鳥居啓子さん講演会開催

鳥居啓子さんは、著名な植物学者です。

現在、テキサス大学オースティン校 分子細胞生物学 ハワードヒューズ医学研究所 教授(ジョンソン・エンド・ジョンソンセンテニアル冠教授)、名古屋大学 トランスフォーマティブ生命分子研究所 主任研究員・客員教授などを兼任されています。

2024年春の紫綬褒章受賞に合わせて帰国された折に、龍谷大学理事で元植物生命科学科 教授の岡田清孝先生を訪問されることになり、講演をお願いして実現しました。

講演会は、516日(木)12:30-13:303回生の「基礎演習II」の一環としておこないました。農学部全体に公開され、会場の教室は満席となりました。

「葉の気孔から発生の謎に迫る」というタイトルで、モデル植物シロイヌナズナで発見したMUTE, SPEECHLESS, SCREAMなど因子が、気孔形成過程で働くメカニズムをお話しいただきました。気孔は、植物の葉の裏でガス交換をおこなう器官で、植物の口といえます。鳥居さんは、発見した因子に口に関係する単語を用いています。

複雑なメカニズムを噛み砕いて、ユーモアを交えながら解説いただきました。例えばERECTAというペプチド(短いタンパク質)が2種類あり、競合することで気孔ができたりできなかったりすることを、姉妹が消しゴム付き鉛筆を引っ張りあっている可愛いイラストで表現されていました(鳥居さんのHPで見ることができます:https://www.plant-stomata.org)。

形質転換によって因子を過剰発現させたり、因子が欠損した変異体を使ったりして、気孔だらけになったり、気孔がなくなったりする表皮の顕微鏡写真がとても美しかったです。顕微鏡写真は、学術雑誌の表紙に何度も採用されたそうです。

植物の進化と気孔の関係についてもお話しいただき、海草アマモでは気孔を作る遺伝子一式が失われ、気孔がないというお話も印象的でした。

学生たちは、研究内容の面白さはもちろん、鳥居さんがとても楽しそうに研究の話をされる様子にも感銘を受けたようです。インスピレーションや刺激を受けてもらえたでしょうか。

鳥居さんより、「たくさんの学生さんに聴講してもらって嬉しかった」とのコメントをいただきました。

鳥居さん、お忙しいなか貴重な機会をいただき、ありがとうございました。

(浅水)