えたくなります。

 最近、植物が揮発性の活性物質を使って集団コミュニケーションしている事実が明らかになりつつあり、さらには敵味方を認識して味方同士はケンカしないという事例が、少数ですがあがってきています。もし植物がそのような認知行動を取っているとすれば、これまで私たちが考えに入れていなかったような知性が植物に備わっていることになりますね。21世紀の植物学・農学には、まだまだ解かねばならない謎が多く残っている、それはイコール、未開の夢の領域がはてしなく広がっているということでもあります。

尾形 凡生(果樹園芸学)